僕が運動不足の人に運動指導する際、オススメしているのは“ウォーキング”です。
“歩くこと”というのは、人間がおこなう運動の中で、基本中の基本となるものです。「運動が苦手なんです…」という方でも、さすがに歩くことはできますからね。まずは歩くことから始めていき、徐々に運動のレベルをステップアップしていくと良いのかと思います。
当然、運動は健康のためになりますし、たとえば「万年、腰痛に悩んでいる人は、ウォーキングで改善するかもしれないよぉ~♪」という話もあります。今回は、それについて解説していきますので、よろしくお願い致します。
腰痛に悩まされている人と悩んでいない人との差
これは2023年に出たマッコーリー大学などのチームによるシステマティックレビューで、腰痛から回復したばかりの成人701名を1~3年間かけて追跡調査したものとなっております。
今回の研究で判明したことをまとめますと、
- 座位の時間が多い腰痛患者は、3ヶ月に1度の間隔で腰痛が再発していた。他方、定期的にウォーキングをしている人は、腰痛が再発するまでの期間が6ヶ月だった。
- 腰痛を再発する患者の約70%は、腰痛が再発してから平均112日間ほどの間隔で、最低1度は腰痛を再発する。しかし、定期的にウォーキングしている人は、平均して208日間連続して腰痛がなかった。
いつも座っている生活が多い人たちと比較して、定期的にウォーキングをしている人は、腰痛の再発頻度が減っていることがわかったそうです。もちろんですが、重篤な腰痛の罹患者は、担当医師に相談してからにした方が良いです。そうでない一般的な腰痛症の方は、この研究で使用されたプログラムによると、週に5回、少なくとも1回30分は歩くように推奨されておりますので、この運動量を目途に挑戦してみましょう。
ウォーキングが腰痛予防に有効な理由は、この研究では判明されていません。
考察としては、
- ウォーキングによって適度な振動を体に与えられる
- 脊椎と筋肉がバランスよく鍛えられる
- 運動によるリラックス効果とストレス解消効果
- エンドルフィンといった気分を改善するホルモンが放出される
etc.
など、様々要因があるようです。
どんな理由であれ、非常にコスパ良く腰痛を予防できるので、やってみる価値は十分にありますね☆
ちなみに、この研究で判明している腰痛を引き起こす要素のうち、座位以外の人間工学的要因(立ちっぱなしや曲げ伸ばし、持ち上げ動作、不自然な姿勢など)(22.0%)以外にも、
- 喫煙(12.5%)
- 肥満(11.5%)
が腰痛の起因とする割合が高いようです。
また、全人口を通して、男性よりも女性の方が倍近く腰痛に悩まされているようで、喫煙に起因する腰痛のリスクは、中年(50~69歳)男性で最も高く、15~49歳の女性で最も低いそうです。職業上の人間工学的要因が腰痛になるリスクは、若年(15~49歳)男性で最も高く、70歳以上の女性で最も低いとのこと。最後に、肥満に起因する腰痛のリスクは、50~69歳の女性で最も高く、若年(15~49歳)男性で最も低いようですね。
総評すると、男性はムチャな身体の使い方と喫煙、女性は肥満によって腰痛が引き起こされるっぽいので、このあたりも参考にしてみてください♪