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体罰は子供に『暴力の方法を教える』ということがわかりました

子供の教育について熱心に調べている人がいたもので、今回は子供の教育について取り上げていきます。
子供の教育は、将来の健康を左右するものだと思いますので、僕の範疇にあるものだと思っています。

過去のブログでも「体罰は害悪でしかないんだぜ!」ということをお伝えしましたが、今回もそんな結果となっております。
それだけわかっていただけるとありがたいですが、できれば詳細も知ってもらえると嬉しいところ。

 

 

88カ国の調査でみえる体罰の影響

 

2018年に出たマギル大学の研究がありまして、WHOのデータセットを基に世界88カ国から403,604名分のデータを分析していったものです。

この研究では「各国の体罰に対する態度」について、以下の3パターンに分けて、各国の子どもたちが「どれぐらい攻撃的な行動をとっているか」というところの数値を照らしていき、体罰との相関性を調査していきました。

 

  1. 家庭や学校の双方が法律によって体罰が禁止されている国=30カ国
  2. 学校のみ法律によって体罰が禁止されている国=38カ国
  3. 体罰禁止の法律が存在しない国=20カ国

 

体罰と攻撃性とを照らし合わせていき、以下のような数値が導き出されました。

 

  • 「体罰禁止の国」は「体罰を禁止していない国」と比較して、子どもの暴力が男性は69%低く、女性は42%低い
  • 「体罰禁止の国」と「学校のみ体罰禁止の国」を比較した場合、男性は有意差がなかったものの、女性の場合は体罰禁止の方が暴力が56%低い

 

この傾向については、各国の経済状況や犯罪発生率などを調整しても有意差が出ております。
研究者は『この調査では体罰と暴力の因果関係はわからない。』としていて、「体罰は良い教育法ではない」という考え方が社会的に根付いている国ほど、積極的に体罰禁止の法律を作っているかもしれません。文化的な要素もあるから、はっきりとは言えない状況にあるそうです。

 

とはいえ、以前のブログで取り上げた2016年のメタ分析で、体罰は

 

  • 非社会的な行動が増える!
  • メンタルヘルスを悪化させる!
  • 家庭環境が悪化する!

 

ということがわかっていますので、やっぱり体罰は子供の攻撃性を高める可能性があるのでは?
研究者も「体罰には何かしらのメリットがあるハズだ!」という世論に対し、その回答に『私たちも体罰のメリットを探したが、何もみつからなかった。体罰は、暴力の方法を教えているに過ぎない』という批判をしています。

ますます、体罰は唾棄すべき所業なんですねぇ~~。

 

 

 

体罰に関する日本の考え方

 

では、日本ではどのように考えられているのでしょうか?
残念ながら、どうやら日本は『体罰に寛容な国』と言えるかと思います。

一応ですが、日本は学校教育法で体罰は禁止されていますが、家庭や習い事、クラブチームといった学校以外の場面では禁止されていません。
2018年にでた報告書では、

 

  • 体罰:殴る、たたく、蹴るといった、物理的な方法
  • 体罰など:上記を含めた、にらむ、怒鳴りつける、「ダメな子だ!」といった精神攻撃
  • 虐待:厚生労働省の定義における、身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、ネグレクト

 

これらをすべて含めた体罰の実態を調査してくれています。
しっかりとした実態調査なのでリンク先を読んでいただきたいのですが、ここでは「日本の体罰に対する態度」に承認を当てていきます。

実のところ、調査実施年や調査対象者にバラつきがあるものの、『しつけ』という名の下で約6割の人が体罰を容認していることがわかっています。

 

日本における意識ですが、どうやら「こぶしで殴る」「ものを使ってたたく」「加減せずに頭をたたく」行為は暴力と認識している(それでも約1割はアリって回答しています…)ようですが、「手の甲をたたく」や「おしりのたたく」といったことは約7割がアリとしてしています。
このあたりが文化的な背景がある気がしていまして、「しつけ」という認識が根付いているのでしょうねぇ。

体罰を容認している理由ですが、どうやら『言葉よりも肉体的な罰のほうが効果が高いと思っている』からだそうです。

実際に、

 

  • 言葉だけでは子供は理解しない 42.8%
  • その場ですぐに問題行動をやめさせる 23.6%
  • 痛みを伴う方が子供は理解する 20.6%
  • たたく以外の方法がわからない 2.6%
  • 大人の威厳を示す 1.8%

 

という回答をもらっているようです。
個人的には、子供に伝わるようにすればいいと思うのですが…。

その他の回答には、

 

  • 相手に暴力をした場合に痛みをわからせるため
  • どうしてたたかれたか考えさせるため
  • 自分もそうやって学んだから
  • 愛情があればたたいても解ってくれると思う

 

といった、大人のエゴが垣間見える感じがするのは僕だけかな(汗)
日本では体罰が当たりまえで、しつけというオブラートで包んでいるのが実態…かもしれません。

 

 

 

 

教育に携わる人もさることながら、指導者も気をつけていった方が良いでしょうね。

おそらくですが、体罰を受けることで「何がいけなかったのかな?」という反省よりも「殴ったね!親父にもぶたれたことないのに!」みたいに、体罰を受けた記憶しか残らないのかと思います。
それだと、失敗や過ちを反省はしませんし、それどころか問題行動を助長させる結果になります。

こうしてみると、教育って難しいですね…。

 

 

【参考文献】

[Corporal punishment bans and physical fighting in adolescents: an ecological study of 88 countries]
[子どもに対するしつけのための体罰等の意識・実態調査結果報告書]

 

 

 

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