今回は、「人間の感情と言うものは、照明の力で簡単にコントロールすることができる!」という情報がありますので、それをご紹介していきます。
感覚的にも経験している人も多いでしょうし、とりわけ珍しい話しではないかと思います。
そういったことでも、科学はそれを深掘りしていくものでして、客観的事実として捉えていった方が、自分の感情を意図して操作することもできますし、他者の感情も良い方向にもっていくこともできるでしょう。
どうぞ、参考にしていってください♪
照明による感情システムへの介入
2014年に公開された論文において、過去の論文を精査し、「人間は、明るい光を暖かいと感じ、暖かさによって感情の強さが増強される」と結論づけたデータに着目し、更に「明るい光は感情的な反応を強めるのでは?」という仮説を立てました。そして、それがどこまで正しいのかを調査したのが、今回取り上げた内容というわけです。
実験内容を大まかにまとめますと、まず、参加者を様々な明るさの部屋に配置して、それぞれの部屋の「暖かさ」レベルを評価してもらいます。次に、明るい部屋と薄暗い部屋のどちらかで、参加者に以下のことをしてもらいます。
- 甘口から辛口まで辛さを段階的に変えたチキン・ウィング・ソースを口にする。
- 研究チームが作った架空の人物について語り、その人がどれぐらい攻撃的な人物と思うかを判断する。
- 3名の女性の写真を見てもらい、どれぐらい魅力的だと思うかを判断する。
- ポジティブ、ネガティブ、中立的な言葉に対して、どんな感情を持つかを判断する。
- 美味しいオレンジジュースと、美味しくない野菜ジュースを口にする
つまり、部屋の照明によって、味覚や他者の評価がどのように変化するかを観察していったというわけですね!
結果ですが、部屋の照明が明るくなるほど、それに伴って感情の強度も高まっていくことがわかったそうです。要するに、明るい部屋にいるときは、 ポジティブな感情もネガティブな感情も、どんな感情にあっても、その感情が強く感じられるようになるということです。
兎にも角にも、人間は、明るい環境下では感情が敏感になってしまうものなのですね~~…。
また、結果の詳細を紹介しますと、
- 人間は明るい場所にいると暖かく感じる。
- 照明が明るいと、人々はより辛い料理を注文する。
- 明るい照明の下に座っている参加者は、攻撃的な人を、さらに攻撃的だと判断しやすくする。
- 多くの人物は、明るい部屋にいると、他者をより魅力的に感じる。
- 多くの人物は、明るい照明の下では、ポジティブな言葉にもネガティブな言葉にも強く反応する。
研究チームによると、
この研究は、うつ病を経験している人々にも示唆を与えるものである。
晴れた日には、人々は株式市場に対してより楽観的で、より高い幸福感を報告し、より親切な態度をとる傾向がある。その一方で、暗く陰鬱な環境に長時間さらされると、季節性の感情障害になる可能性がある。
しかし、今回の研究では、晴れた日には、うつ病になりやすい人がより落ち込む可能性が考えられる。
研究チームによると、「自殺は太陽の光が豊富な春の終わりと夏にピークに達するが、自殺は冬に最も少なくなる」としています。なんなら、冬に溜まった陰鬱な感情が、春の息吹によって爆発される感じなのでしょうか…。
さらに、
明るい光は、通常は熱と相関し、熱は感情の激しさと相関している。この心理的な熱体験は、熱い感情システムをオンにし、あらゆる刺激に対する人の感情的反応を強化する。
よって、明るい光の下では、良いことはより良く感じられ、悪いことはより悪く感じられる。
以上のことから、このデータを日常生活に活用するなら、
- 感情を落ち着かせるには、暗い部屋にいたほうが良いかもしれない。
- 仕事の会議で、強い意思決定をするときは照明を強くし、冷静に議論するなら、照明を落ち着かせた方が良いかもしれない。
- 明るい場所の方が人間は魅力的に感じるようになるため、不特定多数から好感を持たれたいなら、暗い場所を避けた方が良いのかもしれない。
- 他方で、魅力的だと感じられない人は、明るい場所を避けた方が良いかもしれない(だから、暗がりであるバーやクラブは短期的な恋愛に有利なのかも?)。
- パートナーとよりポジティブな関係に持っていきたいとき、ネガティブな関係から回復したいときは、晴れた日の正午に外で楽しむのが良いかもしれない。
- 破局など、ネガティブな感情が爆発するかもしれない場合、薄暗いお店で話し合う方が良いかもしれない。
イケイケ状態な感情でいきたいなら明るい環境、冷静でいたいなら暗い環境にするのが良きな感じでしょうな☆
【参考文献】
[Incandescent affect: Turning on the hot emotional system with bright light]