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筋トレ歴が長くなるほど、筋肉の増加量はどのように変化していくのか?

「筋トレをすれば筋肉は増える!」

…は、当然のことでしょう。
ただ、巷での話だと、「始めのうちは筋肉がつきやすかったけど、筋トレをやっていくほど、あまり筋肉がつきにくくなった…」とは良く聞きます。筋トレ初心者は、ドンドン筋肉がついていって喜んでいたけど、中級者以降は、同じ分だけやっても効果が実感しにくい。イメージ的には、最初の1〜2年ぐらいで効果のピークを迎え、そのあとは対数関数的に効果量が鈍化していく感じです。

今回は、「筋トレ歴が長くなるほど、筋肉の増加量はどのように変化していくのか?」について科学的に追究していきます!

 

 

筋トレ歴と筋肉増加量の関係性

 

まず見ていくのが、2024年に出た研究。

この研究では、被験者がトレーニング歴のある人間のみの297名でおこなわれていて、参加者を2グループに分かれてもらい、片方には関節をフルに使った筋トレを12週間指示しております。この研究は本来、「筋肉を伸ばした状態の筋トレ」について調査したものなのですが、しっかりと筋トレをし続けた人たちが、どれくらい筋肉が増えたのかを見るのにピッタリの内容なのです。

…で、肝心の結果なのですが、「両グループとも、ほとんど筋肉量が増加していない」ことがわかったそうです。詳細を述べていきますと、上腕や大腿の肥大効果は効果量で0.1以下なので、研究的に0.5以上なら効果に期待できるとされているものの、この効果量では「やらないよりマシ」としか言えません。

 

2020年に出たメタ分析を元に、一般的な筋肉増加量をみていきます。

若年男性951名(年齢は18~25歳)を対象に約2.5ヶ月の筋トレをおこなった場合、「平均の筋肉増加量は約1.53kg」というデータが得られたようです。しかし、これはあくまでも“平均”での話で、ここに大きな個人差が発生してしまっております。

 

  • 下位10%の人は、0.44kg以下しか増加していない
  • 中央値の人は、約1.5kgの筋肉の増加があった
  • 上位10%の人は、3kg以上の筋肉の増加があった
  • ごく一部の人は、約6kgの筋肉の増加があった

 

筋肉の増加に大きなバラつきがあり、その平均が約1.53kgということなので、判断が難しいのが現状です。

取り上げたメタ分析で重要なことは、どんなにキツい筋トレをやっても、筋肉が増えにくい人が一定数存在するという点でしょう。筋トレも栄養管理も最善を尽くしても、「0.44kgしか筋肉が増えない…」という人が5〜10%はいますので、それが自分である可能性が十分にあります。反対に、まったく同じ筋トレメニューや栄養管理でも、3kg以上筋肉が増える“ハイレスポンダー”も一定数存在しますので、筋肉の増加は、一種の才能であると言えます。

 

 

 

 

もちろん、筋トレ歴が長くなれば効果量も鈍化していきますので、ハイレスボンダーでもトレーニングを続けていれば、筋肉の増加量は年1kg未満になる可能性があるでしょう。

そういったことも含め、トレーニング年数によって筋トレの効果がどのように変遷していくかと言いますと…、

 

  • 筋トレ初期(1~2年目):筋肉の成長のピーク(年間で4〜10kgほど、筋肉が成長するかもしれない)
  • 筋トレ中期(2.3年目):成長率が40%ずつ減少していく
  • 筋トレ後期(5年目以降):筋肉の増加量が年1kg未満になる

 

といった具合になります。

これは、ノンレスポンダーやハイレスポンダーにも共通して現れると思われます。これを知ることによって、今現在の自分の成長曲線がどの位置にあるのかが把握でき、筋肉があまり成長していなくても、さほど気にする必要がなくなります。また、筋トレの研究であまり筋肉が増えていない事例がいくつも報告されていますが、

 

  1. 筋トレメニューが画一的
  2. 期間が短く、大体が3ヶ月以内
  3. 個別調整がない
  4. 心理的な管理がされていない

 

というのもあり、これだと筋肉の成長が促されないのは当然とも言えます(もちろん研究なので、筋トレメニューをコロコロ変えるなどはできませんが…)。

当然、現場では個々人の健康状態を把握して、

 

  • 筋トレメニューを適宜調整する
  • 栄養管理を徹底する
  • ストレス緩和やモチベーション維持
  • 睡眠の質の調整

 

をしていくのが普通で、純粋な筋トレ“だけ”での効果を追究するために、研究では他のファクターを除外するのは仕方のないことです。以上のことから、継続的に筋トレをしていくにあたり、次のことを意識するのが良いのかと思います。

 

  1. 筋トレの効果は、トレーニング歴が長くなるほど“鈍化”するものの、まったく効果がなくなることはない。また、年齢が上がるほど筋肉の付き方が悪くなるのは当然なので、それに対して落胆する必要はない。
  2. 筋肉が増えにくい人(ノンレスポンダー)でも、筋トレをやればやった分だけ効果があるので、筋トレをする意義はある。
  3. モチベーション管理のためにも、自身の成長曲線を把握して、筋肉の成長の期待値を現実的なレベルに落とし込む。そのためにも、計測し続けて、過去の自分と現在の自分を比較していくことがポイントとなる。

 

なので、たとえ1kgしか筋肉が成長していなくても、長年筋トレをしてきたアラフォーの視点だと、ものすごい成長といえるのです☆

 

 

【参考文献】
[The effects of lengthened-partial range of motion resistance training of the limbs on arm and thigh muscle cross-sectional area]
[A Systematic Review with Meta-Analysis of the Effect of Resistance Training on Whole-Body Muscle Growth in Healthy Adult Males]

 

 

 

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