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「無能ほど自信過剰!」というダニング=クルーガー効果はウソ?!

ダニング=クルーガー効果とは「ある特定のタスクが不得手な人は自分の能力を過大評価し、そのタスクが得意な人は、自分の能力を過小評価する傾向がある」というもので、砕けた言い方をすると「無能ほど自信過剰!」という感じです。この効果は知識以外にも、運動能力や専門的な技術や経験など、様々な要因に幅広く該当する心理現象です。

実はこの心理現象、最近の論文では否定されているそうです!
なんでも、発表された論文では、統計による錯覚かもしれないと報じているのです。

今回は、ダニング=クルーガー効果のウソ?について解説していきます。

 

 

ダニング=クルーガー効果の真偽

 

これは2020年に出た論文でして、結論を言いますと「ダニング=クルーガー効果は、ほぼ統計的な人工物である」と評価しています。

この論文のデータでは、「ダニング=クルーガー効果は2つの要素の組み合わせによるものではないか?」と議論がされています。内容としては、

 

  1. 優越の錯覚:「自身の能力は平均よりも上位である」という心理現象で、一般的に見られる普遍的なバイアス
  2. 平均への回帰:2つの変数が完全に関連していないときによく見られる統計パターン

 

という2つの要素が挙げられています。
具体的に説明していくと、

 

  1. 優越の錯覚:研究によると、95%の人は自身の能力を実際よりも優秀であると判断しており、例えば、一般人に自分のIQを推測してもらい、その平均値が115点になる(平均的なIQは100点だと定義されている)。これは一般的に、自身の能力とは無関係に、自分自身を平均よりも優秀であると判断していることになる。
  2. 平均への回帰:正規分布の中央部には両端よりも多くのデータが集中しており、ランダムサンプリングによってより多くの平均値を見つけることができる。そのため、測定をいくつかおこなうことで、数値は徐々に平均値に集中していく。

 

ということになり、この2つが組み合わさることで、「特定のタスクが不得手な人は、自身の能力を実際より優秀である」という心理現象が成立するかもしれない…ということです。

実際に、この研究では、929名からIQテストの点数サンプルを用いて、多くのダニング=クルーガー研究で使われているのと同じ手法で分析しています。そのうえで上記の要因をコントロール後でもダニング=クルーガー効果が維持されるかを確認したところ、実際には全員が自身の能力を過大評価しており、通常の統計誤差を考慮したほうが、よりよく説明できることが示されました。

つまり、簡潔にまとめますと、『ダニング=クルーガー効果は、実のところ「誰もが自身の能力を高く見積もる」という事実を示しているのではないか?」ということです!

 

ダニング=クルーガー効果への反証は、2017年に出たデータでも言及されています。

このデータは数学の専門誌に掲載されたものでして、こちらでは、「ダニング=クルーガー効果はランダムなデータを使っても再現できるのではないのか?」と展開されています。具体的には、コンピューターで作成したデータと、科学リテラシーテストを受けた人という両方のデータを使って分析されています。

その結果、

 

  1. 専門家はスキルの低い参加者よりも自身の評価を上手に予測でき、性別だと女性の方が男性よりも自身の能力を上手に評価できている
  2. しかし、能力が低い人ほど自身を過大評価し、能力が高い人ほど自身を過小評価する傾向は確認できず、専門家と初心者は同頻度で自分のスキルを過小評価ないし過大評価する

 

とのこと。
以上のことから、人間は自身の能力を客観的に評価するのが難しいという結論になりそうです。

 

 

 

 

個人的な感想ですと、ダニング=クルーガー効果は、人間の一般的な心理的バイアスである「優越の錯覚」と同義かもしれない印象です。

それでもって、世間が言う「無能な人」というのが、評価と実際の差が大きいかもしれません。
今後は「ダニング=クルーガー効果=無能ほど自信過剰」と表現するのは難しいでしょうね。大事なのは、どれだけ自身の評価を限りなく正しく導きだせるか!…だろうなぁ(遠い目)

 

 

【参考文献】
[The Dunning-Kruger effect is (mostly) a statistical artefact: Valid approaches to testing the hypothesis with individual differences data]
[How Random Noise and a Graphical Convention Subverted Behavioral Scientists’ Explanations of Self-Assessment Data: Numeracy Underlies Better Alternatives]

 

 

 

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