動物も夢を見ているそうですが、そもそも、どうして人は、夢を見るのでしょうか?
その疑問を調査した研究は昔からたくさんあるのですが、現代の科学では、明確な回答がないのが現状です。一応、諸説がいくつかありまして、
- 夢で日中の記憶を処理している説
- 夢の中で現実をシミュレーションをしている説
etc.
というもの。
あくまでも諸説であり、推察の域を出ていないのが正直なところ。今回は、そんな夢についての最新の情報をお伝えしていきます。どうぞ、話しの種にでもしていってください♪
夢による感情適応機能の差異
これは2023年に出たジュネーブ大学などによる研究でして、この論文では、「狩猟採集民族と先進国の人間の夢とを比較すれば、何かわかるのではないか?」というところをチェックしてくれています。僕らと生活環境が異なるのなら、夢の内容も異なり、そこを調査していけば、夢の機能が明確になるのでは…!っていう感じですね。
この調査では、タンザニアとコンゴ民主共和国で暮らす2つの狩猟採集民族と、ヨーロッパや北米に住む人々の夢を比較しております。2ヶ月間にわたり、人類学者が狩猟採集民族234 名からの夢日記を使用して記録された896件の夢を集計・分析し、これを西洋人グループの夢に関するデータとを比較していったそうです。
その結果、次のことがわかったそうです。
- 狩猟採集民族が見る夢:猛獣に襲われる、川を流されるなど、生命の危険が脅かされる状況を夢に見やすかった。ただし、夢の最後には、誰かが助けてくれる可能性が示されて終了する場合が多かった。
- 西洋人が見る夢:狩猟採集民ほど、生命の危険が脅かされる状況を夢に見る場合が少なかった。ただし、夢で出てきた内容が、最後に解決されることが示される場合は少なかった。
ということで、狩猟採集民族が悪夢は解決するものの、先進国の人の悪夢は最後まで解決されないことが多いみたいですね…。
この調査によって得られたデータを基に、研究チームは夢について、次のように考察しています。
最近の理論では、夢を見ている間、我々はより脅威的な状況や社会的な状況を想定し、現実の状況に適応した行動を促進させる恩恵を得られるとされる。そのため、社会的な繋がりがより強い狩猟採集民族の世界では、身近な脅威を人間関係で補完し合う夢を見やすいのだろう。
ここでの結論は、「夢は現実世界を上手に生き抜くためのシミュレーターとしての機能」説を推す感じで、その影響でみんな夢を見ているのだろうという考察です。もちろん、この研究だけで、「夢はシミュレーター説である!」ことを証明するのは無理筋ですが、ひとつの可能性としてはアリでしょう。
あと、よくわからない点で「西洋人の夢には解決策が示されない…」ことです。
僕の想像では、「先進国の人たちの日常で起きる問題は、夢のシミュレーター機能では文明の進化に追い付いておらず、簡単に解決できないことが多い。だから、悪夢だけを見させて、現実で起こり得る脅威に耐性を得させようとしているのでは?」っていう感じなのかな?…って思っております。
なんとかして、解決していきたいよなぁ~~…。。。
【参考文献】
[Evidence for an emotional adaptive function of dreams: a cross-cultural study]