正直なところ、環境が人間を作りますし、人間が環境を作ります。
残念ながら、「風紀を乱すものは、この場から去ってもらう…」みたいな堅苦しい文言を放つドラマやマンガのセリフは、ある意味正しいことがわかりました。
実際に、職場における失礼な立ち居振る舞いは、周囲に感染していることが研究で示されています。
今回は「健康的な環境を保つためにも、失礼な人はすぐにでも改善させた方が良い」ことについて解説していきます。
環境はとても大事なので参考にしていってください。
不作法による個人・チーム・組織に与える悪影響
これは2021年にでたポートランド州立大学のメタ分析でして、76のデータから得られた35,344名の労働者を分析したものとなっております。
この研究では、
- 職場での不作法は組織にどれくらいダメージを与えるか
- 職場での不作法は組織にどんな変化をもたらすのか
ということを調査してくれています。
この研究における不作法とは、
- 皆の前で誰かを批判する
- 不快な立ち居振る舞いをする
- 重要な情報を隠ぺいする
- 会議に遅刻する
- 会議中にメールをチェックする
- 同僚を無視する
etc.
などと、程度の度合いが様々なものを含めております。
今回のメタ分析でわかったことが、以下のとおりとなっております。
- 自身の仕事をコントロールできている社員は、同僚に不作法をとる可能性が低い。これは、仕事をコントロールできる社員が仕事を自由に終わらせられるため、無礼な同僚に立ち向かう時間とエネルギーに余裕があると思われる
- 直属のチームやワークグループがより礼儀正しい作法をおこなっている場合、そこに所属する社員が失礼な態度をとる可能性は低い
- 年齢が高くなるほど、失礼な立ち居振る舞いをする可能性は低くなる
- 不作法を経験、または目撃した労働者は、他者にも不作法になる可能性が高い
冒頭でもお伝えしたとおり「環境が人を作り、人が環境を作る」が正しく、礼儀正しさは周りに伝染することがわかりました。
この分析では、礼儀正しい人物がいれば、それが良い意味で伝染していきます。
ですが、これが礼儀知らずの無法者だと、たちまち悪影響を及ぼしてしまうのです。それがただ一人いるだけで、職場やチーム、個人でも、その空気が劣悪になります。
研究者によると、
組織は、不作法を受けた労働者をサポートすることが重要だ。
無礼に扱われた労働者もまた無礼な行動を取る可能性が高く、悪循環に陥ってしまう危険性が高い。サポートを提供することは、道徳的に正しいだけでなく、その無礼な行動が組織内で負の連鎖を生む可能性を阻止することにもなる。ここ数年、人々は対人コミュニケーションを取らない生活に順応してしまっているため、「難しい会話」を上手に処理するような習慣がなくなりつつある。あくまでも可能性の話だが、パンデミック後の世界では、礼儀知らずな労働者が起こす負の連鎖は、より強くなるのかもしれない。
コロナ禍の現在、リモートワークが主流になっていますし、SNSの交流がさかんになっていますので、対面による議論が少なくなってきています。
そうなってくると、口論を処理する機会もなくなりますので、相手に対して失礼な態度をとってしまう可能性がありますし、失礼な態度への免疫が落ちてくるでしょう。
使わないでいくと技術は劣化しますので、コミュニケーションスキルも落ちてきて、失礼な人たちが増加しているでしょう。これは想像の話なので真には受けないでほしいですが、混沌とした社会が出来上がってしまい、より対人・対組織間の大きくなるのかな?って思います。
なるべく早く「多様化社会」を実現させて、負の連鎖を止めた方が良いのかと!
【参考文献】
[An “I” for an “I” : A Systematic Review and Meta-Analysis of Instigated and Reciprocal Incivility]