僕の職業の1つに、鍼灸師(正確には、はり師ときゅう師の国家資格の2つを持った人)があります。
概念が多い東洋医学ですが、科学的な側面以外のことも参考になりますので、このブログでも紹介していきます。
今回は東洋医学の基礎概念の1つ、『五行説』のお話です。
東洋医学では、「万物は5つの要素に当てはめることができる」とされています。
この5つの要素=五行には、お互いに助け合ったり、逆に抑制し合ったりする法則があります。
五行説を活用することにより、僕らの健康を調べたり、体調を整えることができます。
今回の記事を参考に、ご自身の体調管理に役立てていただけると嬉しいです。
≪Contents≫
五行説の特徴
万物は「木」「火」「土」「金」「水」の5つの要素に当てはめられるとされています。
それぞれの特徴は、以下の通りとなっています。
- 木:草木が芽を出し、万物が生じる時期。季節は春を象徴する。
- 火:火が燃えている様。万物が長じる時期で、季節は夏を象徴する。
- 土:万物を育てる母なる大地を意味し、四季のすべてに関わりを持っている。
- 金:金属の硬さや鋭さを意味し、季節は収穫の時期である秋を象徴する。
- 水:湧水を意味し、地の中にあって万物を生み出す源となっている。季節は冬を象徴する。
五行相生説(ごぎょうそうしょうせつ)
五行説の中で、お互いを助け合う関係にある要素です。
それぞれの特徴は、以下の通りとなっています。
- 木生火:「木」と「木」の摩擦によって「火」は生じ、木が増えることで火の勢いが強くなる。
- 火生土:木が「火」によって燃え尽きることによって灰になり、それが「土」となる。
- 土生金:「土」の中から「金属」が作りだされる
- 金生水:「金属」の鉱脈があるところからは、常に「水」が流れている。また、金属の表面は湿度により水を呼ぶ。
- 水生木:「木」はすべて地中の「水」によって養われる。
五行相剋説(ごぎょうそうこくせつ)
五行説の中で、お互いに抑制し合う関係にある要素です。
それぞれの特徴は、以下の通りをなっています。
- 木剋土:「木」は「土」の中に根を張り、土の養分を吸収して成長する。
- 火剋金:「火」の作りだす高温によって「金属」を溶かし、形をコントロールする。
- 土剋水:「土」は「水」を吸い取り、また「土」の堤防によって「水」の流れを支配する。
- 金剋木:「金属」でできた斧やのこぎりによって、「木」を切り倒して形を変化させる。
- 水剋火:「水」によって「火」を弱める。
五行色体表(ごぎょうしきたいひょう)とは
五行色体表とは、人間の五臓を中心に、関係が深い季節や身体の部位、それぞれの臓器が弱まる原因や病んだときに現れる症状などをまとめて一覧にしたものです。
この表を活用することによって、僕らの抱えている、大まかな症状を把握することができます。
以下が、日常生活で活用できる五行色体表の一部です。
五行 | 五臓 | 五腑 | 五季 | 五竅 | 五色 | 五志 | 五液 | 五主 | 五味 |
木 | 肝 | 胆 | 春 | 目 | 青 | 怒 | 涙 | 筋 | 酸 |
火 | 心 | 小腸 | 夏 | 舌 | 赤 | 喜 | 汗 | 血脈 | 苦 |
土 | 脾(膵臓) | 胃 | 土用 | 口 | 黄 | 思 | よだれ | 肌肉 | 甘 |
金 | 肺 | 大腸 | 秋 | 鼻 | 白 | 悲 | 鼻水 | 皮毛 | 辛 |
水 | 腎 | 膀胱 | 冬 | 二陰・耳 | 黒 | 驚 | つば | 骨 | 塩辛い |
五液 | 五声 | 五華 | 五気 | 五穀 |
涙 | 呼ぶ | 爪 | 風 | 麦 |
汗 | 笑う | 面色 | 暑 | 黍 |
よだれ | 歌う | 口唇 | 湿 | 粟・稗 |
鼻水 | 哭く | 体毛 | 燥 | 稲 |
つば | 呻く | 髪 | 寒 | 豆 |
各項目は、臓腑が病みやすい・臓腑が病んだときに現れる部位や感情などです。
また、五味や五穀などは、各項目に当てはまる臓腑を癒す効果があります。
五行色体表の活用方法
現代人が疲労しやすい「肝」「脾(膵臓)」「腎」について解説します。
■肝■
負荷がかかりやすい時期は「春」で、「目」や「爪」、「筋肉」に影響がでます。
肝が病むと「怒り」の感情が湧きやすい、または「怒り」によって肝が病んでしまいます。
その影響によって、「呼ぶ」ような、張ったような声になり、「涙」が出やすくなります。
肝を癒すには、「酸味」のある食事を摂ると良いです(摂りすぎると逆に病んでしまいます)。
また、「麦」や「青色」の食べ物も、肝を癒す効果があります。
【食べ物の例】
ほうれん草・梅干し・オオムギ・菜の花・レモン
■脾(膵臓)■
負荷がかかりやすい時期は「土用(季節の変わり目)」で、「口」や「唇」、「肌」に影響がでます。
脾(膵臓)が病むと「物思い」に耽やすい、または「物思い」に耽ることで脾(膵臓)が病んでしまいます。
その影響によって、無意識に「鼻歌」を歌い、「よだれ」の分泌が少なくなります。
脾(膵臓)を癒すには、「甘味」のある食事を摂ると良いです(摂りすぎると逆に病んでしまいます)。
また、「粟・稗」や「黄色」の食べ物も、脾(膵臓)を癒す効果があります。
【食べ物の例】
春=キャベツ・菜の花 夏=コーン・南瓜 秋=栗・さつまいも 冬=米・甘酒
■腎■
負荷がかかりやすい時期は「冬」で、「耳」や「二陰=排泄器(尿道と肛門)」、「髪」や「骨」に影響がでます。
腎が病むとちょっとしたことで「驚き」やすくなり、または「驚く」ことによって腎が病んでしまいます。
その影響によって「呻く」ような声を出したり、いわゆる「固唾を呑む」ということがあります。
腎を癒すには、「塩辛い」食べ物を摂ると良いです(摂りすぎると逆に病んでしまいます)。
また、「豆」や「黒い」食べ物も、腎を癒す効果があります。
【食べ物の例】
そば・黒豆・黒ゴマ・木耳・海藻類
東洋医学は概念的なものではありますが、理解すると活用しやすいものかと思います。
肝を癒すには、かんきつ類や緑黄色野菜を摂ってばなんとかなりますし、脾(膵臓)を労わるには、あまり甘い食べ物を摂りすぎないようにすると良い、といった具合です。五行色体表を活用すれば、僕らの健康を一歩前進させることができるでしょう。
常にパフォーマンスを最大化させるには、日々の体調管理が必要です。
もし、ご自身だけでは厳しいときは、僕とのセッションや鍼灸施術でお助け致します。
どうぞ、お問い合わせや公式LINE@からお問い合わせください<m(__)m>