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都会暮らしと田舎暮らし、どちらが幸せに暮らせるのだろうか…?

「何もない田舎よりも、煌びやかな都会の生活にあこがれる♪」
「喧騒な都会から離れて、田舎でのんびりと暮したい♪」

…といった思いを持っている方々は、大いにいることでしょう。

実際のところ、都会暮らしと田舎暮らし、どちらが幸せに暮らせるのだろうか…?
今回は、そんな巷にあふれた素朴な疑問について、アカデミックにお答えしていきますので、よろしくお願いします。ちょっとした雑学として覚えていただけると、どこかのタイミングで約に立つと思います!

 

 

都会暮らしにおける生活満足度

 

都会暮らしの生活満足度については、以前から調査がおこなわれておりまして、そこでは「都市幸福度のパラドックス」と呼ばれる現象が何度か報告されています。

都市部は仕事の機会が多く様々な施設も充実していますから、「楽しい生活が送れる♪」と感じる人がいます。ですが、その一方で、都会の喧騒や個人間の所得格差が不釣り合いに高いなどの不満を抱える人もたくさんいます。そんなこともあり、都市部に住む人は、田舎や地方都市に住む人よりも幸福度が低いかもしれないという通説が生まれたというわけです。

 

2024年に出た調査がありまして、これはヨーロッパおよびイギリス76万を超える人数のデータを分析した、大規模なデータとなっております。個人の主観的な幸福度に関するデータが集まっておりまして、このデータを元に、参加者が都市暮らしか地方暮らしかを考慮しながら、どちらが幸せに暮らせるのかを評価していきました。

今回のデータによって得られた結論ですが、都市幸福度のパラドックスについて、以下のようなことが言えるそうです。

 

  • 都市部は貧富の差が広がりやすく、特に貧困層の幸福度が低下しやすい
  • ただし、都市部は「仕事を変えやすく、教育のチャンスが多い」という要素が、経済格差の悪影響をある程度相殺している。

 

分かりやすく言うと、確かに都市部は幸福度が下がりやすいのだけれども、それは「経済的に不安定な層」に顕著に現れており、富裕層はむしろ都市部の恩恵をフルに受けられるということです。

詳細を述べていきますと、都市幸福度のパラドックスは、主に2つの要因によって構成されておりまして、

 

  1. 経済力の影響:都市部には「富裕層」 と 「貧困層」 の両方が集まる特徴がある。富裕層はビジネスエリートや専門職、クリエイターなどの高給取りで構成されていて、貧困層は不安定な仕事に従事するギグワーカー、低賃金労働者、移民などを意味する。EU圏のデータによると、2021年時点で都市部の失業率が7.8%であるのに対し、農村部では5.8%となっており、都市部が顕著に高いことが確認されている。これは「都市部には高給の仕事も多いと同時に貧困層も多い」ということを意味しており、結果的に、都市では生活の安定度が低い人が多くなってしまい、「都市の幸福度が低い」という結果が出やすくなる。
  2. 都市化による「コストとメリットのバランス」の問題:都市部には多くのメリットが存在しているものの、それと同時に「都会暮らしによるコスト」が幸福度を低下させる原因にもなっている。例を上げると、都市は仕事の機会が多いものの、通勤時間が長くてストレスが多く、多種多様なサービスを利用できるものの、家賃や物価といった生活コストが高い。教育や文化施設が充実しているものの、騒音や犯罪のリスクも高いといったメリットとコストが表裏一体である。都市部には高給の仕事が多いが、実際には生活コストも高いため、収入が増えても貯金ができない場合が多く存在している。また、満員電車や長時間通勤によるストレス、住宅環境の悪化なども都会暮らしの幸福度を低下させる要因となっている。特に、低所得者ほど「都市部のコスト」の悪影響を受けやすく、幸福度が低くなる傾向があることが研究によって示唆されている。

 

とのこと。

その一方で、都市部には社会的上昇の機会が多く存在しているという考え方もありまして、都市部の大きなメリットとしては「労働市場が流動的なので新しい仕事を見つけやすく、教育やスキルアップの機会が豊富なため、自己投資のチャンスが多い。人口も多いため、人脈が広がってビジネスチャンスが増える」こと。総括すると、都市部は「学歴やスキルが高い人ほど成功しやすい」傾向があるので、都市の幸福度は本人の社会経済的な状況によって大きく変化することになります。

 

 

 

 

今回のデータを参考に、都会暮らしの恩恵をフルに受けたいなら、

 

  • 生活拠点を厳選する:自身の仕事の通勤時間や、収入に合った生活コストに最適化する
  • 都会の利点を活用する:教育機関や文化施設を活用し、自己投資に精を出す
  • 経済力を確保する:副収入などで資金を確保する

 

というところがベストでしょう。

ネガティブなことを言ってしまうと、単なるあこがれだけで都会に住むのはリスクが大きく、大気汚染による健康被害があるので、明確な目的がなければ地方や田舎の方が平和的だと思います。それでも「仕事のため」といったこともあるでしょうから、通勤時間を短縮させるなどもリスクを軽減させる工夫が必要となってきますね☆

 

 

【参考文献】
[Cities, Inequalities and the Geography of Societal Discontent in European Regions]

 

 

 

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