「水をたくさん飲むと、胃が膨れて空腹感が減って、カロリー摂取量が減るよっ♪」みたいな理論で、水ダイエットがあるみたいですね。
個人的には、普段あまり水を飲まない人に対してアドバイスのなら賛成ですが、東洋医学的に、水分代謝がよろしくない人にはオススメしたくはないです。「ゆっくり食べましょう」や「野菜や果物など、バランスよく摂りましょう」といった、一般的なアドバイスの類いだと思いますが、その実際は、どうなのでしょうかね?
今回は、そんな「水をたくさん飲むと脂肪が減る!」の真偽を追っていきますので、よろしくお願い致します。
水ダイエットの真実
これは2024年に出たメタ分析で、参加者計1,034名を対象にした8件のRCTをまとめたものとなっております。
そのうち7件はBMIが25以上の男女を対象で、残り1件はBMIが85パーセンタイル以上(またはそれ以上)の青少年を対象にしております。その他、研究の要点を大まかにまとめますと、以下のような感じです。
- 研究の期間は12週間〜6ヶ月
- データのうち3件は水を大量摂取が目的で、5件は水を別の飲料に置き換えるのが目的である。水を置き換える研究のうち、3つは砂糖飲料の代わりに水を、2つは人工甘味料入り飲料の代わりに水を摂取することを目的としていた。
- 研究のうち5件はバイアスリスクが低く、2件は中レベル、1件はバイアスリスクが高いと判断された。
- 総評として、エビデンスの信ぴょう性は低~中レベルで、より質の高い研究が必要ではあるものの、現段階においての「水のダイエット効果」についてはベストかもしれない。
以上のことを含め、現段階における「水ダイエット」の結論は、次のようになりました。
- 全体的な結果:水の摂取を増やす、ジュースを水に置き換えるといったことをしても、ウエストサイズにはほとんど影響がなかった(WMD = 0.05 cm, 95% CI = -1.20 to 1.30, p = 0.94)。
- 水を飲む量を増やす vs. ジュースを水に置き換える:水を飲む量を増やしても、ウエストサイズに影響はなく(WMD = 0.68 cm, 95%CI = -2.16 to 3.53)、ジュースを水に置き換えても、影響はなかった(WMD = -0.10 cm, 95%CI = -1.69 to 1.50)。
- 人工甘味料のドリンクを水に置き換える vs. 砂糖飲料を水に置き換える:人工甘味料飲料を水に置き換えると、むしろウエストサイズが増加する傾向が見られた(WMD = 1.23 cm, 95%CI = -0.03 to 2.48)が、砂糖飲料を水に置き換えると、ウエストサイズが減る傾向が見られた(WMD = -0.96 cm, 95%CI = -2.06 to 0.13)。
全体的な評価を見ると、「水ダイエットは効果がない!」というのが、現段階での結論ですね…。
たくさん水を飲むよう指示された参加者は、他のドリンクと置き換えるように指示された場合でも、その効果はどちらも統計的に有意ではなく、ウエストサイズへの影響も1cm未満だったようです。過去のデータでも、「水の摂取量を増やしても、空腹感や趣味嗜好に影響を与えるものの、カロリー摂取を確実に抑えるわけではない。」としていて、空腹を紛らわせても、結局は、いつも通り食べてしまうとのことです。
だたし、この研究では、砂糖飲料を水に置き換えた場合は脂肪率が減り、人工甘味料飲料を水に置き換えた場合は脂肪率が増える結果が出ている点は、見逃せないところ。この分析には、以下の可能性がありまして、
- この研究では、2件の調査しか評価しておらず、評価すべきデータの量が少なく結果に誤りがある可能性がある。
- 人工甘味料入り飲料は、参加者の甘味への欲求を満足させ、他の高カロリーな食べ物や飲料を求めるモチベーションを下げた可能性がある。そのため、ノンカロリーの甘味飲料を水に置き換えることで他の甘味への欲求を高める傾向が強化され、結果として糖質や総カロリー摂取量が増えた可能性がある。
といったことが予想されます。
水の大量摂取には効果がなく、普段から砂糖たっぷりのドリンクを飲んでいるなら、それを水に変えるのはアリでしょうね。あとは、普段から水をあまり飲まないのでしたら、その場合は意識した方が良いでしょうな☆
【参考文献】
[Water Intake and Adiposity Outcomes among Overweight and Obese Individuals: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials]
[Increasing water intake influences hunger and food preference, but does not reliably suppress energy intake in adults]