昔から、「育てたい筋肉を意識しながらトレーニングすると、いつもより筋肉が良く育つ」という話があります。
これは「マインド・マッスル・コネクション」と言われておりまして、スクワットを例に出して説明していきます。スクワット中に「膝の動き」に意識を向ける「注意の外部焦点」と、「大腿四頭筋の働き」に意識を向ける「注意の内部焦点」の2種類があり、各々の動作をモニタリングしていくわけです。
このトレーニング理論には、けっこうなほどエビデンスが揃っています。
それにより、
- 注意の外部焦点=トレーニング器材や身体の動作のように、外部に意識を向ける筋トレは、急性期のパフォーマンスを向上させる可能性がある
- 注意の内部焦点=トレーニング時の筋肉の働きに意識を向ける筋トレは、筋肉の成長を向上させる可能性がある
という結論が出ています。
そして、新しく「マインド・マッスル・コネクションによって長期的に筋力は向上するのか?」を調べてくれている論文がありますので、今回はそれを紹介していきます。
注意の外部焦点による筋力向上
これは2021年に出たメタ分析でして、合計228名を対象に
- マインド・マッスル・コネクションを用いて、短期間の筋力への影響を調査した7件の研究をチェックする
- マインド・マッスル・コネクションを用いて、長期間の筋力への影響を調査した3件の研究をチェックする
これらすべてを精査して、マインド・マッスル・コネクションの効果の結論を出していくという感じです。
サンプル数が少ないですが、精度としては信ぴょう性がある内容だと思います。
これにより、導き出された結論は、
- 注意の外部焦点は、短期的な筋力パフォーマンスを有意に向上することが確認された(SMD=0.34;p<0 .001=”” li=””>
- 長期的な筋力向上についても、注意の外部焦点による効果が確認された。この効果の大きさは、短期的な筋力パフォーマンスに対する効果の大きさと酷似していたが、統計的な有意性の基準を満たすことができなかった(SMD = 0.32; p = 0.11)。しかしながら、研究チームは、下半身の筋力向上についてもサブ解析を行っており、注意の外部焦点の効果が確認された(SMD = 0.47; p = 0.02)。
以上のことから、身体動作やトレーニング器材の動きを意識しながらトレーニングすることが、長期的に見ても効果があることがわかりました。
もちろんですが、これだけで結論を出すことができません。
とはいえ、効果に関しては肯定的なので、筋力を向上させたいのなら身体動作や道具の動きを意識するのがオススメです。あとは、筋肥大を狙うのなら育てたい筋肉に意識を向けるのが良いのかと。
僕は基本的に身体操作やフォームチェックがすべてだと思っている人間なので、引き続き鍛錬に努めていきます☆
【参考文献】
[Attentional focusing instructions influence quadriceps activity characteristics but not force production during isokinetic knee extensions]
[Differential effects of attentional focus strategies during long-term resistance training]
[Acute and Long-Term Effects of Attentional Focus Strategies on Muscular Strength: A Meta-Analysis]