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メンタルがバッチリ回復する最適な運動とは何ぞや!?…っていう話

「運動はメンタルに良いんだぜっ!」

っていうのが定説であったものの、その風向きがあやしくなっております。いままでのデータを元に、世界中の医療ガイドラインでは、メンタルヘルスの治療法として運動を推奨してきました。ですが、アメリカスポーツ医学学会は2024年に、「定期的な運動は、本当に精神的健康を改善するのか?」と疑問を投げかけています。

というのも、

身体活動量が多いほど、うつ病の症状が減少することが多くあれど、人によっては、より多く活動しても改善されず、横ばいないし悪化することもある用量反応点がある可能性がある。

疫学的証拠は確認されているものの、現在のところ、職業、交通機関/アクティブな通勤、または家庭/家庭での身体活動の種類と精神衛生との関連を裏付けるには不十分である。通常は小規模で期間が短く、中〜高社会的経済的地位にある白人に偏ったサンプルで実施される多数のランダム化比較試験は、定期的な運動の導入が精神的健康のさまざまな側面を改善することを裏付けている。しかし、そのメカニズムは不明であり、精神障害のない人の場合、平均効果は小さい。運動による精神的健康への効果は、部分的にはプラシーボ反応であるか、運動を取り巻く状況要因の結果である可能性がある。

 

 

…という問題があります。

要は、「運動とメンタルヘルスの関係は確かにあるけど、それを実践するのは思っているほど単純ではない」というわけで、「運動 × メンタルヘルス」のテーマとしては、まだまだ煮詰めていく必要のある内容なのです。「メンタルが病んでしまっているなら、運動をして改善だ!」は早計で、方法によっては効果に大きな差が起きる介入方法だから、注意して提案しないといけません。

その中であっても今回は、「メンタルがバッチリ回復する最適な運動とは何ぞや!?」っていうことを深掘りしていきます。

 

 

うつ病に有効な運動について

 

これは2024年に出たメタ分析で、この中で研究チームは、まず「観察研究」のデータを分析していきました。

その結果、

 

  • 運動量が多い人はうつ病のリスクが30~50%低い
  • 1日20分程度の軽い運動でも効果がある

 

といった傾向を確認しております。

従来通りの結論であるものの、観察研究の結論なので、「運動したからメンタルが改善したのか?」それとも「メンタルの状態が良好な人ほど運動してるのか?」の因果関係が不明なままです。つまり、 「もともと活動的な性格の人はメンタルが良いだけであり、うつ病の人は運動をする気力がなく、結果として運動不足になっているだけでは?」といった疑問点が残っているのです。

 

その疑問を解決するため、より正確な結論を出すべく、研究チームは「ランダム化比較試験(RCT)」を分析してくれております。このメタ分析では、218件のRCTから14,170名のデータを統合していまして、精度としては大いに信ぴょう性の高い結論と言えます。

RCTでは2つのグループにわけて比較をおこなっており、

 

  • 運動をさせるグループ
  • 運動をさせないグループ

 

で、本当に運動でメンタル改善するのかを検証していきました。

 

今回の結論をピックアップしていきますと、

 

  1. あらゆる運動(ヨガや筋トレ、太極拳など)であっても、メンタルが改善する効果“自体”が確認された。特に、低~中レベルのうつや不安感に有効とのこと。
  2. 最も高い効果が確認されたのがウォーキングとジョギングで、認知行動療法(CBT)やSSRI(抗うつ薬)よりも効果が高かった。
  3. 「運動+SSRI」や「有酸素運動+筋トレ」といった組み合わせ治療法が、単独の治療よりも効果が高い傾向にあった。

 

ということで、ブログを書いている現段階での結論だと、「メンタルがバッチリ回復する最適な運動は“ウォーキング”だ!」といううことになります。負荷の高い筋トレやランニングではないので、その点でいうと運動が苦手な方でも安心しますね!

 

 

 

 

さらに、研究チームは深掘りをしてくれていまして、「運動の種類や環境もメンタルに大きく影響するのでは?」と言う疑問にも焦点を当てていております。たとえば、「独りでひたすらジムで筋トレ」や「仕事で重い荷物を運ぶ」といった状況や、「公園でウォーキング」や「友達と散歩」といったシチュエーションで比較した場合、同じ運動であってもメンタルへの影響にバラつきがあるのかを検証してくれております。

このことに限っては、まだ明確な結論を出せるほどのデータがそろっているわけではないので、何とも言えない状態です。とはいえ、現段階で言えることは、

 

  1. 「運動による社会的つながり」や「達成感」がメンタルに大きな影響を与える
  2. 単純に「身体を動かしている」ではなく、「楽しいかどうか」が大切である

 

というデータが得られているのが事実としてあり、「仕事での肉体労働」ではメンタルが改善されないが、運動量そのものは変わらないものの、好きなスポーツをしているとメンタルが改善することが確認されております。つまり、メンタルが改善される運動とは、「いかに楽しく身体を動かすか!?」が重要ということでしょう!

過去のブログにて、「女性はスポーツでも肉体労働でも同様の健康効果が得られたが、男性は違う!」という内容を投稿をしましたが、おそらくは、似たような作用があるのでしょうね…。

 

単純なデータだけで評価すると、一般論でアドバイスするならウォーキングを推奨しますが、それでも不十分な点が残っていて、

 

  • プラシーボ効果:運動したグループは、運動がメンタルに良いことを理解しているし、反対に運動をしないグループは、なにも取り組んでいない無力感に陥っている。この期待感の差により、結果にも影響が出ている可能性が高い。
  • 研究期間が短い:RCTは時間や費用がかかるため、ほとんどの試験が「6ヶ月以内」で終了している。それに加え、うつ病のおよそ1/3は、介入無しでも6ヶ月以内に自然治癒することが判明しており、「運動による改善なのか、自然治癒なのか」が判断できないことが多い。

 

ということがあります。
そんなことを言っていては何もできませんので、「とにかく楽しく身体を動かそう!」ということで、まずはシンプルに物を考えることにします☆

 

 

【参考文献】
[Up for Debate: Does Regular Physical Activity Really Improve Mental Health?]
[Effect of exercise for depression: systematic review and network meta-analysis of randomised controlled trials]

 

 

 

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