マンガ的な発想ですと、気を練ることで細胞を若返らせることができて若返る!…みたいな感じなのでしょう。
現実的なメカニズムとしては、瞑想をすることでストレスを軽減させ、老化を遅らせるというものです。ノーベル生理学・医学賞受賞者である心理学者のエリザベス・ブラックバーン氏は、2010年代に「ストレスによってテロメアは短縮してしまうが、反対にマインドフルネスや瞑想をすることによって、テロメアを保護できる可能性がある」と主張しております。テロメアは細胞分裂のたびに短くなっていき、限界まで短くなると細胞は寿命を迎える性質を持っております。すなわち、テロメアの長さが「細胞の年齢」と表現できるのです。
今回は、瞑想がストレスを軽減できるということで、瞑想を18ヶ月していった結果、若返ることができたのかを見ていきます!
瞑想による若返り効果
これは2024年に出たRCT(エビデンスレベルとしては高めの方法)で、65歳以上の高齢者137名を対象に以下の3グループに分かれて実験をおこなっていきました。
- 瞑想グループ:18ヶ月間の瞑想トレーニングを受ける(週1回のクラス+自宅での実践)
- 外国語学習グループ:18ヶ月間、英語を勉強する
- 対照グループ:普段通りの生活をしてもらう
その後、参加者全員の血液を採取してテロメアの長さを測定したところ、次のようなデータが得られました。
- 総評として、瞑想によって、テロメアに対して有意な効果が検出されなかった。
- しかしながら、瞑想を続けた人はテロメアの短縮を抑制できる可能性がある。すなわち、瞑想自体に効果があるかどうかは判断できないものの、瞑想を続けた人には何かしらのメリットがある可能性がある。
- 「オープンネス(新しい経験を受け入れる傾向)」が低い人ほど、テロメアの短縮が少ない傾向もあった。オープンネスが低い人とは「新しいことに対して慎重になる人」を意味しており、ルーティーンや習慣的な行動を好む傾向がある。そのため、瞑想を無理なく継続できる可能性がある。
つまり、瞑想にはテロメアを伸張させる効果がないものの、継続して取り組めば、テロメアの短縮を抑制させるかもしれない!…っていう感じになるでしょうね。
今回の実験の結果だけで考えると、「瞑想で若返ることができる!」 とは言い切れないけれど、、1日20分の瞑想を半年間、毎日続けられる人ならやってみる価値はありそうです。瞑想自体にストレスを軽減させる効果があるのは間違いないので、間接的にアンチエイジングになる可能性は十分にあります。
今回の実験では「マインドフルネス瞑想」と「慈悲の瞑想」という2つの瞑想に取り組んでもらっておりまして、それぞれ3ヶ月ずつおこなってもらったそうです。それぞれの瞑想法をお伝えしますので、アンチエイジングの習慣の1つにしたい方は、どうぞ参考にしていってください☆
■マインドフルネス瞑想
今この瞬間に意識を向けて、雑念に流されずに集中することを目的とした瞑想法。最も研究例が多く、ストレス軽減や感情のコントロール・集中力の向上などの効果が報告されています。特にビジネスや勉強、スポーツや格闘技向きなイメージです。
- 呼吸に意識を向ける(「今、息を吸っている・息を吐いている」と観察する)
- 雑念があっても、「なにか雑念があったな」と気づき、それを判断せずに流して呼吸に戻る
- 身体の感覚や周囲の音などをただ観察する
- 20分が経過したら終了する
■慈悲の瞑想
自身や他者に対してポジティブな感情の向上を目的とした瞑想法。こちらも研究例が多く、特に社会的つながりや感情の安定を高めるのに効果があるとされています。特に、人間関係にお悩みの方向きなイメージです。
- 自身に向けて、幸福であるようにと祈る
- 家族や友人、さらには苦手な人にも同じように祈る
- そこからさらに、すべての生き物への幸福を祈る
- 20分経過したら終了する