以前ではありますが、リンゴ酢が「健康に良い!」という話が広がり人気になりましたね。
リンゴ酢のエピソードはいろいろとありまして、
- ダイエット効果あり!
- 血糖値改善に役立つ!
- 疲労回復にバツグン!
- 肌に塗って美容にも!
みたいなので有名になったかと…。
今でもリンゴ酢ドリンクはチョコチョコ見かけるのですが、真相はどうなのでしょうかね?
それでは、みていきましょう!
≪Contents≫
リンゴ酢の効能について
「リンゴ酢」と検索してヒットするものの中で、メジャーである前述のものを解説していきます。
なんだかいろいろな効能が出てくるのですが、1つ1つ追っていくと大変なので、そのあたりはご勘弁ください…。
それでは、始めていきます!
ダイエット効果・血糖値
一番なのが、この話題です。
2009年に出た日本の研究で,肥満の男女に1日15mlもしくは30mlのビネガードリンクを12週間飲んでもらう実験で、
- 15mlグループは1.2kgの減量に成功
- 30mlグループは1.9kgの減量に成功
- 実験終了後、4週間で被験者全員がリバウンドしてしまった
とのこと。
12週間の実験での成果としては、あくまでも補助的な印象を受けますね。
血糖値についてですが、こちらは効果が十分に期待できるものですね。
たとえば、
- 1995年の実験で、50gの糖質と一緒にお酢を飲むことで31%も食後の血糖値が減少した
- 2004年の実験で、高炭水化物食と一緒にお酢を飲むことで最大34%も食後の血糖値が減少した
といったナイスな結果を出しています。
こうなる理由は「血糖の上昇を遅らせることができる」からだそうです。120分も経過すればお酢を飲む飲まないに関係なく、血糖やインスリンレベルは変わらなくなるそうです。
それでもって、2021年に出たメタ分析がありますので、そちらでの結論はどうなのでしょうか?
これは、ダイエットに関したトピック4,246件の研究を調べ上げ、データとして十分な16件の研究の分析を絞り込みました。
具体的な内容ですが、
- 16の研究はすべてヒトで実施されたランダム化比較試験
- 研究は食べ物や飲み物として酢酸を使用
- 血糖、トリグリセリド、コレステロール、BMIを測定
12週間まで毎日酢酸の750-3,600 mgの間で摂取してもらい、わかったかことが以下のとおり。
- 体重、体脂肪率、BMIに変化がでなかった
- 2型糖尿病患者の空腹時血糖値がわずかに低下した
- 時間の経過に伴う血糖値の測定値であるHbA1cには影響しなかった
- 太りすぎ、肥満の成人および2型糖尿病患者におけるトリグリセリドのわずかな減少が確認された
- HDLおよびLDLコレステロールレベルに変化はなかった
つまり「ダイエット効果はないが血糖値改善には役に立つ!」ということで、リンゴ酢は血糖値コントロールのために飲むのが理想です。
なので、ダイエット効果を期待して飲むのは残念ながら控えましょう。
疲労回復
「お酢は疲労回復に良い!」は、ダイエットと同様に有名ですね。
クエン酸はエネルギー代謝に重要な働きをしてるものの、現在のところヒトに対して有効性を示した研究がありません。
- 2004年の実験で、10名の男性にクエン酸を飲み5km走ってもらったものの、明確なパフォーマンス改善につながらなかった
- 2007年の実験で、18名の男性のクエン酸とカルニチンを飲んでもらったところ、主観的な疲労改善がみられた
といった感じで、効果がイマイチわからない状況なのです。
それでもって、最近のデータも参考にしてみると、
- 2018年の実験で、20名の男性に対し運動後にクエン酸を飲んでもらい40kmのサイクリングをしてもらったところ、とくにパフォーマンスに影響は与えなかった
- 2019年の実験で、20名の男性アスリートに対し運動後にクエン酸を飲んでもらい40kmのサイクリング後のストレスホルモンの血中レベルを調べたところ、ストレス軽減には役立つ可能性が示唆された
という感じ。
疲労回復については、僕の調べた限りでは断言できる要素がないですね。
疲れたときにお酢を飲んで、気分的にスッキリはするんじゃないかな?っていうレベルでしょう。
美容
これに関しては、完全に否定します!
そもそも論として、お酢は当然酸性なので、お肌に塗ればヤケドを負うのは想像できます。
一例として
- 2012年の事件で、母親が8才の息子の左足にリンゴ酢を塗ったところ、化学火傷を負った
- 2015年の事件で、ネットで見かけた民間療法を試した14歳の少女が化学火傷を負った
というものがあります。
いろいろと調べていきましたが、火傷の危険がありますのでオススメできない美容法ですね。
「薄めると良いよ♪」みたいなことを書いてあったりしましたが、これにつきましては避けた方が良いでしょう!
といったところから、「リンゴ酢は血糖値対策には良いけどそれ以外の効果は微妙or効果なし」という結論です。
そして、お肌に塗るのは厳禁!!
あと、
- 2013年の実験で、お酢には食欲抑制があるとしたが、単にお酢による消化器系へのダメージの影響である(実際に吐き気や消化不良、胃潰瘍が起きたとのこと)
- ハーバード大学医学部の准教授であるロバートH.シュマーリング博士によると、低カリウム血症の危険性があるため、低カリウムの程度によっては注意が必要(筋肉の問題、特に心臓や呼吸は要注意)
- そもそも論として、歯を形成しているエナメル質は酸にとても弱く、多食・多飲するものではない(虫歯になるよ)
ということなので、ほとんどリンゴ酢は嗜好品レベルのものですね。。。
もちろんですが、糖尿病患者の方がチャレンジするなら、かかりつけのお医者さんと相談しましょう☆
【参考文献】
[Vinegar intake reduces body weight, body fat mass, and serum triglyceride levels in obese Japanese subjects]
[Effect of neutralized and native vinegar on blood glucose and acetate responses to a mixed meal in healthy subjects]
[Vinegar Improves Insulin Sensitivity to a High-Carbohydrate Meal in Subjects With Insulin Resistance or Type 2 Diabetes]
[Effect of dietary acetic acid supplementation on plasma glucose, lipid profiles, and body mass index in human adults: a systematic review and meta-analysis. ]
[Effects of acute ingestion of sodium citrate on metabolism and 5-km running performance: a field study]
[Effects of Citric Acid and l-Carnitine on Physical Fatigue]
[Impact of sodium citrate ingestion during recovery after dehydrating exercise on rehydration and subsequent 40-km cycling time-trial performance in the heat]
[Influence of Sodium Citrate Supplementation after Dehydrating Exercise on Responses of Stress Hormones to Subsequent Endurance Cycling Time-Trial in the Heat]
[Chemical burn from topical apple cider vinegar]
[Chemical Burn from Vinegar Following an Internet-based Protocol for Self-removal of Nevi]
[Influence of the tolerability of vinegar as an oral source of short-chain fatty acids on appetite control and food intake]
[Apple cider vinegar diet: Does it really work?]
[NIH:Tooth Decay]