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ストレッチをしても「健康には何の役にも立たないのでは?」という意見があるようです

今回はストレッチにまつわる話。
過去のブログにも書きましたが、ストレッチに関する僕の意見は

 

  • 身体の柔軟性を高めるには「運動後」に「静的ストレッチ」が良いよ!
  • 運動のパフォーマンスを高めるには「運動前」に「動的ストレッチ」が良いよ!
  • 運動や仕事などの疲労を回復させるには「静的ストレッチ」でリラックスだ!

etc.

 

という感じ。
詳しい話は、僕の過去のブログを参考に♪

 

ことスポーツや武道、ダンスなどのパフォーマンスにおいて柔軟性は重要だと思っています。

アメリカスポーツ医学会も「ストレッチングと柔軟性」について語っていますので、柔軟性はあった方が良いでしょう。ところが、近年のデータの1つに「柔軟性があっても健康には何の役にも立たないのでは?」という意見があるそうです。

確かに、言われてみれば「こと健康という側面から見れば…」という感じで、参考にするには良いのかと思います。

 

 

ストレッチングと健康の関係性

 

これは2020年に出たニューサウスウェールズ大学の研究者が発表した論文で、313の文献が基となった意見書のようなものです。

ここでの柔軟性の定義は『静的な柔軟性とは、通常、筋肉が弛緩した状態での関節のROM(可動域)のことである。静的な柔軟性は、限界ROMがテスターまたは患者とそのストレッチ耐性によって決定されるように、主観的なものである。』としています。つまり、柔軟性とは特定の筋肉を伸張させることができる能力のことを指し、その程度は「痛みにどれだけ耐性があるか?」という主観的な判断によって差が生じるということ。

この分析では静的ストレッチの役割だけに限定されてまして、動的ストレッチについては言及はしていません。

 

この論文をまとめますと、以下のようになると思います。

 

  1. 筋トレ(プッシュアップなど)や有酸素運動(ランニングなど)は、ストレッチだけに集中しなくてもシット&リーチ(長座での柔軟測定)のスコアを上げることができ、筋肉の成長や心肺機能の向上など、他の利点もある。筋トレについては、柔軟性が約25%ほど向上することを示す研究がいくつか存在する。
  2. 立位での体幹の屈曲(つま先に触れる柔軟測定)と死亡リスクの減少との間には相関関係がない(=ストレッチをしても長寿にはつながらない可能性が高い)。この点については、筋トレなどのほうが影響が強い可能性がある。
  3. 柔軟性は加齢とともに低下するものの、筋力と異なり、柔軟性は高齢者の転倒を予測しない。転倒において、柔軟性よりも筋力が将来の日常生活動作のパフォーマンスを示す有力な指標であることを示す研究も存在する。
  4. 最近のシステマティックレビューでは、足首とハムストリングの柔軟性が筋肉の損傷を予測する「中程度の証拠がある」と結論づけている。
  5. 関節の可動性が高い(柔軟性の高い)プロの男性サッカー選手は、関節の可動性が高くない選手と比較してケガのリスクが高く、重症化する傾向がある。
  6. たとえ柔軟性が高くても、心肺機能の健康、心血管系の持久力、筋持久力と強さとは関係性がない
  7. 水泳選手、ダンサー、体操選手などにおいては、柔軟性が高い方が有利だと思われる。しかし、大半のスポーツでは、柔軟性のスコアが高さと高いパフォーマンスとに関係性があるわけではない
  8. 柔軟性が高くてもQOL(生活の質)が向上することはなく、腰痛発症を予測することもない

 

全体的に、否定的な意見が多数あることが伺えます。
ものすごく大ざっぱにまとめると「一般人や特定のスポーツ以外のプレイヤーにとっては、柔軟性の有無は健康に関係ないのでは?」ということ…。

 

とはいえ、ストレッチが完全に意味をなさないというわけではなくて、報告の一部には「ストレッチを10週間することで若年成人の筋力と持久力が約30%向上した!」もあるので、まだまだ完全否定できない分野ではあります。この研究チームは「従来の筋力トレーニングに参加できない人が、ストレッチによって利益を得ることができる可能性がある。」ということで、何も運動をしないよりかは、やった方が良いというレベル。

とはいえ、結局のところ研究チームは「ストレッチングの重要性を減らすことの意義は、トレーニング効率の向上と、運動処方の他の部分への悪影響を防止するところにある」とし、ストレッチをしない方が時間の節約になるということを主張しています。

 

 

 

 

僕の意見としては、この論文には「動的ストレッチ」が含まれていないので、動的ストレッチなどの準備運動はした方が良いかと思います。

筋肉が硬い状態でいきなり動くと、筋肉が損傷する可能性が高い気がしてなりません。
必要以上に可動域を広げる必要性はないとは思っているし、クールダウンとしての静的ストレッチも大事かとおもいます。

静的ストレッチも、「運動するのに抵抗がある…」や「運動をする体力がない…」といった人には必要だと思いますね~~…。

 

 

【参考文献】
[Stretching and Flexibility Guidelines Update]
[The Case for Retiring Flexibility as a Major Component of Physical Fitness]

 

 

 

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