試合や試験、プレゼンなどの際、どうしても緊張や不安などの感情に支配されてしまいます。
そういったメンタルに変化が起きた時、人間は肉体にも変化を起こします。
脈が速くなる、瞳孔が開く、手や脇から汗がにじみ出るなど、こういった変化がおきると、それを基にメンタルを調整していきます。メンタルを改善するためには、自身の肉体の状態を把握が大切ですが、身体の変化が察知できないと、ネガティブな感情への対策にすすむことができません。
今回は『メンタルの改善を目指すなら「呼吸の変化」に気づくべし!』ということをお伝えしていきます。
呼吸の変化と不安との関係
これは2021年に出た実験でして、健康な男女30名と中程度の不安を持つ男女30名を招集し、以下のようなことをしてもらいました。
- 自分の肉体の変化を察知する能力を測るアンケートに答えてもらい、同時に2つの呼吸法を指示する
- さらに脳の活動をfMRIで計測し、それと同時に血液の酸素化と流れの変化を評価する
それぞれの不安レベルをチェックし、呼吸の変化との関係性を調べていったそうですね。
その結果、以下のようなことがわかったそうです。
- 不安レベルが高い人は、不安レベルが低い人と比較して、呼吸の変化を察知する能力が低く、自分の身体の状態を認識する能力も低かった
- 不安を持つ人は、呼吸の変化に気づく能力が実際に低下しやすい
- 不安によって呼吸が速くなる、荒くなるなどに気づけないと、その後で意識がもうろうとするなど、状態が悪化しやすくなる
このような結果から、「不安を感じやすい人ほど呼吸に気づくことができない」という傾向があるそうです。
研究者は、このことについて、以下のように語っています。
このような知識を持っているだけでも、いくつかのことが明確になるだろう。
不安を感じているとき、我々は知らないうちに身体の状態から意識が遠ざかっている可能性がある。この情報をもとに、人々が自身の身体をよりよく理解し、不安がさらに不安を募らせるという負の連鎖を断ち切りやすくなるだろう。
呼吸を整えることでメンタルを調整できるものの、そもそもネガティブな感情によって呼吸が乱れていることに気づいていないと、呼吸を整えるという行為に至ることができませんからね。
「メンタルを改善しよう!」と思うなら、まずは自身の身体の状態をキチンと把握することから始めないと…!
普段の状態からの変化にアンテナをはり、それからメンタル改善の手段に移っていきましょう。この実験で言うのなら、「自身の呼吸をより正確に認識する」ところでしょうね☆
【参考文献】
[Interoception of breathing and its relationship with anxiety]