過去のブログで『男女の友情の実態』について取り上げていまして、読者からの感想をいただきました。
この研究では男性の99%が女性に手を出したとありますが、草食系の男性はこの手のアンケートに参加しにくいと思うのでアクティブなタイプの男性限定の結果かもしれません。
また、女性は性愛に関することを秘匿するので質問に正直に答えていないかもしれないし、アプローチは基本男性から仕掛けるので(女性は受け身なので)女性からのアプローチがないからといって女性に恋愛感情がないとも言えません。99%の内、何%の女性が応じたかが正確なところではないでしょうか
僕が取り上げた研究データを基に解説していまして、そこでは「男女の友情は成立しない」という結論をだしています。
もちろん、これだけでは判断はできませんし、研究者も「男女の友情は破綻しやすい、どちらか一方が性的関心を持つケースが多い」としています。世間でも「男女の友情は存在するのか?問題」はかなり議論されていますし、非常にセンシティブな内容なのかと思います。
とはいえ、「健康=幸福」をテーマに情報発信している身として、このあたりも範疇です。
方向性はちょっと違うかもしれませんが、今回は『恋愛関係が始まるきっかけ』から考察していこうかと思います。
恋愛が始まる基本について
これは2021年に出たヴィクトリア大学などの研究でして、「恋愛がどのようにして始まるのか?」をメタ分析した内容となります。恋愛が始まるきっかけは、往々にして「ずっと楽しく過ごしていくうちに、相手をドンドン好きになっていく展開」か「突然訪れる、燃えあがるような展開」の2つでしょうが、果たしてこの研究ではどのような結論を出したのか…。
この論文は計4つの異なる実験から構成されていますが、大まかにまとめますと、
- はじめの2つの研究では、恋愛が始まるきっかけについて、一般的な雑誌や本を分析して過去の文献がどういった結論をだしたかをチェックする
- カナダとアメリカでおこなわれた7つの過去の恋愛研究に焦点を当て、1,897名分のデータを分析して、実際には恋愛をどのように始めているのかをチェックする
調査方法は、恋愛関係になる前のパートナーとの関係性を尋ねていきます。
- 友人
- 友人の友人
- 知人
- 同じ職場の人
- 初めて会った人(他人)
- その他
そして、恋愛が始まったきっかけを質問していったというわけです。
質問から得られたデータを分析した結果、まず、過去の雑誌や本のおよそ8割は「突然訪れる、燃え上がるような恋愛」に焦点を当てており、「ずっと楽しく過ごしていくうちに、相手をドンドン好きになっていく恋愛」については触れていなかったようです。
それに対し、実際に恋愛が始まるきっかけですが、66%のカップルが友人関係から始まり、その多くは、数ヶ月から数年に及ぶ長期的な友人関係を経て恋愛に発展するパターンが多かったそうです!
300名の大学生のみを対象にした研究では、「友達の段階」から恋愛に発展するまで平均して約22ヶ月だそうです。また、この参加者の約半数が「恋愛を始めるには友人からが良い」だと回答し、もちろん、これには「この人と恋愛関係になりたい!」と考えて交友関係を始める人はほとんどいませんでした。
また、
- インターネットで知り合った場合や、ブラインドデートで知り合った場合は、恋愛の始まり方としては最悪だと評価した
- LGBTQの参加者の方が、異性愛者よりも友達から始める割合が高かったが、これについてはサンプル数が少ないので不明
- 友人から恋愛が始まるパターンは、年齢や民族を問わず一貫していた
実際には友人関係からスタートする恋愛は多いのに、だいたいは、いわゆる一目ぼれを扱ってるケースが多いです。
フィクションでは「燃えるような恋愛」が基本ですが、現実の恋愛はゆっくりと2人の関係性を育んだ上で成り立つものなんですね♪
研究者は、
我々の文化の中で、支配的な恋愛の筋書きに起因する、恋愛に関する先入観を見直す必要がある。
恋愛の筋書きの多くは、運命の出会いがあり閃光が我々を襲うと言われている。この筋書きを信じていたら、他の状況を想像するのは難しい。
簡潔にまとめると、
- 男女の友人関係と恋愛関係の境界線は、世間が思っているほど明確ではない
- 調査に参加した既成カップルのうち66%は「恋愛関係になる前は友人友人関係だった」と答えている
- 友人関係から恋愛関係に移行するの約22ケ月(およそ2年)の期間を要している
- 多くの既成カップルは、完全に恋愛関係が成立する前に、性的行為をおこなう友人関係だったとも答えている
この研究は、あくまでも「恋愛が始めるきっかけ」について焦点を当てたものです。
例えば、「友達から恋愛関係になったカップルと、恋愛関係前提から交友していき恋愛関係になったカップルのどちらが絆が強いのか?」などといった問題は、この時点では不明ですね。
これを見ていくと、「男女の友情は存在するの?」と聞かれると、「友人関係から恋愛関係に移行するケースがあるから、明確化するのはかなり難しい」と言えます。過去のデータからも、白黒つけようとするなら「男女の友情はない!」が優勢ではないのでしょうか?
【参考文献】
[The Friends-to-Lovers Pathway to Romance: Prevalent, Preferred, and Overlooked by Science]