何気なく気になってしまったので、今回は『読解力』について調べてみようと思いました。
ツイッターをしているのですが、僕のつぶやきに反応してくれた人が結構いたので、皆さんも気になっているかと推測しています。なので、ブログという形で簡潔にまとめようと思った次第です。
もしかすると、他者とのやりとりで困惑している人が多いかもしれませんね(汗)。
≪Contents≫
読解力が低下している理由
紹介する論文は2018年に出たメタ分析で、読解力が低下している理由の1つが明確になったというものです。
これはバレンシア大学などの研究で、過去の学習に関係した論文から精度が高い54件を抜き出しています。
具体的な調査内容ですが、それは『紙の書籍と電子書籍とを比較した場合、私たちの読解力にどれくらいの影響があるのか?』という点です。
これまで個別のデータが出てきたものの、統一されたものではなかったので、決着をつけようというわけですね。
結論から言いますと、『明確に電子書籍の方が劣っていた』ということです。
デジタルのテキストと印刷されたテキストとを比較した場合、デジタルのほうが文章の理解力は低いというのは多くの先行研究と一致しているそうです。
そして、紙の書籍の優位性についても、以下の2つのポイントが解明されています。
- 読書の時間が限られた状況下では、紙の書籍がさらに優位になる
- 紙の書籍の優位性は、あらゆるジャンルで確認されている
専門書でも小説でも、電子書籍よりも紙の書籍の方が圧倒的に理解しやすいということ!
電子書籍の効果量については-.21(-.50だとかなりの影響があると考えてください)と小さなものですが、現実に置き換えると、効果量の違いが大きく影響していく様子です。とくに小学生といった小児期は教材の影響力がかなり大きいので、効果量-.21という数字は甘く見ない方が良いみたいです。
メタ分析とはいえ、いろいろと不備がありますので電子書籍がすべて悪いわけではありません。
たとえば、時間制限がない場合ですと、紙の書籍と電子書籍の差はほとんど確認されていません。
なので、時間に余裕があるときは電子書籍の方が軽いので読みやすいかもしれません。また、各研究に参加した被験者のなかには電子書籍に慣れていない人も含まれていて、正確なデータがとれていない可能性があります。
とはいうものの、デジタルは集中力を奪われるという研究もありますので、正確な判断は難しいところです。
『読解力』を上げる方法
2019年という最近の論文で、「手書きと文章の読解力の関係性」について調べた研究がありますのでご紹介します。
これはマードック大学の研究で、6〜7歳の子供154名を対象に、以下の3つのポイントを調査しました。
- 子供たちの手書きの能力(ex:文字の美しさや書く速さなど)
- 子供たちの読書の能力(ex:個々の単語の正確な理解力や書物などの全体の読解力など)
- 教師が子供たちの読み書きの指導に費やした時間
これらの要素を定期的に調べていき、手書きの文章力と読解力の相関を分析したというわけです。
その結果が以下のとおり!
- 年始に手書きの文字が上手な子供ほど、1年後の読解力も向上していた
- 幼稚園で素早く正確な文字を書けると、1年後には文章の理解が容易になる
理由は分かりませんが、子供たちに手書きを学ばせることで読解力が向上したのは間違いない様子です。
研究者たちによると、近年の研究では、幼児期に手書きを学ぶことにより認知機能に良い影響がある可能性が指摘されているとのことです。手書きは脳を鍛えるにはうってつけのようで、たとえば、脳の発達、思考を表現する能力の発達、全体的なライティングの質と生産性の向上などが期待できるようです。
因果関係が明確ではないので、手書きの能力と読解力がリンクしているかどうかは、今後の具体的な実験で明らかになっていくでしょう。
ひとまずは、手書きをすることで読解力が向上することは言えるので、手書きをする機会があるのなら脳トレがてらでキレイに書いてみるのが良いでしょうね。
ということで、今回は読解力について調べていきました。
以前から「デジタルが人間の読解力を低下させている!」みたいな話はありますので、なるべく紙の書籍にふれていくのが良いのかと思いますね。個人的には字を書くのは好きですし、本は紙派なものなので電子書籍という選択肢は基本的にありません。
とはいえ、本ばかりだと部屋を圧迫しますので、ライトにまとまった書籍なら電子の方が良いのかと…!
【参考文献】