オメガ3脂肪酸が身体に良いのは、今や普遍的な常識です。
とはいうものの、実際のところ、明確ではなかった部分として「魚やオメガ3脂肪酸がガンの発症リスクに影響するのだろうか?」ということ。魚を良く食べている人を調べた観察研究は数あれど、その結果にはバラつきがあり、はっきりとした結論が出ていませんでした。
今回は、現段階での結論を解説していきますので、よろしくお願い致します。
魚およびオメガ3脂肪酸の摂取量とガン発症リスクの関係
これは2022年に出たメタ分析で、21件のコホート研究をまとめ、「魚およびオメガ3脂肪酸の摂取量によって死亡率にどう影響を与えるのか?」という問題を検討したものとなっております。
対象となった研究の内容は、以下のとおりとなっております。
- それぞれの研究の追跡期間は4.5~14.7年
- 魚の摂取については、26,518名を対象とした研究12件
- 評価の対象になったガンは、卵巣癌、喉頭癌、乳癌、メラノーマ、前立腺癌、大腸癌、胃癌、および全身の癌など
- オメガ3については、24,134名を対象とした研究11件。このうち、5つの研究では総オメガ3について、8つの研究では魚由来のオメガ3についての調査
- これらの研究では、乳癌、前立腺癌、結腸癌、大腸癌のリスクと、癌全体のリスクが評価された
このメタ分析の注意点は、あくまでも観察研究であること。
それぞれのガンの種類について魚や魚由来のオメガ3との関連を評価した研究は1~3件しかありません。よって、精度の高い結論を出せるわけではありませんが、一応の参考にはなる内容だと思います。
それでは、このメタ分析によってわかった結論はと言いますと、
- 普段から魚を良く摂取している人は、もっとも少ない場合と比較して、ガンの全死亡リスクが13%低く、卵巣癌の死亡リスクが26%低下する傾向があった
- 魚由来のオメガ3脂肪酸をたくさん摂取している人は、もっとも少ない人と比較して、ガンの全死亡のリスクが19%、前立腺癌の死亡リスクが38%低下する傾向があった
観察研究のメタ分析ではありますが、改めて魚およびオメガ3脂肪酸の有効性を確認できる結論に至りました。
魚とガンによる全死亡率に関する根拠の確実性は中程度で、個々の癌種(卵巣および前立腺)については、確実性は低いか非常に低いと評価されております。とはいえ、健康に良いこと自体は間違いないので、魚やオメガ3脂肪酸は接触的に摂っていきたいものですね!
しかし、さすがに健康に良いからとはいえ酸化しやすいので、一気にたくさん摂取しないように注意してくださいね☆