組織に所属している人なら、自分の性格に合っている役職についていた方が、メンタル的にも健康でいられるものです。
今回は『リーダーとしての資質を持っている人の特徴』という題目のもと、リーダーにふさわしい人の性格について解説していきます。やっぱり、リーダーに就いた方が良い人がリーダーになった方が、当人もその人の下につく人も心身ともに健康でいられるもの…。
人は、各々にふさわしい立場で活躍していった方が幸せです♪
リーダーに適正のある性格
これは2022年に出た調査でして、1984年からドイツで始まった社会調査のデータを使ったものとなっております。
研究の期間中にリーダーの地位に就いた2,683名と、そうでない30,980名を比較しており、全体33,663名のうち約50%が女性で、リーダーの女性率は36%、非リーダーでは約51%が内訳となっております。この調査では、主に対象者全員の性格特性を様々な角度でチェックしていまして、以下がその内容となっております。
- ビッグファイブ
- 知覚されたコントロール状態(「私は自身の人生に起こることをほとんどコントロールできている!」という感覚があるか)
- 自尊心(「私は自身に対して肯定的な態度を持っている!」と思えるか)
- リスクに対する態度(リスクを取ることに抵抗があるかないか)
- 他者に対する信頼度(他者を信頼できると思えるか)
- 他者を許容する傾向(他者への遺恨があるかないか)
- 互恵性(「私は過去に親切にしてくれた人にお返しをする!」と思えるか)
これらを調査していき、リーダーとしての資質がある人とそうでない人との差を導きだそうとしたわけです。
結果ですが、
- リーダーに任命された人は、高い地位を得る前から外向的で、開放性が高く、神経症的傾向が低く、誠実性が高く、リスクをとることに抵抗がなく、より大きなコントロール感を感じており、より他者を信頼する傾向があった。
- また、誰かに任命されるのではなく、集団内で自然発生的にリーダーの立場になった人も人格に変化が現れ、より外向的になり、開放的でリスクを取ることに抵抗がなく、より人生のコントロール感が上がった。
- ただし、リーダーに任命されて時間が経過していくと、多くの人は外向的でなくなり、保守的になり、誠実でなくなっていった。
今回の調査では、大体のリーダーは元から外向的でリスクも積極的にとっていくものの、任命後は外向性、リスク許容度、誠実性は低下するようです(ただし、知覚されたコントロール感と開放性は維持されるとのこと)。
まず、リーダーが一般人よりも外向的で、経験に対して開放的である理由ですが、
- 開放的で外向的な人は、他者に指示を出することを楽しみ、その指示を成功させる可能性が高いため、個恩本的に管理職に対して適正がある。
- リーダー職を望む人は、リーダーシップに適した環境、役割や責任(小規模プロジェクトのリーダー、ネットワークづくり)などを自身で選択するため、そのような環境の変化が、自信、外向性、開放性の向上につながる。
といったことを指摘しています。
研究を見る限り、元来リーダーの素質がない人も、人を指導する立場になると、生まれ持った性格も変化が起きるそうです。「環境が人を育てる」という言葉がありますが、この研究の結果を鑑みると正しいと言えますね。
さらに、リーダーになった人の外向性が低下し、保守的になってしまうのかというと
- 仕事の要求が高まった結果、リーダーは社交への労力と時間といったリソースが低下し、より内向的になってしまう。
- リーダーになった人は、自身の役割を守ることに重きを置くよう変化し、リスク志向が低下する。
- リーダーは、異なるプロジェクトを柔軟に切り替え、他者に仕事を任せ、品質を妥協する必要があるため、結果的に誠実性が低下する。
といった原因があげられ、こちらも環境による変化だと言えますね。
この研究から言えることは、
- リーダーにふさわしい人を探している場合、外向性と経験への開放性の高さをチェックする。
- 自身がリーダーになりたい場合、外向性と開放性を向上させる
といったことをしていくといいでしょうね☆
【参考文献】
[Longitudinal bidirectional associations between personality and becoming a leader]