運動が苦手だったり、運動が嫌いだったり、さらには運動に価値を見出せない人が一定数存在します。
普段から運動をしている人なら、きっと「汗を流すと気持ちいいよ♪」と思います。
ですが、運動をすることに抵抗を持っている人は、そのように思うことができません。
運動は健康に良いので、是非とも取り組んでほしいものなのですが…。
今回は、そんな『運動をしない人ってどんな人なの?』という疑問を突き詰めた論文をご紹介していきます。
運動をしない人のイメージだと、「インドア派」や「ただの怠け者?」という感じですが、果たしてどうなのでしょうかね?
おそらく、運動を楽しくしている人とは受け止め方が異なるのでしょうから、彼らの心情を理解するのに良い機会かと思います。
もし周りにこのような人がいるのならば、どうぞ参考に☆
運動をしない人の性格的特徴について
これは2020年に出たオルブライト大学の実験でして、問題意識は「なぜ運動嫌いな人のなかには、どんなに運動をしても何1つ喜びを感じられない人が一定数いるのはなぜだろうか?」としています。
研究チームによると、
『臨床現場で見た患者の中には、「運動は拷問のようなものだ」と表現するばかりだ。
彼等は運動によって「心身が楽になる」ことや「達成感を得る」といったポジティブな体験を全くしたことがない。
運動でポジティブな体験をする人とそうでない人の間には、どのような違いがあるのだろうか?』
とのこと…。
僕は気分転換や「今よりもスゴくなりたい!」という気持ちで運動をしていますし、なにより習慣化しています。
この研究の問題意識には該当しないでしょうね。
この研究の具体的な内容ですが、64名の若者を対象にしていまして、以下のようなことをチェックします。
- まずは対象者全員の「ビッグファイブ」をチェックして性格を把握する
- さらに対象者全員の「不安感受性」のレベルを専用の用紙で評価する
- 対象者全員に加速度計(Fitbitのようなものです)を着用してもらい、1週間の活動量を調べる
そして、上記のデータをまとめていくと、以下のような結果を得ることが出来ました。
- 不安感受性が強い人ほど身体活動のレベルが低い
- 性格特性では「調和性」のみ身体活動の量と相関関係にあった
この『不安感受性』とは「ネガティブな感情によって起きる身体の変化にどれだけ恐怖を感じるか?」ということを意味しています。
そんなこともあり、身体感覚への恐怖は活動量と相関していたことにつながるというわけです。
皆さんも経験したことがありますが、ネガティブな感情がおきると
- 呼吸が乱れる
- 脈が速くなる
- 手足が震える
etc.
ネガティブな感情がおきると、普通なら上記のような身体の変化が起きるわけです。
ですが、不安感受性が高いと「倒れるのでは…」や「もしかして、死ぬのでは…!」みたいな気持ちになって怖がってしまいます。
運動をすると、当然ながら心臓がバクバクしますし、汗がダラダラ流れ出るものです。しかし、こと不安感受性が高いと「心臓発作が起きちゃう!」や「脱水症状が起きて気絶してしまう!」みたいな感じに変に怖がってしまうということです。
そんな感覚になるのですから、運動を『拷問』と解釈するのは、ある意味では必然的なのかもしれませんね。。。
研究チームによると、
心拍数の増加、焦燥感、息切れなどの身体変化に対する恐怖が、身体活動回避のリスクがある人たちの根底にある可能性は高い。
だが、このような不安感受性の問題は、行動療法や運動プログラムなどによって即座に低下させることができる。
とのことです。
基本的に、不安感受性が強い人に使われる療法は、パニック障害に用いられるものに似ています。
たとえば、
- 深くて速い呼吸を何度も繰り返して息切れを体験させる
- 階段昇降運動をして心拍数の変化を体験させる
といった不快な経験を積んで、自身に起きている身体変化が普通であると、脳に覚えてもらいます。
運動に苦手意識がある人は、1つ1つゆっくり挑戦していくのが近道でしょうね☆
【参考文献】