過去に「レベルが高すぎて、逆に参考にならない…(泣)」という経験をしたことがありますし、けっこう耳にしたことがあります。多分ですが、割とよくある俗説だと思っています。
こういった「レベルの高すぎるトップパフォーマーのアドバイスは本当に役に立つのか?!」問題を調べてくれた研究がありますので、今回はそれをご紹介していきます。世界レベルからアドバイスを授かれることは嬉しいものですが、それが自分のものになるかどうかは、また別の話し。
果たして、事実はどうなのでしょうかね?
トップパフォーマーからのアドバイスの有益性
これは2022年に出た調査で、オンラインで8,693名の参加者を募集し、ワードスクランブルというゲームをプレイしてもらうようお願いしたものです。このワードスクランブルというゲームですが、4×4の16文字のボードを表示し、60秒間でできるだけ多くの単語を探し出すというタスクです。
その際、事前にこのゲームを6ラウンドほどプレイした100名のプレイヤーを呼び、「これからプレイする参加者へのアドバイスを書いてください」と指示しました。これを、初心者プレイヤーに見せて、「どのアドバイスを参考にしたいですか?」などを尋ねていったとのこと。
その結果、
- ほとんどの参加者が「トッププレイヤーからアドバイスを参考にしたい」と回答した
- トッププレイヤーほど、自身のアドバイスが最高だと思っていた
- しかし、実際には、トッププレイヤーのアドバイスを参考にしたプレイヤーは、他のプレイヤーからアドバイスを受けたプレイヤーよりも、タスクのレベルが上がらなかった
もしかすると、トップパフォーマーからのアドバイスが有害で、上達の弊害になるのでは?…っていう結論に。
「上手過ぎて、まったく参考にならねぇ!」といった俗説は、この研究では、ある意味で正しいことになります。
なぜ、こういった現象が起きたかという原因は、現段階では不明です。
研究チームの推測では、
- 個人のパフォーマンスとコミュニケーションスキルは必ずしも一致しない
- トップパフォーマーほどアドバイスの情報量が多くなるため、初心者プレイヤーほど混乱する
つまり、いわゆる「有能な人」ほど有益なアドバイスを1つにまとめることが難しい傾向にあり、その影響で初心者は、どうしていいかがわからない状態になる、ということです。スポーツなどで考えるとわかりやすく、トップパフォーマーと自身の体格や感性、プレイスタイルなどが違っていたら、その人からのアドバイスはあまり役に立たないですからね…。
このことは、どの分野にも言えることでしょうね…。
ただ、研究チームは
この結果は、我々が有能な人物にアドバイスを要求すると、時間とお金を無駄にしてしまうという意味ではない。
その可能性はあるものの、常時、そういった状態になるというわけではない。
あくまでも、このデータで得られたことは、「トップパフォーマーが必ずしも優秀なアドバイザーとは限らないが、それでも多くの人たちがトップパフォーマーのアドバイスを頼る傾向にある」ということ。得られたアドバイスを、自身がどのように解釈し、活用するかが重要かもしれませんね☆
【参考文献】
[Tips From the Top: Do the Best Performers Really Give the Best Advice?]