筋トレにおいて常識とされる、「筋肉は、限界まで追い込むことで鍛えられる!」。
僕は正直、限界まで追い込むことはしないのですが、それなりに筋力が付いていますから、無理に追い込む必要はないと思っている人間です(変にケガをしたくないですし…)。もちろん、そのときの気分で「限界まで挑戦してみたい!」という感情も湧くことがありますので、そのときは、多少のフォームの崩れは気にせずにやり遂げることもあります。まあ、そんな色々とある筋トレ界隈の話ですが、今回は『「筋トレは、限界まで追い込め!」は正しいの!?』について解説していきます。
トレーニーのほか、アスリートなどの方々も参考にしていってください♪
「限界」 vs 「余力」 の筋トレ効果の差異
参考にしているものは、2025年に出た、筋トレ研究で著名なブラッド・J・ショーンフェルド氏等による実験です。
42名の筋トレ経験者(男性34名、女性8名)を対象に、次の2つのグループに分かれてもらい、8週間の全身トレーニングを実施してもらったそうです。評価の仕方としては、1セッションにつき主要筋群全てを対象とした9つのエクササイズを1セットずつ実施。上腕二頭筋や上腕三頭筋、大腿四頭筋の筋厚の変化、そしてベンチプレスとスクワットにおける筋力、筋力、持久力、RIR(Reps in Reserve の略称、のちに解説します♪)推定能力の評価とのこと。
- 限界まで追い込むグループ: すべてのエクササイズを1回も上がらなくなる限界まで追い込む。
- 余力を残すグループ: 主観的に2回はできそうだと感じたところで1セットを終わらせる。
ちなみに、1回のトレーニングにかけている時間は、わずか30分ほどだったとのこと。
肝心の結果ですが、以下のようなデータが得られたそうです。
- 筋力(ベンチプレス、スクワット): 両グループとも13%前後増加し、有意差はみられなかった。
- 筋持久力(脚のレッグエクステンションAMRAP): 筋力と同様の結果が得られ、有意差はみられなかった。
- 瞬発力(カウンタームーブメントジャンプ): 限界グループ側に有利に働いたものの、帰無仮説および対立仮説のいずれにも明確な統計的裏付けは得られなかった。
総評としては、『筋肥大のいくつかの指標は「限界まで追い込むグループ」に有利に働く傾向があったが、条件間の絶対差は概ね中程度であった』そうな。要するに、「筋肥大を目指す!」もしくは「瞬発力を鍛える!」といった明確な指針があるのならば、筋肉を限界まで追い込んだ方が良いという感じです。反対に、筋力アップや健康増進が目的なら、わざわざ限界まで追い込む必要がないということにでしょうね。
さて、ブログの途中で出てきた「RIR:Reps in Reserve」について解説していきます。
今回の実験ではこの方法が用いられておりまして、簡潔に説明しますと、あるエクササイズの1セットにおいて、主観的に残り数回はできる段階で終了する方式というニュアンスです。より詳細を説明しますと、次のようになりますので、筋トレの際は、どうぞ活用ください。
- 自分の限界を知る:兎にも角にも、まずは“自分の限界”を知るところからです。なので、最低限一度は「もうできない…」状態まで追い込む必要があります。例を上げるなら、プッシュアップで、「52回で限界が来た!」とわかった場合、それを基準にして「50回で終了すればRIR=2」だと推測できます。最初の2週間は計測の為に限界まで追い込み、“自分の限界”を確認しておくのがオススメです。
- 各セット毎の「限界“寸前”」を推測する:前提として、「限界=苦しい」ではないと認識すること。呼吸が乱れる程度では限界ではないことにご注意ください。フォームが大きく崩れる、動作が極端に遅くなる、補助を要するレベルになって、ようやく“本当の”自分の限界と言えます。それを基準に、各エクササイズの各セットの「限界“寸前”」を推測する習慣を身に付けます。
それを元に試行錯誤をしながら、自身の目的に合った筋トレメニューを作成すると良いかと思います。
今回紹介した研究によると、実験初期は被験者自身も推測をはずしていたとのこと。なので、“本当の限界”を把握するためにも、数回こなして経験するしか方法がないと思いますね。
「限界まで筋トレするの、大変だなぁ~~…」とは思いますが、効率的な筋トレのためにも、限界まで取り組んでいきましょう☆