とある有名な人が多用している「無能」や「頭が悪い」という言葉…。
個人的には穏やかではない表現ですが、その分だけインパクトがありますし、何が言いたいかがわかりやすいものです。
正直なところ、こういった人たちに会社は左右されるもので、被害を受ける関係者は多いのも事実です。
今回は『「会社に無能が多い!」という法則』について解説していきます。
「ピーターの法則」について
皆さんは、「ピーターの法則」をご存知でしょうか?
1960年代に教育学者のローレンス・ピーター氏が、自身の経験則の下で発見した法則です。
簡潔にまとめると、「能力主義の階層では、人間は能力の極限まで出世する」という主張です。能力を数値化できるとして、リーダーシップという能力があって、その数値がとある基準を満たすとランクアップするとします。各個人にはその数値には限界があって、リーダーシップの限界値が100の中で、Aは100まで伸びるものの、Bは70しか伸びません。この場合だと、Bは70より上のランクに出世できないというわけです。しかも、能力を有する人材は、出世するごとに無能化していき、その結果、「組織全体が無能集団と化してしまう」内容です!
当初、このピーター氏はあくまで「経験則に基づいての主張」だったのですが、2018年に出た論文で、「ピーターの法則は実在する」という結論を出しています。
これは241社から53,035名のサラリーマンに協力を依頼し、2005~2011年まで全員を追跡調査したものとなっております。
彼らがどのように出世していったかを追跡したもので、以下のような傾向にあることがわかったそうです。
- 当然ですが、業績がいいセールスマンほど出世する
- 出世したセールスマンがマネージャーになったとき、そこからパフォーマンスが低下していく
- マネージャーとしてパフォーマンスが発揮する人がいるが、それは限りなく少数である
この現象について研究者たちは、
当初は、最高のセールスマンが、そのまま良いマネージャーになるものだと推測していた。
セールススキルはマネジメントにも応用が効くと思われたが、現実的には最高のセールスマンが最悪のマネージャーになるケースが往々にして確認された。「ピーターの法則」が指摘するとおり、昇進の決定は、現在のパフォーマンスにもとづいて判断される。
しかしそこには、その人物が将来に発揮するであろう能力が含まれていない。生産性が高い社員の大半は、必ずしもマネージャーとして優秀なわけではなく、それにも関わらず会社は、最前線で業績を上げる社員を管理職に就けたくなる。
出世の評価基準が間違っているせいで、各個人が有している能力を十分に発揮できないポジションにつけてしまいます。俗に言う「名選手、名監督にあらず」という格言は科学的に正しかったわけです!
冷静になって考えてみてほしいのですが、セールススキルとマネジメントスキルが完全に別の要素です。
セールスマンとして優秀だからといって、必ずしもマネージャーとして優秀とは限らないのです。研究者たちも、これには対処法がなく、単純だけど難しい「各ポジションにふさわしい能力を持った人を配置するしかない」としています。
「優秀なセールスマンには成果報酬を!」といった、出世を気にしないような工夫も必要でしょうねぇ。
ちなみに、ピーターの法則に関する書籍がありますので、コチラを読んでみるのも良いかもしれません。
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[新装版]ピーターの法則 「階層社会学」が暴く会社に無能があふれる理由 [ ローレンス・J・ピーター ] 価格:1,540円 |
「名選手、名監督にあらず」が格言になるくらいだから、こういう現象というのはよくみられ続けたんでしょうね。平凡な選手が、名コーチや名監督になったりするかもしれませんし…。
まったく才能がないのに、まったく正反対のポジションに就かされたら、それはもう無能化するのは仕方がありません。
自分が勇者タイプの能力だったら良いのですが、戦士タイプが魔法使いに転職したらヤバいです。
口で言うのは簡単ですが、やっぱり「適材適所」でしょう☆