『幸福=健康』をテーマに、少しでも幸福に近づけられる情報を発信しているのが当ブログ。
今回の内容は『健康を第一に考えるなら「良好な人間関係」を構築することも大切』でして、なんなら、ブログを開設して始めのほうに書いておけばよかったくらいです。
人間は社会的な動物なもので、誰かと繋がって生きていくことが基本とも言えます(まあ、1人でも平気な人もいますが…)
人間関係と健康との関係性ついては、数々の研究で解明されています。
以下のようなことがありますので、どうぞ参考に!
≪Contents≫
孤独と健康リスク
まずは、人間関係の前に、孤独であることのリスクについて。
孤独が人間の心身に悪影響がでることが以前から言われていまして、2010年に出たブリガムヤング大学のメタ分析では『孤独はタバコと同レベルの死亡率を誇る』ということがわかっています。
孤独によってすぐに死亡率が上がるわけではなく、孤独からくる慢性疲労やうつ、原因不明の疼痛などを経て、じっくりと心身が蝕まれていく様子。それによるダメージが、喫煙とほぼ同等のリスクというわけです。
おそらく、孤独による慢性的なストレスが炎症を起こして、メンタルに来ているのでは?っていう感じでしょうか。
その他、以下のようなこともわかっています。
■肥満と同レベルの死亡リスク
2015年のブリガムヤング大学がおこなったメタ分析で、過去70件のデータをまとめたところ、
- 孤独感(誰かといても孤独だと思っていること)は死亡率を26%高める
- 社会からの孤立は死亡率を29%高める
- 一人暮らしは死亡率を32%高める
この数値は、ほぼ肥満と同等の死亡リスクだとしています。
■認知症が多い
2012年のデータによると、孤独感(実際の友人、仲間の有無は関係ない)が強い人ほど認知症になる確率が高かったとのこと。
因果関係ですが、孤独感が認知症を引き起こすのではなく、認知症が孤独感を引き起こす可能性もあるそうです。
■劣悪な栄養状態である
2013年におこなわれた調査によると、50代を超えた1人暮らしの人は、パートナーがいる人と比較して野菜を摂取する割合が少なかったようです。
理由ですが、孤独感を解消するために、安心感が容易に得られるお菓子やジャンクフードを食べがちとのこと。
■身体に炎症が起きる
この項の冒頭に話した僕の推察のとおりですが、2011年の論文では、孤独感を抱いた人は、遺伝子の発現に違いが発生し、細胞に慢性的な炎症を起こすそうです。
慢性炎症は、メンタルや肥満、アレルギーなど、あらゆる疾患の原因ですので、結果として死亡リスクが増加してしまいます。
■睡眠の質が低下する
2011年の実験によると、95名の被験者を調査した結果、孤独感のスコアが高かった人ほど睡眠時間が短く、中途覚醒する傾向が強かったそうです。
この現象については、日常生活のストレスや不安感とは無関係で、孤独感が睡眠を妨害する理由は不明とのこと。
■実際に身体に痛みを感じる
2003年の実験によると、孤独感は脳の前帯状皮質に刺激を与えて、実際の痛みに近い感覚が生み出されてしまうようです。
それに加え、その痛みを軽減させるために、脳内麻薬まで分泌されることがわかったそうです。
「腰痛はメンタルが原因かも?!」ということもあり、機序は違えど、精神状態によって本当に身体に痛みを感じるみたいです。
『良好な人間関係』による健康ベネフィット
前項のブリガムヤング大学のメタ分析では、寿命を延ばす効果が高い要素をランキングすることができたそうです。過去に行われた「孤独と健康」に関する148件の論文から308,849名分のデータを精査したもので、その結果が次のとおりです。
↓ ↓ ↓
英語ですし、見づらいと思いますので和訳しますと、
- 良好な社会関係(0.6以上)
- 社会との一体感(0.6以上)
- タバコを1日15本以下
- 心疾患の患者を対象とした禁煙
- 禁酒
- ワクチン接種
- 心臓病後のリハビリテーション
- 運動
- 可体重から標準体重へのダイエット
- 高血圧の治療(0.2以下)
- 大気汚染の改善
このヨコ棒が「効果量」でして、その名のとおり効果の大きさを表します。
この数字が0.2を下まわると「効果はイマイチのようだ…」と考えられていて、0.5〜0.8の間だと「効果はバツグンだ!」と考えられています。
一目瞭然ですが、人間関係・社会関係の数値が圧倒的に効果が高く、その効果は運動やダイエットのおよそ3倍です。
孤独感が強い人が心からの友人・親友を作ることで、寿命が最大15年も延びる可能性があります。
注意点としては、ネット上での交流は「良好な人間関係・社会関係」には当てはまらないようです。
実際に、2011年のフローニンゲン大学がおこなった研究では、
- どんなにネット上で友だちと交流をしても孤独感は改善しない
- ネット上の交流のみが続くと、年15%のペースで感情的な親密度が減少していく
- メールを一回するごとに、家族や友人と親密に過ごす時間は1分ずつ減少していく
というデータがあります。
ユニセフの2007年の調査では、日本の子ども(15歳以下)は29.8%が孤独感があり、先進国では最高の数字です。改善されていれば良いのですが、なかなかに切ないものです(汗)
重要なのは「孤独感」でして、たとえ友達が多いとしても、一人ぼっちと思ってしまうと意味を成しません。
2-3人だとしてもつながりが強ければ十分ですし、本当にさびしさがなければ問題なし!…という感じです☆
【参考文献】
[Social Relationships and Mortality Risk: A Meta-analytic Review]
[Loneliness and Social Isolation as Risk Factors for Mortality: A Meta-Analytic Review]
[Feelings of loneliness, but not social isolation, predict dementia onset: results from the Amsterdam Study of the Elderly (AMSTEL)]
[Evidence Brief 5: Multiple social ties and healthy eating in older people]
[Transcript origin analysis identifies antigenpresenting cells as primary targets of socially regulated gene expression in leukocytes]
[Workshop report. Circadian rhythm sleep–wake disorders: gaps and opportunities]
[Does rejection hurt? An FMRI study of social exclusion]
[Use of Social Network Sites and Instant Messaging Does Not Lead to Increased Offline Social Network Size, or to Emotionally Closer Relationships with Offline Network Members]
[An overview of child well-being in rich countries:A comprehensive assessment of the lives and well-being of children and adolescents in the economically advanced nations]