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緊張で実力が発揮できない「チョーキング」や「イップス」が起きる原因と解決法

重大なプレゼンやスポーツの公式戦など、緊張する場面でプレッシャーを感じてしまって実力が発揮できない…。
誰しもが経験したことがあると思います。

このような現象が起きるメカニズムについては、以前から研究がおこなわれています。
一説だと、脳の扁桃体(原始的な感情を司るエリア)の過剰な興奮によって交感神経が活性化し、その悪影響で体が硬直してしまうとされています。これも一説なので、はっきりとしたメカニズムについては、未だ不明です。

そして、最近の研究では『緊張で実力が発揮できない「チョーキング」や「イップス」が起きる原因と解決法』を調査してくれていて、僕を含め武道やスポーツに携わっている人にはありがたい内容となっています。
これを参考に、常に最高のパフォーマンスを披露していきましょう♪

 

 

チョーキングやイップスが起きるメカニズムと解決法について

 

これは2021年に出た、ソニーコンピュータサイエンス研究所などのチームがおこなった研究です。
この研究の概要を紹介すると、

不安惹起の状況において、巧みな技術が不安定になることが往々にして存在している。
以前の研究では、注意や作業記憶などの認知機能、および自律神経機能は、スポーツや楽器を演奏する際の巧みなパフォーマンスにおいて心理的ストレスの影響を受けやすいことが示唆された。しかし、感覚運動機能の低下が、精神生理学的苦痛によって引き起こされ、巧みなパフォーマンスにそのような妥協の根底にあるかどうかは不明である。

 

 

というように、プレッシャーによってパフォーマンスが十分に発揮できないメカニズムが不明であることを憂いています。そういうこともあり、研究チームは以下のような実験を実施しました。

 

  • 実験1:11名のピアニストにショパンの曲を演奏してもらうが、その際に研究者が故意に、微妙にずれた間隔でピアノの音が出るタイミングを遅らせ、演奏にどのような変化がでるのかをチェックする。この時、参加者の真横に別のピアニストに立ってもらい、演奏の緊張感を高めさせる
  • 実験2:30名のピアニストを対象に、ピアノの音が微妙に遅れて出る環境下で演奏のトレーニングを数十分ほどおこなってもらう。その際、全体を「音の遅れを無視して演奏するグループ」と「音の遅れに反応して速いペースで演奏するグループ」にわける。その後、参加者にストレスがかかる状況でショパンを演奏してもらう

 

この実験の意図ですが、「我々は自身の失敗に過剰反応することでイップスが起きるのでは?」ということをチェックしております。
つまり、この実験ではピアノを演奏しているときに、自分が意図したより遅れて弾くミスをすることに過剰反応をさせ、そのミスを取り戻そうとしてペースが乱れてしまいます。そのせいでさらにミスが増えて過剰反応が加速、その結果、イップスが起きると想定しています。

本来なら気にするほどではない失敗でも、過剰反応してしまう状況になった結果、なにもできなくなってしまう…という仮説です。個人的には、けっこう怖い実験かなぁ…って思ってしまいます(汗)

 

結果なのですが、

 

  1. どの参加者も、精神状態が乱れていると、音の遅れに反応して演奏の正確性が減少した
  2. しかし、事前に「音の遅れを無視して演奏するトレーニング」をした場合は、演奏の正確性に乱れが生じなかった

 

これはピアニストのみを対象にした研究なので、ほかの種目(スポーツや武道など)にも該当するかは不明です。
ですが、本番前に失敗を気にしない練習をすることでチョーキングやイップスに陥らずに済むかもしれません。

研究チームによると、

心理的ストレスにともなう演奏技能の低下の背景には、聴覚情報を用いて適切に運動を制御するという熟練者特有の技能が失調してしまい、さも初心者のような状態に錯覚してしまう。
このような技能失調は、事前の聴覚運動トレーニングによって防止できる可能性があることが明確になった。

 

 

つまり、いつもどおり練習をしながらも、普段よりも小さなミスに意識を向けていきます。
その際、練習でミスが起きたら、それを意図的に無視していつもどおりの動作を続けていくことがミソです。

些細なミスが起きても、それを「些細なミス」という気持ちで処理できるメンタルをつけていくと良いでしょうね☆
その他、本番におけるチョーキングやイップス対策は、

 

 

なんかも有効ですので、参考にしていってください!

 

 

【参考文献】
[Back to feedback: aberrant sensorimotor control in music performance under pressure]

 

 

 

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