先日のことですが、僕のブログにこんなお願いをいただきました♪
初めまして。筋トレ初心者なのですが、BCAAとEAAの違いについてわかりやすくまとめていただけないでしょうか。
はい!
よろこんで!!
今回は、そんな筋トレ初心者(僕もそんな大した人間ではないのですが笑)はもちろん、中~上級者にも対応したブログを書いていきます。クレアチンについても、ほんのちょこっとだけ書いたことがあるのですが、トレーニーのためにも、サプリシリーズは書いていこうかと思います。
トレーニーからの質問ですので、筋トレにまつわる効果を中心に取り上げていきます。
いろいろと効果はあるのですが、一気に書くと記事内がいっぱいになりますので少し抑え目にしていきます(これでも抑え目です汗)。
こんな感じで、質問をいただければ、僕が調べられる範囲ではありますが、順番にお答えしていきます♪
健康につながれば、たとえばメンタルテクニックなりモテの科学なりを書いていきます(笑)。
とはいえ、今のところは美容・アンチエイジング・トレーニング・育毛を中心に書いていくと思います(^^♪
僕のきまぐれになりますが、きまぐれな分だけ精度は高いと思いますよ~~☆
≪Contents≫
筋トレのサプリEAAとBCAAについて
まずはEAAについてです。
EAAとは必須アミノ酸の略で、ヒスチジン・イソロイシン・ロイシン・リジン・メチオニン・フェニルアラニン・スレオニン・トリプトファン・バリンの9種類がそれにあたります。
必須アミノ酸はその名のとおり、自分で作りだすことができないので、外から取り入れる必要があります。
サプリによって、まんべんなく摂取していこうというわけですね!
EAAに関するデータには以下のとおりです…。
- 高齢者を対象にした実験で、12週間の1日2回の摂取で筋肉量や筋力が有意に増加し、加齢による筋力減少を防いだ
- 15gのEAAの使用で、トレーニング後の筋疲労によるパフォーマンスの悪影響がなかった
- BCAAとEAAの効果を比較した実験では、圧倒的にEAAの方が早くに効果が現れた
BCAAは必須アミノ酸のうちの後述の3つしか補えないのですが、EAAなら必須アミノ酸のすべてを摂ることができます。
とはいえ、一度にたくさんのEAAを摂ると『下痢』を引き起こしてしまうので注意!!
吸収率が良い分、腸内のEAA濃度が一気に上がるので、それを薄めるために腸内に水分が集まって下痢になってしまいます。
もしEAAを使うなら、基本は15gで、筋肉量が多ければ25g前後で良いかと思います♪
BCAAとは分岐鎖アミノ酸の略で、必須アミノ酸のうちのバリン・ロイシン・イソロイシンの3つを指します。
トレーニング前後に飲むと、筋肉の成長が速くなるという効果があるそうです。
BCAAは研究によって、そのスゴさがうかがえるようです。
- BCAAの1つであるロイシンが筋組織内のタンパク質合成があがり筋肉がつきやすくなる
- 10gのBCAAで筋肉痛が大幅に減少したという実験結果がある
- 同化ホルモンのレベルが上がり、筋肉が減少しにくくなるというデータがある
こういった根拠を元に、「筋トレにはBCAA!」という流れがあるそうです。
ですが、BCAAに関して突き詰めていくと、データ的に必要ないのでは?…という感じです。
普段の食事でも十分に間に合ううえに、長期的な研究では筋肉量をアップさせる効果が確認できなかったそうです。
なんでも、ロイシン(BCAAの司令塔)には筋肉のタンパク質バランスを変える作用があるのは間違いないようですが、長期的に見ると筋肉を増やす効果は出てないという研究結果が出ています。
まずそもそも論として、鶏肉や牛肉から摂れるタンパク質で約15%のBCAAが入っています。
そして、ホエイプロテインには約25%がBCAAです。
なので、肉類や乳製品を積極的に控えた生活を送っていない限りは、普段の食生活だけで十分なBCAAを摂っています。特にトレーニーなら、プロテインは必須アイテムですので、ほぼ間違いなくBCAAは足りているはずです。
ロイシンが筋肉におよぼす影響に関しては、たとえば2012年の論文でも、
高齢者のヒトとげっ歯類を対象に行った実験では、ロイシンの服用には、あきらかに筋肉のタンパク質バランスを改善し、筋肉の分解作用を抑制する効果がみられた。しかし、長期的な実験では、ロイシンの服用が筋肉量を増すことはできなかった。
…と、研究者は結論を出しています。
そんな感じで、BCAAに関して言えば「積極的に摂る必要なし」と言えるかもしれません。
信頼できるサプリの基準
EAAやBCAAのことを理解したところで、今度はサプリ全体を見極める方法についてお話をしていきます。
この方法については、2018年に国際スポーツ栄養学会(ISSN)が報告した、筋トレとサプリの効果に関するレビューが参考になります!
