恥ずかしながら、以前の僕は自己啓発本の類いが好きでした。
ですが、今はもう、読むことはありません。
本によっては、読む価値のある内容や参考になる内容もあるでしょう。
しかし、基本的に役に立つとは言えないものばかりで、特に根拠の乏しすぎるものばかりでオススメしていません。
このブログをお読みになり、今後の役に立っていただければ幸いです。
今回は、自己啓発本をディスり続ける内容となっています。
僕のブログの内容に異論がある方もいらっしゃるかと思いますが、僕は科学的根拠や個人的な経験からくる感情で自己啓発本をオススメしていません。あくまで、そういった経緯があったからこその否定ですので、否定したいから書いたものではありません。
今回の内容に興味をお持ちの方は、どうぞそのまま読み進めてください。
≪Contents≫
自己啓発本で書かれている役に立たない3つの方法
ここでは、自己啓発本で書かれている役に立たない方法を、3つ取り上げていきます。
根拠を基にして解説していきますので、気になる方はそちらも合わせて読んでいただけると、理解が深まります。
夢や精神論などが役に立つ場面は確かにあると思いますが、無理をしてまでそれを貫く必要はありません。
自己啓発の害悪はけっこうなほど報告されていて、その中の一部をまとめております。
今回の内容以外のことは、後のブログにてお伝えしていきます。
無理なポジティブシンキング
自己啓発本では「ネガティブが悪である」という風潮が強く、とにかく前向きな生き方を推奨しています。
ですが、ポジティブシンキングはむしろ、世間で言われている『成功』を逃してしまうことがわかっています。
- 2002年の論文では、83名の学生たちに卒業後のキャリアをポジティブにイメージしてもらいました。2年後に再調査したところ、ポジティブなイメージをした学生ほど企業からの求人が少なく、給料も低かったとのこと。さらに、異性からモテない、大学の成績も良くないなどといったこともわかっています。
- 2011年の論文では、研究者が参加者の学生を2つのグループにわけまして、一方のグループには「最高の週末」を想像してもらい、もう一方には「普通の週末」を想像してもらいました。1週間後、学生たちを再調査したところ、「最高の週末」を想像した学生ほど、設定した目標をこなせなかったとのこと。
- 2014年の論文では、2007~2009年の新聞報道を調査したところ、ポジティブな経済予想が載ったあとは株価が下がり、ネガティブな経済予想が載ったあとは株価が上がる傾向があったとのこと。
人間の心理は、将来に楽観的な態度をとり続けると、ものごとが上手くいかなかったときのショックが大きくなります。
ポジティブシンキングな人ほど事前の準備をおこたりがちで、よりストレスを感じることも多いとされています。
また人間の脳は錯覚を起こしやすく、ポジティブシンキングによって、あたかも自分が設定した目標などが達成した・近づいたかのような気分になってしまいます。
ポジティブシンキングには良い面もありますが、無理をしてまでする必要はありません。
アファーメーション
自己啓発の世界では馴染みの深い『アファーメーション』ですが、実際のところ疑い深いものがあります。
アファーメーションとはポジティブな言葉を使った自己宣言で、自分自身に誓いをたてることです。
「~できたらいいなぁ…」ではなく、「私は~をするぞ!」といった具合です。このアファーメーションについて調査した、2009年のウォータールー大学の研究があります。
まず、被験者たちに性格テストをしてもらい、「自己肯定感が高い人」と「自己肯定感が低い人」の2グループにわかれてもらいます。そのうえで、全員に「私は魅力的だ!」というセリフを唱えてもらいながら、4分間にわたって自分の感情を自由に書いてもらいました。
結果ですが、もともと自己肯定感が高い人には特に変化はなく、自己肯定感が低い人は、アファメーションを唱える前よりも気分が落ち、自己肯定感も下がってしまったとのこと。
研究者によると、もともと自己肯定感の低い人がアファーメーションでポジティブになろうとしても、脳裏では「だからとって、自分は魅力的ではないんだけど…」と思っているので、その反動で余計に萎えてしまうようです。
引き寄せの法則
自己啓発本の定番といえば!…というくらい有名な『引き寄せの法則』ですが、こちらもなかなか疑い深い内容です。
たとえば、「自分の望む最高の未来を引き寄せましょう!」といった具合で、それを願い続ければいつかきっとその未来を引き寄せられるという話です。心理学でも似た技法があって、それが「Best Possible Self Intervention(直訳で「最高の自分」介入法」というものです。
大まかな方法は「自分が思い描く最高の未来に向かうための方法を、現実的な範囲内で細かく書きとめる」みたいなものです。この方法は科学者によって意見が分かれていましたが、メタ分析によって一応の決着がついています。今回は、それをベースに話を進めていきます。
これはニューイングランド大学の研究で、過去の実験データから質の高い29件を選び、その結果をまとめ上げたものです。
結論ですが、
- 最高の自分を願い続けることで、確かに楽観的になれる
- ただ、その効果はかなり少ない
- さらに、効果の持続時間もかなり短い
- おまけに、最高の自分を願い続けると、効果が低くなっていく
なので、『効果はないわけではないが、持続時間が短いうえにドンドン効果がなくなっていく』ということです。
上記と合わせていくと、無理にポジティブになろうとすると、かえってメンタルが悪化するともいえます。
メンタルが落ち込み過ぎたときに発奮の意味でやるのは良いかもしれませんが、頻繁にする技法ではないようですね。
といった具合です。
過去にも、ネガティブな感情は役に立つことはお伝えしましたし、大げさな目標はかえって成し遂げられないこともお伝えしています。基本的に、自分の価値観に沿って、客観的なデータを分析しながら一歩ずつ進む方が良いかと思います。
もちろん、ポジティブシンキングも役に立ちますし、もともとポジティブなら別にそれでも良いかと思います。
大切なのは、自分をキチンと見つめることだと思いますね☆
【参考文献】
[The motivating function of thinking about the future: Expectations versus fantasies (2002)]
[Positive fantasies about idealized futures sap energy]
[Positive Self-Statements: Power for Some, Peril for Others]
[Can psychological interventions increase optimism? A meta-analysis]