なかなか厳しいところで、現代医療の水準では、鍼灸の効能については不明瞭な部分が多いようです(汗)。
鍼灸師によってツボの位置が曖昧だったり、プラシーボ効果があったりしますから、どうしても鍼灸の明瞭な効能を示せないのがツライです(@_@;)
その他諸々の要素があり、科学的に有効性が示せていないという事実自体があります。とはいえ、今後の研究によって明らかになってくるでしょうから、鍼灸の未来は明るいものだと信じています。
今回は、そんな鍼灸の明らかになっている『効能』について取り上げていきます。
臨床データによってNIHが認めざるを得ない部分のほかにも、科学的に『有効だろう!』というものがあったりします。そういった部分を、今回のブログでご紹介していきます。
今回ご紹介した効能で、もし自分が持っている症状がありましたら、どうぞ僕のところへご連絡ください!
もちろん、原因不明のものや、その他もろもろでも大丈夫ですよ☆
≪Contents≫
鍼治療を推奨している国『イギリス』
イギリスの国民保健サービスでは、慢性腰痛や頭痛に関しては「科学的なデータをもとに鍼治療を推奨する」と言い切っております。
世界的に有名なコクラン共同研究では、系統的レビューによって「症状に対する鍼の効果はプラシーボ効果である」と結論付けています。
しかし、そんなコクラン共同研究でも、腰痛、頭痛、吐き気に関して言えば「それなりに効果がある」との結論を出していて、その報告を元にイギリスは「腰痛や頭痛があるなら鍼をやってみて♪」みたいな感じになっています。
イギリスでは、鍼のことをこんな感じに紹介しています。
西洋医学による鍼治療は、医学的診断後において使用します。
これは、皮膚やその下の組織、筋肉に対して刺激していきます。鍼で身体に刺激を加えることにより、痛みを和らげるエンドルフィンなどの脳内物質などを生成します。
自分の脳内で作られる物質によって、鍼治療による治療効果を生み出している可能性があります。鍼治療は、一般的な現代医療よりも慢性症状の緩和をもたらしてくれます。
伝統的な鍼治療は、エネルギー、または「生命力」が経絡と呼ばれるチャネルで身体を流れるという信念に基づいています。この生命力はQi(「チー」と発音)として知られています。
伝統的な方法で鍼治療を使用する施術者は、気が体内を自由に流れない場合、病気を引き起こす可能性があると考えています。
なので、鍼治療は気の流れを回復させ、健康をもたらしてくれるとされています。
イギリスでは、腰痛や頭痛以外にも、
- 慢性痛(首や肩など)
- 関節痛
- 歯痛
- 術後痛
こういった症状があるのなら、鍼をしてみてはいかがですか?…という感じですね!
腰痛や頭痛に比べて根拠となるデータが乏しいとはイギリスでも言ってはいるものの、筋骨格に慢性痛があるなら、とりあえず整形外科より鍼灸院でしょうなぁ。
鍼治療における有効的なデータがコチラ
2012年のメタ解析では、打たない鍼と本物の鍼を使った実験データだけを集めて、プラセボ効果のレベルを調べてくれています。
打たない鍼とは、先端が丸い鍼や肌に刺さらないようにするといったものです。
これで、本物の鍼との効果を比較するといったものです。鍼の流派や鍼に抵抗がある人に対しては、このような技法をおこなったりするんですけどね…。
実験数は全部で29件で、対象者数はおよそ18,000人ほど…。
結果は以下のとおりです。
- 本物の鍼を使用した場合、50%に腰痛や頭痛の改善が見られた
- 打たない鍼を使用した場合、42.5%に腰痛や頭痛の改善が見られた
実験的は微妙と判断されるでしょうが、打たない鍼を主流としている施術者にとっては朗報でしょうね(^◇^)
この結果に対して研究者は好意的で、以下のように述べています。
鍼治療は慢性痛に効果があり、治療法の1つとして使い得る。本物の鍼とニセ鍼の効果は明確な差があり、鍼治療がプラセボではないことを示している。もっとも、両者の差はかなり小さいが。
あと、2015年に出た系統的レビューで、レーザー鍼というものを使った実験だけを抜き出して、プラセボのレベルを調べたものがあります。
レーザー鍼は自由に出力を変えられるわけで、打たない鍼よりも数値的には正確にプラセボ効果が測定できるそうです。
実験数は全部で49件で、そのうち質の高いものを抜き出した31件があります。
結果は以下のとおり。
- 全体的にレーザー鍼はプラセボよりも効果が高い
- レーザー鍼は短期的にはそこそこの効果がある
- レーザー鍼の効果は治療期間が長いほど効果が高い
個人的には、鍼灸師がよく使う鍼で刺激量を調整すれば、レーザー鍼と似たような効果が発揮できそうな気がします。なので、効果は個々の鍼灸師の力量にもよるのかなぁ…と思いますね。
睡眠の質を上げるなら鍼灸が有効かも?
2009年、北京漢方医学大学は大規模なメタアナリシスを実施しています。
こういった実験は結果ありきなものがありますが、不眠に悩まされている人には参考になるかと思います。
これは46件の実験数を元に、3811人の不眠症に悩む患者を対象にメタ分析にかけました。
治療法は以下のとおりです。
- 何もしないグループ
- 鍼治療をするグループ
- 薬物療法をするグループ
結果は以下のとおりです。
- 鍼治療は何もしないグループに比べて明らかな効果がある
- 鍼治療と薬物療法の単体同士で比べると結果に差はない
- しかし鍼治療と薬物療法を組み合わせると単体同士よりも効果が高い
この研究結果の締めでは、鍼治療は「薬物療法における副作用の心配はない」としています。
とはいえ、実験の質的も緩く、メタ分析であるとしても厳密で大規模な実験が必要だなと認めています。
すぐに薬に頼ってほしくはないので、睡眠で悩んでいるなら、試しに鍼治療を受けてみてほしいです。
僕が鍼灸師ですので、やっぱり鍼灸は肯定派です(笑)。
鍼灸の効能は、科学的にも明るみになってきています。
現在の鍼灸ならびに東洋医学の立場は弱いものの、こういったものは次々に認められてくるものです。
それに、なんでもかんでも科学一辺倒だと、どうしても頭が凝り固まってしまいます。広い心で受け止めて、あらゆる可能性を信じるのもアリかと思います。
慢性的な症状の場合、まずは鍼灸の治療を受けてみてはいかがでしょうか?
現代医学で言われている『不定愁訴(ふていしゅうそ)』は、案外、鍼灸で何とかなるものだったりします。
原因が明らかなものだと現代医療は強かったりいますが、よくわからないものは東洋医学が強かったりします。
体調管理は、セルフケアも大切ですが、キチンと良くしてくれる施術者の施術やアドバイスも有効です。
変に溜め込んで心身を悪くせず、気軽にご相談ください(●^o^●)
【参考文献】
[Acupuncture for Chronic PainIndividual Patient Data Meta-analysis]
[Laser Acupuncture for Treating Musculoskeletal Pain: A Systematic Review with Meta-analysis]
[Acupuncture for treatment of insomnia: a systematic review of randomized controlled trials.]