ISSNはこのなかで「筋肥大」と「トレーニングパフォーマンス」の2つの視点から、様々な研究報告を分析してくれています。そして、サプリの効果を示すエビデンス(科学的根拠)レベルを3段階に分けてくれました。
- エビデンスⅠ:明らかに安全で効果のある強力な根拠がある
- エビデンスⅡ:一部分だけ効果のある根拠がある
- エビデンスⅢ:効果や裏付けのある根拠が乏しい
ISSNが分析してくれたサプリの一覧がコチラです。
↓ ↓ ↓
カテゴリー | 筋肥大 | パフォーマンス向上 |
---|---|---|
I | ・HMB ・クレアチン ・必須アミノ酸(EAA) ・プロテイン |
・β-アラニン ・カフェイン ・炭水化物 ・クレアチン ・重炭酸ナトリウム ・リン酸ナトリウム ・水とスポーツドリンク |
II | ・アデノシン三リン酸(ATP) ・分岐鎖アミノ酸(BCAA) ・ホスファチジン酸 |
・L-アラニル-L-グルタミン酸塩 ・アラキドン酸 ・分岐鎖アミノ酸(BCAA) ・シトルリン ・必須アミノ酸(EAA) ・グリセロール・ ・HMB ・硝酸塩 ・運動後の炭水化物とタンパク質 ・ケルセチン ・タウリン |
III | ・硫酸アグマチン ・アルファケトグルタル酸 ・アルギニン ・ホウ素 ・クロム ・共役リノール酸(CLA) ・D-アスパラギン酸 ・エクジステロン ・フェヌグリーク抽出物 ・ガンマオリザノール(フェルラ酸) ・グルタミン ・成長ホルモン放出ペプチドおよびセクレトゴーグ ・オルニチン-α-ケトグルタル酸 ・プロホモモン ・スルホ多糖類 ・トリビュラステレストリス ・硫酸バナジル ・アスパラギン酸亜鉛マグネシウム |
・アルギニン ・カルニチン ・グルタミン ・イノシン ・中鎖トリグリセリド(MCT) ・リボース |
ざっくり言うと、筋肥大を謳い文句にしているサプリはⅢに分類されるものが多いですね。
これなら、低~中負荷の筋トレを回数こなす方が無難かと思います(@_@;)
パフォーマンスを高めるサプリも、Ⅰに分類されたものは多くはないですね。
EAAとBCAAに関しては、エビデンスレベルでは良いかも!…ですがEAAの方が優勢です。
そして前述のとおり、BCAAを買うくらいならおとなしくホエイプロテインでOKです。
…なので、コスパ重視でいくのなら、プロテインと水で十分いけるのでは(笑)。
筋トレ初心者にオススメのサプリHMBについて
筋トレ初心者の方からのご質問でしたので、ここで筋トレ初心者にオススメのサプリ『HMB』について取り上げます。
HMBは1990年代から海外で流行したサプリで、ハードな筋トレによる筋肉の分解を抑えると言われております。
筋肉の分解が少ないほど筋肉がつきやすい!…という理論ですね、かなり大ざっぱですが。
上述のとおりHMBのエビデンスは確立していますので、試すには十分な代物と言えます☆
2000年に出た論文を元に説明していきますね☆
37人の筋トレ未経験の大学生を以下の3グループにわけて、8週間後の状態を比較しました。
- HMBを使わないで週3回の筋トレ
- 1日3gのHMBを使って週3回の筋トレ
- 1日6gのHMBを使って週3回の筋トレ
そして、結果が以下のとおり…。
- HMBを使わないグループは筋肉が微増
- 3gのHMB を使ったグループは筋肉が2kg増量
- 6gのHMB を使ったグループは筋肉が減量
たくさん使ったのに筋肉が減った理由はわかりませんが、とりあえずたくさん使えば良いというわけではなさそうです。
HMBに関する実験はいくつかあって、そのうちの1つである2001年の実験をご紹介します。
この実験は40人の被験者を対象に、以下のグループにわけて3週間後の経過を調べたそうです。
- 3gのHMEと10gのクレアチンを同時に飲んだグループ
- HMBだけを飲んだグループ
- クレアチンだけを飲んだグループ
- なにも飲まないグループ
