出典:デジタル大辞泉(小学館) -goo辞書より引用
といったように、「迎合」というのは、基本的に良いイメージはありません。
ときには相手に調子を合わせることも大切ですが、自分を押し殺し過ぎてしまうのは、精神衛生的によろしないものです。今回、紹介する2023年に出たブリガム・ヤング大学の実験では、「迎合」にまつわる心理がどのような悪影響をもたらすのかを調べてくれております。
ここでは、そんな「迎合」レベルをチェックできる31の質問がありますので、自身のレベルを確認してみてください。
帰属欲求により発生する「迎合」の心理とその尺度のレベル
まず、この実験をおこなう研究チームは、迎合について「人は帰属欲求を強く望み、時に、善意ではあっても、自己の感覚を弱めるような方法で他者の承認を求めるようになる。その結果、他者の好意を得ようと個人的な意見や感情の主張を押し殺してしまう。」と問題視しております。
迎合ばかりしてしまう人は、相手に好かれようと躍起になるばかりに、本当の自分を失ってしまいます。それがたたり、むしろ、相手からは、「自分が無い人」という烙印を押されてしまいます。こうなると、当人は本当の自分を表現できないストレスがたまるし、相手からも嫌われてしまう可能性もあり、負のスパイラルに陥ってしまいます。
なかなかに切ない話ですね…。
実験の内容ですが、420名のアメリカ人の成人を対象に、「強すぎる迎合は人間関係を崩壊させてしまうのか?」を調査しました。
この調査での「迎合」の定義は、「他者の気分が良くなるように努力すること」といったもので、基本的に、日本での迎合の意味とほとんど同じだと思ってください。調査では、参加者全員の迎合レベルをテストによって評価し、これを全員の人間関係の親密さと比較していったとのこと。その結果、テストの点数が高い人ほど、自尊心が非常に低く、パートナーなどとの関係が良好ではないという傾向が見られたそうです。
この結果に対し、研究チームは
周囲の人たちに、自身の行動を承認してほしいと願うことを止める必要はない。
ただし、外在化した自己認識を通して、他者からの評価を引き出そうとするのではなく、自己を心地よく感じるところからはじめてもらいたい。
つまり、人間である以上、迎合という感情そのものは自然発生してしまうので仕方のないことだということ。
だけど、迎合に全振りするとキツくなってしまうから、まずは自分自身を「セーフプレイス(安全な場所・落ち着ける空間)」にするといった考え方です。
この「セーフプレイス」は、
- 自分は、どういった人間なのか?
- 自分は何を大切にしている人間なのか?
etc.
といった「自身の価値観」などに明確な答えを持ち、それを軸に自分自身に安心感を持てる状態を意味しております。
とはいえ、いきなり「自身の価値観」なんて言われても困りますし、たとえば
- お金や時間、人間関係など、あらゆるものが満たされた状態でも、それでも自分はどんな行動をとるのか?
- そんな満たされた状態なら、自身や他者とどのような関わり方をするのか?
といった、「なにもかもが満たされた状態でも、それでも駆られてしまう行動」が自身の本当の価値観なので、じっくりと考えみてはいかがだろうか?
最後に、この研究で使用された「迎合レベル評価テスト」を紹介していきます。自分の承認欲求が気になる方は、それぞれの文章を5点満点で評価してみてください(完全に当てはまる5点 – – – まったく当てはまらない1点)。
- 自身が相手からどう見られているかを、自身のみで判断する傾向がある。
- 普通の人ならできるはずのことができなく、そんな自分に不満を感じる。
- 決断するときは、自身の考えや意見よりも、相手の考えや意見に影響される。
- 相手の気持ちに責任感を抱くことが多い。
- 相手の感情を考えることに多くの時間を費やしているため、自身の考えや感情を知ることが困難だ。
- 私は、自身で定めた基準を自身で満たすことができないと思う。
- 自分のことを一番に考えるのが最も重要だと思う。★
- 「いたわり」とは、私にとって自身よりも相手のことを優先するという意味だ。
- 自身の欲求を大事な欲求と同じくらい重要だと考えるのはワガママだ。
- 親密な関係において、私の責任は相手を幸福にすることだ。
- 思いやりとは、たとえ自身が違うことをしたくても、相手の望むことを選択することだ。
- 自分のことを良く思うためには、自立している必要があると思う。★
- 私にとって最悪のことは、自分がワガママになることだ。
- 自身のためだけに何かをするのは利己的だ。
- 親しい間柄の相手が幸福であれば、その人が何をしようと気にしない。
- 親密な関係において、意見の相違を引き起こすとわかっているときは、自分の感情を口にしない。
- パートナーのニーズや感情と自身のニーズや感情が衝突するときは、いつも自分の気持ちをはっきり言う。★
- 私は親密な関係において対立する危険を冒す代わりに、むしろボートを揺らさないようにしたい。
- たとえそれが問題や意見の相違につながったとしても、私はパートナーに自身の感情を話す。★
- パートナーのニーズや意見が私の意見と対立するとき、私は自身の意見を主張するよりも、むしろパートナーの意見に同意してしまう。
- 自身のニーズが恋愛関係で満たされないとき、私はたいてい、そのニーズはどうせあまり重要ではなかったのだと思うようにしている。
- 親しい人に対して怒りを表すことはほとんどない。
- 自身の感情がパートナーと衝突するときは、自分の中にとどめておく方がいいと思う。
- 自身の感情が親しい人間関係に支障をきたすような場合には、自身の感情を葬り去ろうとする。
- 親しい関係にあるときは、一人でいるときよりも自分らしくいるのが難しい。
- 相手を喜ばせるために、ある種の行動をとらなければならないと感じる。
- 外では幸せそうに見えるが、内心では怒りや反抗を感じることがよくある。
- パートナーに愛されるためには、自分のあることを相手に明かせない。
- 親密な関係の中にいると、自分というものがわからなくなる。
- 私のパートナーは、ありのままの私を愛し、評価してくれる。★
- パートナーは私の本当の姿を知らないと思う。
採点したら、★マークにつけた点数を反転(5点なら1点、1点なら5点)し、全体の平均点を出してみてください。このテストは、総合点数が一定以上で「迎合レベルが高い」と評価するような基準はなく、おおむね平均が4点を超えたら「迎合しすぎ」と判断されるようです(ちなみに、僕は2.4点です。)。
そんなときは、上記のように自分のセーフプレイスを用意するといいですね☆