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食べる順番ダイエットの効果に関する4つの事実

「痩せるためにも、野菜から食べるといいですよ♪」

 

…というアドバイスを受けたことはありませんか?
実際に僕も教えてもらったことがありますし、十何年か前に『食べる順番ダイエット』のことを友達などに話したことがあります。

簡単にまとめると、「血糖値の急上昇を抑えて、肥満ホルモンであるインスリンの分泌をゆるやかにしましょう!」といったことです。血中の糖質が脂肪として蓄えられるから、食べる順番ダイエットが有効だという結論に至ったということですが…。

 

果たして、その内実はどうなのでしょうか?
今回は、食べる順番ダイエットについて解き明かしていきます。

現在も、食べる順番に気を配っている人がいるかもしれませんが、その結果がどうなのかがわかる内容となっています。少なくとも体に悪いということはないのですが、実際を知ることは大切だと思いますので、どうぞご一読ください<m(__)m>

 

 

事実①:痩せるという根拠が弱い

 

いわゆる『食べる順番ダイエット』というものは、野菜→タンパク質・脂質→炭水化物の順番に食べることによって、血糖値の急上昇を抑えることができます。

そうすることによって、インスリンの分泌をゆるやかにすることができます。急激に上がった血糖値をインスリンによって下げて、糖質を脂肪に変換することを抑えることがダイエットにつながる、という理論です。

 

まず、インスリンが肥満を招くこと自体が、根拠として弱いです。

 

過度の肥満や糖尿病といった一部の人たちにとっては、食べる順番ダイエットは効果がある可能性はあります。
そもそも、インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンです。肥満ホルモンと呼ぶ人がいるようですが、このホルモンがないと血糖値を下げられないので、唾棄すべき存在とするのはあまりにも失礼です。

 

 

 

事実②:血糖値は安定する

 

食べる順番と健康に関する問題について、ウェイルコーネルメディカル大学が30歳から65歳の男女15名を対象に行なった実験があります。

参加者は、太り気味の人(BMI値が25~40あたり)や糖尿病気味の人を選抜しています。
研究チームの実験の目的は、中年以降の人たちで、体型が悪くなっていき、体が糖質のコントロールが難しくなってきた人たちならば効果があるのではないかという考えのもとで行われました。

 

実験では、『全員に同じ食事を与えて、食べる順番だけを変えてもらう』というものです。
1日の食事内容は以下の通りです。

 

  • 摂取カロリー:2417kcal
  • タンパク質:41.05g
  • 脂質:20.06g
  • 糖質:58.28g

 

具体的な内容は、パンが90gほど、チキンが100gほど、オリーブオイルが15g、残りは野菜とスパイスといった具合です。これを順番だけ変えた3つのグループに分けて食べてもらいました。

 

  • 炭水化物を先に食べたグループ:最初にパンを食べ、その後10分ほど経ってからチキンと野菜を食べてもらう。
  • タンパク質と野菜を先に食べるグループ:チキンと野菜を先に食べ、その後10分ほど経ってからパンを食べてもらう。
  • 野菜を先に食べるグループ:野菜を先に食べ、その後10分ほど経ってからチキンとパンを食べてもらう。

 

この実験はクロスオーバーというタイプの実験で、全員の参加者がすべての食事法を行えるように、3日間の実験を行い、1週間空けた後にまた3日間行うという実験を行なっています。

要するに、同じ人にそれぞれ3つの食事の方をしてもらうという検証を行いました。
こうすることで、食べる順番ダイエットが有効かどうかがはっきりさせることができるわけですね☆

 

 

結果ですが、血糖値に関していえば、パンを先に食べると、食後60分で血糖値が大きく上がりさらにその後180分ぐらいで下がります。野菜を先に食べたグループとチキンと野菜を先に食べたグループでは、食事をしてから180分間血糖値の数値は一定でした。

なので、血糖値を一定にしたい場合は、野菜やタンパク質を最初に食べてから炭水化物を食べた方が安定します。そのような目的であれば、食べる順番には効果はあると言えるかもしれませんねぇ~。

 

インスリン代謝についてもほぼ同じような結果が出ていて、先に食べると食後60分で数値が大きく上がりさらにその後180分ぐらいで大きく下がりました。

野菜を先に食べたグループとチキンと野菜を先に食べたグループでは、180分間安定していました。やはり、野菜やタンパク質を先に食べた方が数値は安定します。

 

 

 

事実③:眠気の予防には役立つ

 

食後の眠気が気になる人にとっては、食べる順番は有効です。

 

というのも、血糖値の乱高下によって眠気が襲ってきます。
仕事や勉強に集中したい場合は、食べる順番は大変有効です。なので、紹介した実験で言うのであれば、『野菜→タンパク質→炭水化物』の順番に食事をすると、食後の眠気を防ぐことができるかもしれません。

インスリンに痩せる効果があるのかという問題がありますから、痩せるかどうかに関しては、この実験だけでは判断できません。ですが、血糖値の乱高下によって眠気が襲ってくるというメカニズムがもともとあるわけですから、血糖値がゆるやかになった以上、理論的には眠気の予防になると言えるでしょう。

 

 

 

事実④:食欲が抑えられる

 

「食べる順番ダイエットで痩せることができました~~♪」

 

…という人は一定数いるかと思います。
実際に痩せたという人がいるから、食べる順番ダイエットが流行ったのかもしれませんしね…。

なぜ食べる順番ダイエットが有効かというと、インスリンよりも『食事報酬』の影響が大きいかと思います。

 

『報酬』という言葉は心理学用語でして、食事報酬は、簡単にまとめると『食べることによって快感を得られ、ドンドン食べてしまう』ということを意味しています。

具体的には、以下のものが食事報酬を増大させます。

 

  • 甘いもの
  • 脂肪
  • でんぷん
  • 高いカロリー密度(重さあたりのカロリー量)
  • グルタミン酸(味の素)
  • 苦味の無いもの

 

これらを食べることによって、私たちの脳は喜び、快感を得られてしまいます。
脳が快感を得ることによって興奮し、食欲が増してついつい食べ過ぎてしまい、太ってしまうという結末になるのです。

 

食べる順番ダイエットが有効かも…、とされる機序は、最初にサラダなどの食事報酬の少ないものから食べ、脳の興奮を抑えるところです。それから炭水化物などを食べれば食事報酬を抑えることができるので、食欲のコントロールとしては効果があるのではないかと考えられます。

 

 

 

 

食べる順番そのものに、ダイエット効果があるかどうかは定かではありません。
ですが、眠気の予防や食欲のコントロールという点では、食べる順番は有効かと思います。

まったくの無意味ではないと思うので、特にこだわりがないのであれば、野菜→タンパク質→炭水化物の順番に食べていくといいでしょうな。

 

過去にいろいろなダイエットが流行りましたが、科学的根拠があるのか・健康面に問題がないのかは知っておいた方が良いですね。痩せた理由が不健康だなんて、本末転倒ですから(汗)

僕は、いわゆるヘルスリテラシーの強化のため、皆さんに信ぴょう性のあるものをお伝えしていきます。
気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください☆

 

 

【参考文献】
[Can We Say What Diet Is Best for Health?]
[The impact of food order on postprandial glycaemic excursions in prediabetes]

 

 

 

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