「筋トレの成果が上がらないとき、どういう行動をとった方が良いのか?」という問題は、筋トレ民なら一度は通ったことがあることでしょう。
それについては、いろいろと考察されているのですが、生まれつき筋肉が付きにくい人もいるという事実もあります。いわゆる「ノンレスポンダー」というもので、1980年代からおこなわれてきた実験によると、同じようなトレーニング・プログラムを数ヶ月取り組んだ人でも、体力がまったく向上しなかった人が存在していることが判明しております。このような成果の差は、遺伝子の違いによって47%を説明できるとしています。
ノンレスポンダーが存在する理由については諸説ありますが、大まかに2つありまして、
- 筋肥大に関する遺伝子の発現条件には個人差がある。
- ノンレスポンダーは、運動後に身体の炎症反応が拡大しやすく、それが筋肉に悪影響を及ぼして成長しにくくなる。
という推察があります。
あくまでも推察の領域なので明確な原因は不明ですが、ノンレスポンダーは、運動によって筋肉に炎症が起こりやすく、自己修復するのが精一杯で筋成長へリソースを割り当てる余裕がない可能性があります。このような運命を背負いながらも、筋トレをしても成果が出ない「ノンレスポンダー」は、どのように筋肉をつけていけば良いのか?
今回は、その対策について解説していきます!
ノンレスポンダーへの筋トレ対策
これは2024年に出たサンパウロ大学などの研究で、内容を説明しますと、実験の参加者85 名 [41 男/44 °F、年齢 = 68 ± 4 歳。体格指数(BMI) = 26.4 ± 3.7 kg/m 2 ] に、まずはどちらかの足だけでレッグエクステンションを1セット8~15レップスで、これを1セットのみおこなってもらいます。続いて、最初とは反対の足でレッグエクステンションを1セット8~15レップスおこなってもらうのですが、こちらは4セットおこなってもらいます。
この筋トレを週2日で10週間取り組んでもらい、筋肉の大きさをMRIで測定して、参加者の足の筋成長したかを評価していったそうです。個人で左右異なる筋トレをすることで、個人差を排除している感じですね~~…。
肝心の結果ですが、大まかにまとめますと
- 1セット側の足は、 筋肉が成長していないケースが多く、被験者の60%は、 太ももの筋肉が3.3%以上増加することはなかった。
- 1セットでも筋肉が反応した人もいて、 そのような人の場合は、4セットのトレーニングをしたほうがより大きな反応を示した。1セットで反応した人のうち、4セットで筋肉サイズが有意に増加したのが51%のみで、15%は4セットのトレーニングによって、むしろ筋肉の反応が低下した。
ということで、総括すると「最初は筋肉が増えないように感じたノンレスポンダーでも、セット数さえ増やせば筋肉が増加する」ということになります。当たり前といえば当たり前で、「どんなに筋肉が付きにくい体質でも、メチャクチャ追い込めば筋肉は付くものなのだ!!」を改めて認識した結論だと言えます。
とはいっても、詳細を見ていくと、そう簡単にはいかないもので、
- 上記のとおり、参加者の中には4セットが1セットより筋肉の反応が低下した人も存在しているため、 単純にセット数さえ増やせばいいというわけにはいかない。
- また、筋力については、4セットおこなったとしても、1セットよりも筋力が大幅に増加することはなかった。 筋力については、また別の要素が関わっており、 単純にセット数さえ増やせばいいというわけにはいかない。
こともあり、何も考えずに筋トレボリュームを増やせばよいということではないのです。
大体のノンレスポンダーは、 セット数を増やせばいいかもしれませんが、この法則がノンレスポンダー全員に当てはまるわけではありません。なので、 もし自分がノンレスポンダーだと仮定して、 ひとまずセット数を増やして様子を見て、上手くいけば継続してみるのが良いでしょう。反対に、それでもうまくいかなかったら、さらに別の要素を変えていく試行錯誤が必要でしょうね!
ちなみに、今回の研究は筋トレのみの実験でしたが、過去のデータでは、有酸素運動についても同様の傾向が確認されていたりします。 有酸素運動で体力がつかないように感じている人は、こちらも運動量を増やしていけばよさそうですね☆
【参考文献】
[Genomic predictors of trainability]
[Refuting the myth of non-response to exercise training: ‘non-responders’ do respond to higher dose of training]
[Higher resistance training volume offsets muscle hypertrophy nonresponsiveness in older individuals]