実のところ、腰痛の原因は多種多様で、単純な筋肉“だけ”の問題ではありません。
最近ですと、血糖値の問題が腰痛を引き起こしているという話がありまして、またまた腰痛の奥深さを感じることとなっております。たしかに、東洋医学的な側面から見ていきますと、けっこう関係性がありますから、現代医学でもそのような見解をもつことは、決して不自然ではないでしょう。
腰痛に悩まされている人は、どうぞ参考にしていってください♪
慢性腰痛に悩まされている女性と炭水化物代謝の関係性
これは2024年に出た調査でして、ベルギー在住の女性106名(年齢18~65歳、平均BMI26~27)を対象におこなわれたものです。うち53名が、最低週3日のど慢性腰痛に悩まされています。
調査の内容ですが、ランダム化クロスオーバー試験でおこなれ、参加者は全員、11〜12時間ほど絶食した後、ショ糖(高GI値の糖)50gまたはイソマルチュロース(低GI値の糖)50gを含む甘味飲料を摂取してもらうというもの。その後、1日間のウォッシュアウト(休養)期間を設け、参加者が前回摂取しなかった方の飲料を摂取したとのことです。
結果ですが、
- 慢性腰痛ではない参加者と比較すると、慢性腰痛がある人は、中レベル程度の効果量ながら血糖反応が悪化していると評価した。
- 血糖反応の悪さと疼痛の総合スコアとの間には、統計的に有意差は確認されなかった。
ということがわかったそうです。
いずれのグループでも、食後2時間の血糖値が140mg/dLを超えた参加者はいなかったため、慢性腰痛患者の血糖値が悪すぎるとは言えないレベルでの話ではあります。とはいっても、食後血糖値の上昇は、糖代謝機能に軽い問題が起きている兆候であり、進行次第では酸化ストレスやAGEsは増加して体内の炎症に繋がります。その結果、腰部周辺の組織に関わる細い血管や神経に悪い影響を与え、慢性疼痛の原因になる可能性は大いにあり得ると思いますね…。
2019年に出た、8件のメタ分析でも(腰痛5件、首痛2件)、「糖尿病患者は腰痛や首痛、背部痛の発症率が高かった」と報告しているため、血糖値の問題が慢性疼痛の原因である可能性があります。
ただし、上記のメタ分析のうち1件は、「縦断コホート研究の結果では、糖尿病が将来の首~腰部の痛みの発症リスクと関連していない」と報告しているため、確定事項とは言い切れない案件でもあります。といっても、体感的にも血糖値が高い人ほど慢性疼痛に悩まされている傾向はありますし、「なかなか腰痛がよくならないなぁ~…。」と思いましたら、血糖値に目を向けて見ては、いかがでしょうか☆
【参考文献】
[Impaired Carbohydrate Metabolism among Women with Chronic Low Back Pain and the Role of Dietary Carbohydrates: A Randomized Controlled Cross-Over Experiment]
[Is there an association between diabetes and neck and back pain? A systematic review with meta-analyses]