その結果が以下のとおり…。
- 1日に3gのHMBと10gのクレアチンを同時に飲んだグループは1.5kgの筋肉増量
- HMBだけを飲んだグループは400gのみ筋肉増量
- クレアチンだけを飲んだグループは900gのみ筋肉増量
HMBには筋トレによる筋細胞のダメージ補修効果があるようで、その効果によってタンパク質が無駄になるのを防いでくれるようです。
…で、なぜHMBが筋トレ初心者にオススメなのかですが、初心者は筋トレ中~上級者に比べ筋肉の補修が遅いからだと言われています。
いろいろと実験があるのですが、たとえば2003年のエリートアスリート27人を対象にした実験では、特に運動レベルの高いアスリートにHMBを6週間ほど飲んでも筋肉には影響がなかったとのこと…。
エリートアスリートがどのレベルを表現しているかはわかりませんが、運動歴が長い人には効果がない様子です。
1997年の実験で、最低3年間のウェイトリフティングを経験したことがある人が慣れないトレーニングをした場合、未経験者よりも回復が速かったことがわかっています。
といった具合です。
EAAは必須アミノ酸すべてを摂取でき、BCAAは必須アミノ酸のうちバリン・ロイシン・イソロイシンを摂取することができます。
お話したとおり、エビデンスレベルでもEAAの方が優秀です。それにBCAAは食事でも補えるし、ことトレーニーなら不足することはないので積極的に摂らなくても良いと思います。
また、筋トレ初心者なら、BCAAを選ぶくらいならHMBが良いかと思います。
初心者なら実験でも効果が出ていますので、それらを選ぶのが無難でしょう。
いろんな研究では、筋トレ初心者のくくりは大体6ヶ月ほどですね。
なので、トレーニングを始めて6ヶ月くらいはHMBを使って補助をして、それが過ぎれば好みでEAAを使うと良いのかと思います。
今回は触れなかったのですが、エビデンスレベルで優秀なのがクレアチンです。
後でクレアチンも紹介していきますので、どうぞお楽しみに☆
【参考文献】
[ISSN exercise & sports nutrition review update: research & recommendations]
[Beta-hydroxy-beta-methylbutyrate ingestion, Part I: effects on strength and fat free mass.]
詳しくご解説ありがとうございました!
筋トレとサプリのレビューを見て思ったのですが、スポーツなどにおけるパフォーマンス能力向上面としてはBCAAが有名なイメージがありますが、その点で言えばEAAも変わりは無いということでしょうか?
むしろ、筋肉もつくという点で一石二鳥だったりしますか?
ダンベルマンさん、ご質問ありがとうございます。
確かにパフォーマンス能力向上において、BCAAは有名な存在かと思います。
まずですが、
EAA=必須アミノ酸すべて
BCAA=必須アミノ酸のうち、ロイシン・バリン・イソロイシンのみ
なので、基本的に性能でいえば、純粋にEAAの方が優勢です。
EAAとBCAAを同時にとることで相乗効果が期待できるかというと、その点に関しては分かりかねます。
言えることといえば、BCAAは鶏肉や牛肉を摂っていれば問題ありませんし、プロテインでも十分だということです。
また、BCAAは数々の研究によって、
①長期的な筋肉増量は期待できない
②短期的にみればロイシンによって筋肉の回復が早まる可能性自体はある
③BCAAの過剰摂取によって糖代謝に悪影響がでて肥満になる可能性がある
といったことがわかっています。
お値段もかかりますし、プロテインや食事でBCAAは補給できますので、EAAだけで良いのではないかというのが、僕がダンベルマンさんに伝えられることです。
そしてBCAAを購入するのなら、むしろ『クレアチン』が良いかと思います。
エビデンスもしっかりしていますのでオススメです!