世間では、「甘味があったのに糖質が摂取されず、それで脳が混乱を招いて食欲が暴走してしまう!」という通説がはびこっている人工甘味料…。
今回は、この「人工甘味料は太る!」説の真実を追究していく内容となっております。舌から甘味を感じたのに実際にはカロリーを取り込めずに「脳」が混乱。実際にはカロリーを取り込まれておらず、そのせいで実際の糖質を求めてお菓子などをドカ食いしてしまうという流れです。
本当に、この通説が正しいのか、気になるところです!
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短期間における人工甘味料による食欲暴走
これは2025年に出た実験で、被験者75名(若年男性、健康体重、太りすぎまたは肥満)を対象にMRIを使い、脳の活動レベルまで追究したものがあります。
実験の内容ですが、以下の3グループに分かれてもらい、脳と体の反応を比較していったそうです。
- 砂糖入り飲料(75gのスクロース)
- 人工甘味料入り飲料(スクラロース使用、甘さは砂糖と同等)
- 水(対照グループ)
摂取後に、視床下部を中心とした脳の血流、血糖・インスリン・GLP-1の変化、主観的な空腹感といった指標を測定していき、次のような結論に至ったそうです。
- 人工甘味料による脳活動レベルは微増:スクラロース摂取後、被験者全員の視床下部の血流がやや増加したものの、その程度は微増であった。
- 空腹感は水と同レベル:砂糖入り飲料は空腹感を減少する傾向にあったものの、スクラロースと水では、空腹感に有意差は確認されなかった。
「甘味があったのに糖質が摂取されず、それで脳が混乱を招いて食欲が暴走してしまう!」という通説ですが、実際はグラフ上でもほとんど差が見えないレベルのものです。簡潔に述べますと、「脳が混乱して暴走する!」は大げさで、中毒になるような反応はしないようです。
少なくとも、人工甘味料には、短期間での食欲暴走の心配はないでしょう。個人的な感想ですが、人工甘味料の飲料やヨーグルトを摂取しても、「食欲が止まらない…!」という衝動が出てきたことがないですし…。
長期間における人工甘味料による身体の影響
短期間では、人工甘味料を摂取しても問題がないことがわかりました…。
では、長期間、人工甘味料を摂取し続けた場合、脳や身体にどのような影響が起きるのか?
2022年に出たメタ分析がありまして、これは、17件のRCTをまとめたものとなっておりますので、信用するには十分でしょう。対象者は、糖尿病リスクがある、または過体重・肥満に分類する成人糖尿病患者の合計1,733名(平均年齢[SD]33.1[6.6]歳、女性1,341名[77.4%])でして、分析の結果、次のような結論に至ったそうです。
- 人工甘味料入り飲料を摂取した人は、砂糖入り飲料を摂取した人よりも体重が約1kg減少し、体脂肪率も0.6%減少、BMIや肝脂肪なども改善した。
- 水との比較では「中程度」または「やや良好」の評価だった。
以上のことから、長期的に人工甘味料を摂取し続けても体重が増えてしまうというエビデンスがほとんどないどころか、反対にダイエットに有効かもしれないというデータが得られたそうです。ひとまず、人工甘味料と水は、体重の増減に関して言えば同レベルといえます(腸内環境には良くないというデータがありますので注意は必要)。
なので、現段階での結論では、ダイエットとして短期間活用する分には問題ないですし、人工甘味料が入っているからと言って「人工甘味料を摂取したから脳に悪影響が~~…!」と恐怖する必要もないという感じです☆
【参考文献】
[Non-caloric sweetener effects on brain appetite regulation in individuals across varying body weights]
[Association of Low- and No-Calorie Sweetened Beverages as a Replacement for Sugar-Sweetened Beverages With Body Weight and Cardiometabolic Risk: A Systematic Review and Meta-analysis]