スポーツ前のルーティーンがパフォーマンスアップにつながるのは、あまりにも有名。
野球選手のイチロー氏のバッターボックスに入る際の一連の動作なんかが、もはや代表例です。
そこで、新しい研究では「本当にパフォーマンスが上がるルーティーン」を徹底的に調べてくれていますので、今回はそれを紹介していきます。ルーティーンの効果を調査した研究は過去にも存在しており、そのデータを総評して大きな結論を出してくれています。
スポーツや格闘技もそうですが、おそらくはビジネスや試験でも使えると思いますね♪
スポーツにおけるルーティーンの有効性
これは2021年に出たメタ分析で、33件のデータをまとめたところ、大きな結論は以下のようになりました。
- どんな研究デザインに関係なく、ルーティーンはパフォーマンスの改善に対して一定の効果がある
- プレッシャーが大きくなるほどルーティーンの効果が高くなる(わずかではあるが)。プレッシャーが低い実験の効果量は0.64(95%CI=0.45-0.83)で、プレッシャーが大きい研究では0.70(95%CI=0.24-1.16)。
- ルーティーンは、サブエリートやエリートアスリートよりも、初心者の参加者のほうが効果が高かった(ただし統計的には有意ではない)
基本的に、どんな人でもルーティーンをすることで、パフォーマンスにポジティブな影響を与えるようです。
もっと言うと、プレッシャーのレベルが大きいほど効果があり、全体的には、
- 集中力の向上
- 自己効力感やコントロール感が高まる
- 不安感や注意散漫を減少させる
といって恩恵をもたらしてくれます。
そして、ルーティーンには種類がありまして、
- 身体的ルーティーン:イチロー氏のバッターボックスに入るときの動作のほか、土俵入りの前に何度か四股を踏む、テニスラケットを回すなど
- 運動イメージ:自分が上手にスポーツしている姿を事前にイメージするなど
- セルフトーク:「自分ならできる!」といったように、自身に声かけをするなど
- リラクゼーション:緊張をほぐすために深呼吸をするなど
- ダイナミックハンドグリップ:運動をする前の約30秒間、1秒間に約2回のペースで、左手先を握り締めること
- クワイエットアイ:投球前にボールをみつめるなど、運動の前になにか1点を見つめる。
僕は割と、ダイナミックハンドグリップやクワイエットアイをしますね~~。。。
セルフトーク以下は、ビジネスや試験でも使える感じだと思います。
このメタ分析の注意点ですが、パフォーマンス前のルーティーンを種類別に分けて分析してないところです。
正直なところ、どのルーティーンがもっとも効果が高いのかは判明していません。大まかな評価としては、「どんなルーティーンをしても平均してパフォーマンスを向上させる可能性がある」とは断言できる感じ。なので、皆さんの好みで決めて良いのかと思いますが、たとえば不安が強いならリラクゼーションが良いのかな?って思います。
あとは、複数のルーティーンを組み合わせたケースと、一種類のルーティーンのみの場合で、どちらが良いというわけでもない様子。そして、筋トレのパフォーマンスを検証したルーティーン研究がほとんどなく、筋トレへの効果については不明です。
野球のピッチングやバッティング、バスケのフリースロー、体操の演技といった、とっさの動作ではないその一瞬にかける感じのスポーツに役立つ可能性が非常に高いと思われます。
そうでなくても、デメリットが存在せず気軽にできるので、試してみるには十分な内容でしょう。
慣れ親しんだ動作をすることで気持ちが落ち着く感じは、僕も体験しているのでルーティーンはオススメの動作です。
自分の好きなルーティーンを見つけて、パフォーマンスを向上させましょう!!
【参考文献】
[The effectiveness of pre-performance routines in sports: a meta-analysis]