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世間で『老害』と呼ばれている人たちのマインドについて解説

昔から「まったく、最近の若者は…!」みたいな批判は、もはや定番中の定番です。
僕の聞いた話だと、エジプトの壁画にも書かれているそうな(真偽のほどはすみません…)。

そもそも、どうしてご年配の方々は、最近の若者をディスるのでしょうかね???
今回は『世間で『老害』と呼ばれている人たちのマインド』について取り上げていきます。

僕も、老害化しないように、気をつけないとな~~。。。

 

 

なぜ大人は「最近の若者はダメだ!」という風に見えるのか

 

まずは2019年に出た論文からご紹介。
これはカリフォルニア大学の調査で、458名の男女を対象に、以下の5ポイントについてアンケートをとっていきました。

 

  • 最近の若者は年長者を尊重した態度を取っているか?
  • 最近の若者が前の世代の人間より知性が高いと思うか?
  • 最近の若者は読書好きだと思うか?
  • 自分のことをどう思っているか?

 

研究チームは『私たち人類は、少なくとも過去2,600年間にわたり 「最近の若者」 に対して同じ不満を訴えてきた。不満の内容はどの時代も変わらず、「若者は無礼」で「年長者の言葉に耳を傾けない」、そして「働くことを嫌う」といったものだ。』とまえがきがあります。
当人も、以前は「最近の若者」だったハズなのに、どうして年を重ねると若者にディスってしまうのか…。

 

アンケートを集計した結果、どうやら自分のことを偉いと思っている高齢者ほど若者を否定する』ことがわかったそうな!
たとえば、上記のアンケートで「私は年長者を尊重している!」と思っている高齢者ほど「最近の若者は礼儀がなっていないわねぇ!」と思い、また「俺は賢い!」と思っている高齢者ほど「最近の若者はバカだな!」と思うわけです。

こうした現象が起きる原因ですが、単に『多くの人間は若者時代の記憶が正確ではない』からです。
人間だれしも、子供のころは礼儀知らずだし、知識や知恵もありません。そして本もあまり読まなかったのに、歳を重ねていって記憶バイアスがかかり、過去の記憶がゆがんで認識してしまったわけなんですね。

このような仕組みがあるために、何千年も変わらず「最近の若者は…!」が継承されているのです。

 

 

 

最近の若者のコミュ力不足について

 

スマホの普及によって、対面のコミュニケーション不足が懸念されている昨今。
これもまた「最近の若者はコミュニケーションがなっとらん!」という声があるとか、ないとか…。

2020年に出たブリガムヤング大学などの調査では「最近の若者は本当に社会的スキルが欠如しているのか?」についてチェックしてくれています。
具体的な方法ですが、研究チームは、Facebookがまだ存在しない1998年に幼稚園に入園した子どもたち19,150名と、初代iPadが登場した2010年に入園した子どもたち13,400名のデータを収集します。そこから「すべての子供たちが教師や保護者からどんな評価をされていたか?」ということを比較していったそうです。

いわば、アナログ世代とデジタル世代で、コミュニケーション能力に変化があったのかをチェックしたというわけです。

 

結果なのですが、

 

  1. 社会的スキルの評価は、どちらのグループも同様であった
  2. どちらのグループも、友達を作る能力、友達関係・人間関係を維持する能力、自分とは異なる人々と仲良くする能力、セルフコントロール能力なども差がみられなかった

 

今も昔も、コミュニケーション能力に違いがなかったわけですね!

 

研究者によると、

我々が比較したすべての要素において、社会的スキルに違いがない、または後の世代の子供たちのほうが評価が高かった。最近の世代はPCやスマホの使用量が多いものの、スクリーンへの接触時間が社会的スキルの成長に問題を起こすという証拠はない。

 

子どもたちの社会的スキルやセルフコントロールに対する教師の評価は、むしろ最近の若者の方がわずかに高い傾向にあるみたい。
いつの時代も、若い世代に不安を持ちやすい傾向があります。しかし、それもまたよくある話しで、かつては電話、自動車、ラジオが現れた瞬間も、当時の大人たちの間で同じような議論が起きていました。

なので、新しい文明が現れれば、いつもそんな話題になるわけなんです。

 

 

 

最近の若者のモラル不足について

 

最後にこれもまた言われている、「最近の若者はモラルがなっていないわねぇ…」という高齢者の嘆き。
2019年におこなわれたCDC(アメリカ疾病予防管理センター)の調査で、1991年から隔年で「最近の若者の傾向について」を調べた内容になっております。

このデータを用いて以前の10代と現代の10代を比較していったところ、

 

  • 何かしらの方法でバース・コントロールをしている人の割合:20年前の若者=21% 現代の若者=60%
  • アルコールを飲む人の割合:20年前の若者=81% 現代の若者=66%
  • 暴力行為をしたことがある人の割合:20年前の若者=42% 現代の若者=24%
  • 自殺を考えたことがある人の割合:20年前の若者=29% 現代の若者=17%

 

これはアメリカのデータなので、日本にそのまま当てはまるかはわかりません。
しかし、それにしても、最近の若者の方が性に関して真面目ですし、アルコールなどの中毒性のあるものにハマりにくく、暴力行為もすくなくメンタルも健全です。

むしろ、以前の若者の方が危険で、現代の方が平和なのかと…。
このことについては、日本も同様だと思います。世界的にも制教育が進んでいますし、暴力犯罪は低下しています。

モラルに関して言えば、最近の若者の方が優秀といえますね!

 

 

 

 

ざっくりまとめると、

 

  1. 「自分はスゴい!」と思っている高齢者ほど若者をディスりがち
  2. 誰しも子供のころの記憶はあいまいで、思い出を美化しがち
  3. コミュ力は今も昔も大差がなく、現代の方が若干上がっている
  4. モラルに関しては、むしろ最近の若者の方がスゴい

 

といった感じです。
いつの時代もご年配の方々は若者を心配しがちで、ついついおせっかいをしてしまうのでしょうねぇ。だけど、最近の若者はしっかりしているものですから、温かく見守っていくのが一番なのでしょう。

僕も、気を付けていこう!

 

 

【参考文献】
[Kids these days: Why the youth of today seem lacking]
[Kids These Days: Are Face-to-Face Social Skills among American Children Declining?]
[Youth Risk Behavior Surveillance System (YRBSS)]

 

 

 

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