フローとは「人間がそのときしていることに、完全に浸り、精力的に集中している感覚に特徴づけられ、完全にのめり込んでいて、その過程が活発さにおいて成功しているような活動における、精神的な状態(Wikipediaより引用)」でして、いわば極限の集中状態を意味しています。ことスポーツや武道などの世界において、この状態を「ゾーン、ピークエクスペリエンス、無我の境地、忘我状態」などと呼ばれてもいます。
今回は『「フロー状態」に入ると、本当に運動や格闘技などのパフォーマンスが上がるのか?!』を調査した研究がありますので、それを紹介していきます。僕はスポーツや格闘技、武道などのパフォーマンス向上にとても関心がある人間なので、こういった内容には喜々として飛びついてしまいますね!
どうぞ、参考に♪
フロー状態とパフォーマンスの関係性
これは2021年に公開されたエクセター大学などのメタ分析です。
フロー状態に関連する22件のデータをまとめておりまして、具体的に
- 参加者は25,216名。うち、652名(25.9%)が女性、912名(36.2%)が男性、957名の参加者(37.9%)の性別は不明
- 参加者の加重平均年齢は22.1歳
- フロー状態と13件のスポーツタスクで15種類以上の異なるスポーツ(マラソンがもっとも多い)の関係
- フロー状態と9件のゲームタスクで10種類の異なるゲームのパフォーマンス
となっております。
まずは結論を述べますと、
- フロー状態により、スポーツのパフォーマンスは効果量0.32向上する
- フロー状態により、ゲームのパフォーマンスは効果量0.30向上する
とのこと…。
効果量は0~1の間で評価され、0.4~0.6あたりになると、その効果を期待することができます(当然ですが、0.6以上になると効果が絶大ということになります)。つまり、フロー状態(スポーツでいうゾーン、武道でいう無我の境地)になったとしても、パフォーマンスが上がりはするかもしれないけど、「思っていたより上がらない・効果が小さい」という感じです。
注意点としては、前述のとおりメタ分析で対象となったデータがマラソンランナー中心なこと。ですので、勉強やビジネスなども含めたパフォーマンスも調査すると、もしかすると評価が変わるかもしれません。
今回のメタ分析では、フロー状態とパフォーマンスとの因果関係を特定することができなかったそうです。
研究チームは、
フローとそれに伴う変更がパフォーマンスに豊富なメリットをもたらす可能性が高いように思われる。
しかし、残念ながらこれまでの証拠では、この結論を裏付けることはできない。
ということで、フロー状態になるとパフォーマンス向上がわずかながらに上がるものの、その理由が不明。
とはいえ、パフォーマンスは上がるし、フローがメンタルに良いのは間違いないので、個の極意は追究していきたいものですなぁ~~☆
【参考文献】
[A systematic review and meta-analysis of the relationship between flow states and performance]