あくまで僕のスタンスですが、僕は糖質制限を“まったく”オススメしていません。
過去の僕のブログでも書いているのですが、今回の内容も理由となっています。
インスリン抵抗性や糖尿病患者or予備軍なら必要ですし、たんに糖質を摂りすぎているなら普通に戻せばすむ話です。
基本的に、糖質制限は健康を害するだけなので、止めておくのが正解だと思っています。
≪Contents≫
健康に最適な糖質の量について
ランセットという世界的に有名な医学雑誌に掲載された、「人間にとって、どれくらいの量の糖質が最適なのか?」という問題を調査してくれた論文がありますので、ご紹介します。
この論文は観察研究とメタ分析の2つで構成しているものでして、順を追って説明します。
まずは15,428名の食生活を25年にわたって追跡調査した観察研究から。
この調査の内容は、
- 対象者全員の普段の食生活を質問票で調査する
- 6回分の集計データをまとめて、炭水化物の摂取量と総死亡率の相関関係を導き出す
もちろん、喫煙や運動などの寿命に影響する因子を取り除いております。
そして、この研究では、1日の糖質の摂取量を以下のようなグループに分類してます。
- 低糖質グループ:総カロリーの40%以下
- 中庸グループ:総カロリーの50〜55%
- 高糖質グループ:総カロリーの70%以上
それで得られたデータがコチラです。
横軸が糖質の摂取量で、縦軸が死亡率です。
↓ ↓ ↓
大ざっぱに結論を言いますと、
- もっとも死亡率が低いのが糖質摂取量が50%のグループ
- 糖質の摂取量は多くても少なくても死亡率が上がる(低糖質の方がリスクが高い)
さらに、研究者の推測では、50歳の人が総摂取カロリーの50%が糖質の場合『低糖質よりも寿命が4年長い(+33年 vs. +29年)。高糖質よりも寿命が1年長い(+33年 vs. +32年)』とのこと…。
この研究の低糖質の定義ですが、上記のグループ分けのとおり40%以下としています。
なので、世間一般の糖質制限ではバッチリ該当しているので、僕はオススメしていないというわけです。
低糖質が短命を促す要因について
続いては、論文内にある、過去の糖質データから432,179人分をまとめたメタ分析をご紹介します。
結論からいいますと、こちらでも似たような傾向があり、低糖質と高糖質な人ほど寿命が短いということがわかりました。
ただし、この研究は『参加者のレポートのみを頼りにしていて、カロリーのことも考慮していない』ので、食事内容(たとえば加工食品ばかりの糖質制限など)が統一されていないのです。
そういう点に関しては、研究者もしっかりと理解しています。
研究者はこの研究者の考察に、以下のように述べています。
- 糖質制限ダイエットをすると、野菜・フルーツ・穀類の摂取量が減ってしまい、必然的に動物性タンパク質が増えてしまう。
- 糖質制限とバランス食では生理活性物質の量が異なる(分枝鎖アミノ酸、脂肪酸、食物繊維、ファイトケミカル、ヘム鉄、ビタミン、ミネラルなど)。長期の糖質制限は体に炎症を起こして生物学的な老化を促進させ、酸化ストレスを発生させる。
- その一方で、アジアや発展途上国によく見られる糖質が多い食事は、精製穀物の摂取量が多い傾向にある。このような食事は栄養価が低いため、結果として慢性的に血糖値が高くなり、代謝にマイナスの影響をおよぼす。
研究者の考察は、要は『三大栄養素のバランスが崩れ、必要な栄養が取れないのが問題』ということです。糖質の良し悪しではなく、質の良いタンパク質・脂質やビタミン・ミネラル、食物繊維やファイトケミカルをしっかり摂っていこう!…ということです。
カロリーの質を考慮すれば、別に高糖質でも問題ないのでは?…という感じでしょう。
全体のバランスを考慮しつつ、
「身体を鍛えたいから、タンパク質を基準に献立を組み立てよう!」
みたいなアレンジをすると良さそうです。
実のところ、僕自身は栄養をしっかり摂る以外はさほど気にしていない♪
【参考文献】
[Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis]