まったく同じトレーニングをしても、効果の現れ方に違いがあるのは確かな事実…。
ある人はメキメキと筋肉がつくのに、ある人はさほど効果が現れないことがあります。
過去のデータから察するに、運動によって得られる恩恵に差が生じる原因の80%は遺伝によって説明できるとも言われてます。これに関してばかりは生まれもっての問題であり、どうすることもできないことであります。
それでは、具体的に「運動の効果は遺伝によってどれくらい差が生じてしまうのか?」を調査してくれた研究がありますので、それを基に解説していきます。
どうぞ、参考にしていってください。
遺伝子による運動関連の差異
これは2021年に出たメタ分析で、24件の先行研究を分析して結論を導きだしてくれています。18~55歳の健康な3,012名の男女(男性n = 1,512; 女性n = 1,239; 記載なしn = 261; 年齢28±9歳)が対象となっており、それぞれの実験期間は2週間以上で、以下の運動の効果の差をチェックしてます。
- 持久力(VO2maxの75%)
- 筋力(下半身1RMの75%)
- パワー(PPOの90~110%)
それぞれの運動をした後の変化と、対象者全員の遺伝子を調査したところ、『サブグループ解析の結果、遺伝子の差異は、「持久力;44% 筋力;72% パワー;10%」を説明した』とのこと。主に筋力の発達度合いが遺伝に大きく左右されやすく、持久力についてもそれなりに影響がある模様です。注意点ですが、これらの結果はあくまでも予備的なものです。
その理由ですが、
- 各遺伝子の研究グループの数が少なく、各研究ごとのサンプル数も少ない(17~743、中央値52)
- 遺伝の効果にはおよそ複数の遺伝子が関係しているものの、関係する遺伝子がすべて解明されていない
- 試験ごとに解析方法が異なっているため、それが結果に影響を与えてる可能性が大きい
- ほとんどの遺伝子研究はmRNAの発現を評価してるが、これが必ずしも実際の身体への影響につながるとは断定できない
といった問題があります。
今のところ、「すべて生まれ持ったもので決まってしまうのか…」と悲観する必要はありません。
遺伝学の研究は、まだ始まったばかりでこの数値を受け入れることは難しいものがありますが、運動の効果に遺伝の影響が大きいのは確実です。運動やトレーニングをしていくなかで、「自分はどの能力が成長しやすいのか?」を研究していくのが良きなのかと思いますね☆