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【説得の技法】科学関連の誤情報を修正するには、どうすればいいのか?

人間には確証バイアスというものがありまして、どうしても自分に都合の良い情報ばかり集めてしまう心理現象があります。

そんなこともあり、相手を説得することだって容易ではありません。
ましてや、相手が信じていたことを覆すことなんて困難の極みです。ですので、僕としては、「相手を変える」という行為自体は基本的に諦めていますし、その方が無難です。ですが、そんな中で、科学者たちが「科学関連の誤情報を修正するには、どうすればいいのか?」という側面について研究してくれたものがあります。

今回は、それを基に、説得の技法について解説していきます。

 

 

科学関連の誤情報の修正の是非

 

これは2023年に出たペンシルバニア大学のメタ分析で、「科学にまつわる誤った情報を信じている人を説得するにはどうすればいいのか?」を深掘りしていった研究です。同テーマの先行研究から、74件のデータから60,861名分のデータを分析した結果、次のような結論に至ったそうです。

 

  1. 科学に関連する誤情報を否定しても、大体はうまくいくことはない(d= 0.19)。
  2. 科学に関連する誤情報のほとんどは、たとえ否定的な情報が提示されても、本人の思考に変化は起きない。
  3. ポジティブな誤情報の方が、ネガティブな誤情報よりも修正するのが困難である。
  4. 誤情報の訂正が人々のイデオロギーと矛盾する場合、全員が訂正を拒絶し、反対に誤情報への支持が強化されやすい。そのため、例えば、左翼的なイデオロギーを持つ人は、気候変動の支持につながる訂正であれば受諾する傾向がある。
  5. 新型コロナワクチンのようにトピックが極論化されている場合、訂正は高確率で失敗に終わる。極論化された誤情報を否定するのは、極論化されていない誤情報を訂正するよりも2倍以上困難である。

 

このように、僕の基本的なスタンスと同様、一度誤った科学の情報を信じると、それを訂正させるのはほぼ不可能ということですね…。

これについて研究チームは、

科学に関連する誤情報のほとんどは、反論が提示されても訂正されずにいる。

これは非常に注目すべき現象だ。なぜなら、事故や政治的な出来事に関する報道など、他の領域でにおいては、訂正によって考え方を変化させられることが、過去の研究でも提示されているからである。

 

 

他の分野では、ある程度まで誤情報への信頼度は変えられるが、こと科学の分野においては、なぜか難易度が上がってしまう様子。

もちろん、どのようなメッセージの手法なら、科学関連の誤情報の訂正に有効かを研究チームは調査してくれています。
その結果によると、「訂正に詳細な説明があると、多くの人物は内容を受諾しやすくなり、誤情報を否定する感情が生まれた。」そうな。兎にも角にも、誤情報を修正するには、シッカリとしたエビデンスを提示するしかないわけですね!

なんか、そういうデータでもあるんスか?」…っていうみたいな感じでしょうか(笑)。

 

さらに、研究チームは、

詳細な訂正を用いて情報に対する親近感を高め、政治的な議論ではなく科学的な議論をすることで分極化を防止するのがベスト。しかし、もしその情報がすでに政治的に偏向しているのであれば、受け手の政治的なイデオロギーに沿った形で訂正をしたほうが効果は高い。

 

 

人間、誰しも思想や信念があります。
それが根底にある以上、相手を説得するのは、極めて困難です。せめて、その思想や信念を交えて説得するのがベストでしょうなぁ☆

 

 

【参考文献】
[A meta-analysis of correction effects in science-relevant misinformation]

 

 

 

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