「体脂肪を減らす!」
キレッキレの肉体を手に入れるには、やっぱり余分な体脂肪を減らすのは必須事項です。
筋肉をつけると同時に、いかに体脂肪を減らすのかがカギとなるでしょう…。
とはいえ、気になるのは健康面です。
体脂肪がありすぎると健康に悪いのは確定していますが、反対に無さ過ぎるのも健康に悪いです。
今回は『体脂肪を減らしすぎることによる免疫力低下』について解説していきます。
低体脂肪率の弊害について
これは2020年に出たデータでして、77名のボディビルダーと64名の筋トレをたしなむ程度の健康人を招集し、被験者全員の体組成とヒト白血球抗原G(免疫機能が稼働しているかを示すマーカー)をチェックした研究となっております。
各グループの体脂肪ですが、
- ボディビルダー:男性6.5%、女性10.6%
- 健康人:男性16.7%、女性28.7%
となっており、明確に体脂肪率に違いがある中で、体脂肪や筋肉量とヒト白血球抗原Gとの関係性を調査していったというわけです。
結果ですが、以下のようになったそうです。
- ボディビルダー間の比較において、女性よりも男性のほうがヒト白血球抗原Gが有意に高かった(つまり、男性のほうが免疫機能が正常に働いていない)
- 男性ボディビルダーの場合、体脂肪率と筋肉量のあいだには、ヒト白血球抗原Gの増加と小〜中程度の有意な相関が認められた(つまり、体脂肪が少ない男性ほど免疫がちゃんと働かなくなるのかもしれない)
- 女性ボディビルダーの場合、体脂肪率とヒト白血球抗原Gの相関は弱く、有意ではなかった
統括すると、体脂肪率が低い人ほど免疫システムが低下してる可能性が高いと言えそうです。
ですが、詳細を追っていくと、
- ボディビルダーと健康人との比較でヒト白血球抗原Gのレベルに有意差が出ていなく、低体脂肪と免疫機能の不調に明確な関係性があるかどうかがわからない
- 体脂肪と免疫機能の不調の相関が小〜中のあいだと定まっておらず、関係は存在するものの決して強くはない。
- ヒト白血球抗原Gのみで免疫機能を調査するのは軽率では?
不確定要素がかなりあり、この研究だけでは「体脂肪が少ないと免疫力が落ちる!」というのは難しいです。
現時点において、低体脂肪率による免疫機能の悪影響のメカニズムについては、まだ不明な点が多いです。
ありえそうなのは、脂肪が少ないとエネルギー利用が少なくなることでしょう。必要なエネルギー量よりもカロリーが少なくなっているので、慢性的な栄養不足状態になります。この影響により、睡眠や代謝、免疫に異常をきたしやすいのかもしれませんね。
とりあえず、体脂肪率が低いと免疫力が落ちてしまう可能性自体はあるのかと…。
これについては、脂肪がエネルギーの貯蔵庫も担っているものでして、慢性的なエネルギー不足が免疫機能にダメージを与えている可能性がありますね。
なので、低体脂肪率の状態で免疫力を維持するためには、その分の栄養をしっかりと摂る必要があるのかと思います。あとは、体型維持のために、食べた分だけ運動もすることも求められそうです。
そう考えると、健康を維持しつつ低体脂肪率なのは、かなりの苦行と言えそうです…。
【参考文献】
[High plasma soluble levels of the immune checkpoint HLA-G molecule among bodybuilders]