鍼灸整体師としてメンタルケアの施術をしている際、セルフケアの指導も同時におこなっております。
そのときには、もちろん、定番の「運動をする」ことの大切さも説明しております。
で、今回は、そんなメンタルケアの定番の運動のベストな運動量について解説していきます。
どうぞ、参考にしていってください♪
身体活動量とうつ病の関係性
これは2023年に出た縦断研究でして、50歳以上のアイルランド人の男女4,016名(平均年齢は61歳)を10年かけて追跡したものになっております。この縦断研究では、運動量とメンタルの関係を調べた内容になっており、身体活動の量をMET(身体活動の強さを表す単位)で表現し、
- 少ない運動量:1週間に600MET分未満
- 中程度の運動量:1週間に600~1,200MET分
- 多い運動量:1週間に1,200MET分以上
というように分類していきました。
そのうえで、すべてのデータを、年齢や性別、教育レベル、喫煙と飲酒などで調整していった結果、次のようなことがわかりました。
- 総括して、運動量が多い参加者は、少ない参加者と比較して抑うつ症状を有するリスクが20%低かった。
- 運動量が増加するごとに、抑うつ症状を有するリスクが少しずつ低下した。そのリスクは、600~1,200MET分/週で7%、1,200~2,400MET分/週で16%、2,400MET分/週以上で23%低下した。
- 慢性疾患がある参加者の場合、600MET分/週から抑うつ症状のリスクが8%減少した。慢性疾患がない人の場合は、2,400MET分/週で抑うつ症状のリスクが19%減少した。
基本的な結論として、運動をしていけばメンタルが改善していくということ。このことについては、過去のデータでもみられていますので、運動によるメンタル改善効果の根拠が強化された感じになったかと思います。
世界保健機関(WHO)では、ほとんどの成人に対し、最低600MET分/週の運動をすることを推奨しているます。
今回の研究では、これよりも下の活動レベル(400~600MET分/週)でも効果が確認されたのが嬉しいところです。今回の結果だけで判断すると、思いのほか少ない運動量でもメンタル改善が見込めそうですが、メンタル改善効果は、2,400MET分/週以上まで観察されたようです。
そう考えますと、基本的に多めの運動量の方がより効果的だと思っておいた方が良いですね!
あと、METsがわかりにくい単位なので、1つの目安を作りますと、
- 600MET分/週:軽いジョギングで、1週間でトータル約150分に相当。中強度のスポーツ活動(バスケットボール、バレーボール、テニスなど)で週約75分程度に相当。
なので、これが2,400MET分/週以上となると、単純に4倍して、1週間でトータル約600分走れば達成できる計算になります。テニスをするなら、1週間に4回すれば達成できるとみていいですね。
特にやりたいスポーツが思いつかない場合、40~60分かかるジョギングを、週に3回すると良いのかと思いますね☆