一部分だけ集中的に痩せることができるなら…。
そんな切なる願いがあるかと思います。
特に気になる部分は、下腹部やおしりまわりといったものでしょうか。とにかく無駄なお肉が落ちなくて、歯がゆい気持ちでいっぱいになるのかと思います。
なんとしても、落としたい部分だけ落としたいものです(汗)。
今回は、その「部分痩せへの徹底追究」をテーマに、お話を展開していきます。
そもそも、部分痩せは可能なのか?
可能なら、どうすれば部分痩せができるのか?
できないにしても、気になる部分の脂肪をなくすにはどうすればいいのか?
そのあたりを解説していきましょう!
≪Contents≫
そもそも『部分痩せ』は可能なのか
このことについては、「可能だ!」としている研究と「不可能だ!」と異論を唱えている研究があります。
結論から申し上げますと、部分痩せは『不可能だ!』という意見の方が非常に濃厚だそうですね…。
このことについては、1984年というかなり昔からいわれています。
19名を対象にしたこの実験は、27日にわたって参加者全員に腹筋運動をしてもらいます。
お腹周りもそうですが、肩甲骨まわりなどの脂肪も採取し、全体のサイズや脂肪量の変化を辿っていきました。
結果ですが、腹まわりのサイズや脂肪の量を調べたところ、変化はほとんどなかったそうです…。
合計5004回もの腹筋運動をしても、特にお腹周りの脂肪を落とすことができませんでした。
2006年にコネチカット大学が行った研究でも、同様の結果が出ています。
104名の男女を対象にした実験で、12週間にわたり「利き腕と反対の腕」だけを集中的にトレーニングしてもらいました。そのうえで全員をMRIにかけたところ、トレーニングした腕とトレーニングしなかった腕では、どちらも同じように皮下脂肪が減少したようです。
このことから、どれだけ特定部位をトレーニングしても、体脂肪は全身から均等に減っていくといえます。
理由としては、
- 筋肉のまわりにある脂肪は、血管をとおして筋肉とつながっているわけではない。よって、どんなに筋肉を鍛えても周囲の脂肪への影響はない可能性が高い。
- 基本的に、体脂肪は「中性脂肪」としてエネルギーを蓄えられている。しかし、筋肉の細胞は中性脂肪をエネルギーして使えないため、筋肉の付近にある脂肪からエネルギーを取り込むのは人体の都合上あり得ない。
落ちにくい脂肪についての考察
とはいうものの、確かに落ちにくい脂肪というものが存在しています。
この理由については、スポーツ栄養学の権威であるライル・マクドナルド博士の考察があります。
具体的には、以下の2つにあるそうです。
1.落ちにくい脂肪は血行不良である
落ちにくい脂肪は、大体の部位の脂肪に比べて血流が悪い場合があります。
血流が良くないと、分解した脂肪酸を血管に送りこむことができず、エネルギーとして利用されなくなります。
たとえカロリー制限をしたとしても、分解された脂肪は、内臓脂肪のような血流がいい部位から優先して利用していきます。結果として、血流が良くない下腹部やお尻周りがとり残されてしまいます。
2.落ちにくい脂肪は構造上燃焼されにくい
ヒトの脂肪細胞には、アドレナリンというホルモンのレセプター(ホルモンをキャッチする受容器)があります。
このレセプターがアドレナリンに反応することで、脂肪が分解されてエネルギーとして利用されます。
アドレナリンに反応するレセプターは、主に脂肪燃焼を止めるアルファ受容体と脂肪燃焼を促すベータ受容体の2つがあり、落ちにくい脂肪のレセプターはアルファ受容器がほとんどです。
当然ながら、このことによっても脂肪の燃えやすさに差が出てきます。
以上のことから、
- 痩せたい部分だけに狙いを定める『部分痩せダイエット』は不可能
- トレーニングによって脂肪が燃えやすい体にはなるものの、それによって特定の部分だけが集中的に燃えることはほとんどない
- 下腹部や大腿部など、確かに『落ちにくい脂肪』という存在はある
脂肪は均等に燃焼されるものの、特定の部位だけは燃焼されないという、なんともちぐはぐな結果です。
ですが、上記のとおりなら、血行をよくしてアドレナリンの分泌量を増やせば、落ちにくい脂肪も燃焼してくれるということです。
といった具合で、まずは血行促進を図るというなら、第一に『全身の運動』だけはおこなっていくことは必要かと思います。
気になる部位だけしても難しいなら、全体のバランスを考慮した方がシルエット的に良いでしょうね。
あとは、アドレナリンという点では、プチ断食がいいかと思います。というのも、以前のブログでプチ断食が気になる部位の脂肪を落とすのに向いていることを書いています。
それ以外に方法があるのなら、また更新していきますので、楽しみにしてください☆
【参考文献】
[Effects of Sit up Exercise Training on Adipose Cell Size and Adiposity]
[Subcutaneous fat alterations resulting from an upper-body resistance training program.]