大分以前からあった通説で「トウガラシはダイエットに役立つ!」があります。
たぶん、ダイエットに取り組んだことのある人なら、一度は耳にしたことがあると思います。
このうわさが広がったのは、「カプサイシン」という成分が脂肪を燃焼させるから!…と吹聴されたから。
確かにカプサイシンはかなり面白い成分なので、そんな効果があるのかも?!って感じです。
今回は『トウガラシの成分「カプサイシン」の実際』について解説していきます。
≪Contents≫
カプサイシンで代謝が上がるのは間違いない
ラヴァル大学のレビュー論文では、過去に行われたトウガラシ研究のデータをまとめてくれています。
ここで確実に言えることは「カプサイシンによって代謝自体は上がる」ということ!
具体的なデータだと、
- 朝食で男性にトウガラシを摂取してもらったところ、有意にカロリー消費量があがった
- 朝食に10gのトウガラシを追加することで、高脂肪食を食べたあとで脂質の燃焼量があがった
- 肥満ぎみの参加者にカプサイシンサプリを使用してもらったところ、脂質の燃焼量があがった
- 平均体重の参加者にカプサイシンが豊富な食事をしてもらったところ、食事誘発性熱産生が51%あがった
と明確に代謝が向上し、それに伴って脂肪も燃焼されていることがわかっています。
気をつける点は、これがダイエットの役に立っていると言えるデータではないということ。
どのデータも長期的な体重減少を確認できるものではないので、カプサイシンによる一時的な代謝アップ&脂肪燃焼かもしれません。2012年のメタ分析でも「カプサイシンの効果はごく微量である」と結論を出していまして、カプサイシンそのものが直接関与するものではないでしょうね。
どちらかというと、「カプサイシンによる食欲減退」がダイエットに寄与しているといえる可能性があります。
実際に、
- 食事の30分前に0.9gのトウガラシを摂取してもらったところ、摂取カロリーが平均189Kcal減少した
- 8件の研究データを精査したメタ分析では、カプサイシンに1食平均74kcal減少させる効果が確認された
ということがあり、食前にカプサイシンを摂取することで食欲を抑えられることがダイエットにつながると言えます。
とはいえ、この食欲減退の理由が「単にカプサイシンによって消化器系にダメージを受けたからでは?」という報告があります。実際に、カプサイシンで満腹ホルモンが増えたわけではなく、消化器系にストレスレベルが上がっている現象がみられています。
もしかすると、過剰にトウガラシを食べると胃に穴が開くかもしれません(汗)
カプサイシンで全死亡リスクが下がるかもしれない
カプサイシンで脂肪率が下がるかはわかりませんが、死亡率は下がるかもしれないという面白い話があります(笑)
これは2015年に世界5大医学誌の1つであるBMJに出た論文で、中国の健康調査を用いて約49万名分のデータを統計処理したものとなっております。
4年をかけて対象者全員の食事習慣や身体検査をおこなったあと、7年後に追加の調査をおこなっていきました。
調査でわかったことですが、
- トウガラシ料理を食べない人は、週1回で食べる人より全死亡率が10%高い(ハザード比0.90)
- 週3〜7回のペースでトウガラシ料理を食べる人は、全死亡率が14%低い(ハザード比0.86)
とのこと。
トウガラシが好きな人ほど心疾患が起きにくく、ガンにもかかりにくいようです。
この傾向については男女共通でして、アルコールを飲まない人の場合、その効果が上昇し長寿につながるそうです。
とはいうものの、これは観察研究なうえサンプルが中国人だけなのもあり、これだけでトウガラシが死亡リスクを下げられると実証されたわけではありません。
ですが、サンプル数そのものが非常に多く、過去のデータでも糖尿病やガンのリスクを下げる効果がみられています。なので、この結果については前向きにとらえても良いかと思いますね!
カプサイシンで筋トレの効率が上がるかもしれない
これは2019年に出た実験で、11名の男性(平均年齢23.3歳で、BMIは±22)を対象にテストをおこないました。
対象となった人物は、少なくとも1年間は週3〜5日の筋トレを続けてる人のみを選抜したとのことです。
実験の大まかな流れですが、
- 被験者に12mgのカプサイシン(またはプラセボ薬)を服用してもらい、それから45分間の休息をとる
- 軽いウォームアップをしつつ再び12mgのカプサイシン(またはプラセボ薬)を服用してもらう
- 最大パワーの100%で5kmのランニングをしてから10分の休憩をとる
- 1RM70%の負荷でスクワットを4セットおこなってもらう
という感じです。
この実験はクロスオーバー試験でして、各被験者は7日間の間隔をあけて2回の検査を受けております。
合計24mgのカプサイシンを服用してスクワットをおこない、実際に筋トレのパフォーマンスが向上するかをチェックしたわけです。
ちなみに、カプサイシンの投与を2回に分けた理由ですが、カプサイシンは摂取後、約45分で血中濃度がピークに達して、約105分以内に血中からほぼ完全に消失するという性質があるからです。
このあたりは、カプサイシンを使って運動をおこなう人はおさえておきたい知識かと思います♪
この実験で得られた結果なのですが、
- 5キロのランニングでカプサイシンの効果を計測したところ、RPE(主観的な運動のつらさ)が8.1±1.3から6.9±0.9に低下した(効果量d=1.0)。
- ランニング時のピークの心拍数に影響はなかったものの、カプサイシンの平均心拍数(153±13bpm)はプラセボ(158±12bpm)よりも有意に低かった(効果量d=0.4)
- スクワットでカプサイシンの効果を計測したところ、1セットあたりのレップ数がプラセボ(30.5±10.2回)よりもカプサイシン(34.9±8.2回)のほうが増加した
といった感じで、つまり、カプサイシンには主観的な運動の疲労度を軽減させる傾向があると言えそうです。
それにより、筋トレの回数も上昇したと思います。
これだけで、カプサイシンがパフォーマンスアップ成分だ!…とは言い切れませんが、可能性としては十分アリでしょうね。
ということで、カプサイシンの実際について解説していきました。
とりあえずは、
- 一時的に代謝が上がるのは間違いないし、食欲が抑えられる
- だからといってダイエットに向いているかというと、そうとは言い切れない
- トウガラシ料理は死亡リスクを下げる可能性がある
- 筋トレや運動のパフォーマンスを向上させる効果が期待できる
- だからといって、摂りすぎると消化器系がやられるから気をつけてね!
というところでしょうね。
僕は過去に試したことがありましたが、主観的な効果もわからなかった感じです。もちろん、ネガティブな思い出のないので、試してみても良いのかな?って思った次第です。
サプリはこんな感じなのがありますよ☆
↓ ↓ ↓
Now Foods, カイエン、500mg、ベジカプセル250粒
【参考文献】
[Capsaicinoids: a spicy solution to the management of obesity?]
[Capsaicinoids and capsinoids. A potential role for weight management? A systematic review of the evidence]
[Capsaicin-induced satiety is associated with gastrointestinal distress but not with the release of satiety hormones]
[Consumption of spicy foods and total and cause specific mortality: population based cohort study]
[Acute Capsaicin Supplementation Improved Resistance Exercise Performance Performed After a High-Intensity Intermittent Running in Resistance-Trained Men]