交遊関係にせよ仕事にせよなんにせよ、人間関係は大切です!
たとえば、人間関係が離職原因の定番であり、ひとえに「他者との信頼」が日々の生活に重要なのかがわかる気がします。今回は、人間関係を円滑にするために、「この人は信頼できる!」と判断するための3つの軸について解説していきます。
今回のブログを参考に、どうぞ信頼できそうな人と交流していきましょう♪
≪Contents≫
信頼度評価の3つの軸
他者の信頼度評価について参考になるのが、2023年に出たイスラエルのハイファ大学による研究です。心理療法の現場で開発されたフレームワークなのですが、これを日常生活に活用していこうというものです。
研究の内容をお話する前に、心理学における“信頼”について説明していきます。心理学者のエリク・エリクソン氏の理論によると、「Basic Trust(基本的信頼)」は、乳幼児のころに親から獲得できたかで決定され、その後の人生の“信頼する能力”に大きく左右するとされております。この、幼少期に獲得した、たとえば「彼と過去の経験を共有すると、彼はいつもサポートしてくれる」という感覚が、将来の「彼に悩みを打ち明ければ、彼は助けてくれるかもしれない」という感情を生み出し、それが安心感となり、豊かな人間関係を構築します。
これが、“信頼”という能力ができる一連の流れですね。
信頼は人間関係を円滑に進める重要なファクターの1つなのですが、気になるところが、「この人は信頼できるの?」って判断するところでしょう。正直なところ、いわゆる「ヤバい人」などうしても一定数存在してしまいます。言葉でいくらでも嘘はつけますし、そう簡単に嘘を見抜くことは難しいですし、人間関係を難しく要因をもたらす人を回避していきたいものです。
なので、研究チームは、「Epistemic Trust:ET(エピステミック・トラスト)」という概念を提唱してくれています。この概念の意味ですが、簡潔に説明しますと、「“この人の話には意味や価値、妥当性等がある”と実感したとき、はじめて人はその相手に信頼する」というものです。要は、その人の言葉に重みや深みがあれば信頼できますし、言葉が軽かったり薄っぺらかったりする人なんて信頼できないという感じです。ETは冒頭のとおり心理療法の現場で開発されたもので、元々は「セラピストの言葉の信頼度」を評価するものですが、それを日常の人間関係に活用したのが、今回の研究のミソです。
このETは、3つの軸で構成されております。
- シェアリング
- ウィーモード
- ラーニング
この3つの軸について解説していきます。
シェアリング
信頼の第1軸は、「感情や内面を共有しようとする姿勢」です。
- シェアリングが低い状態:自身の感情や考えを語ろうとしない、共有の価値を信じていない
- シェアリングが高い状態:自分の感情や考えを自然体で正直に伝え、共有の価値を信じている
つまり、「この人は、本音で話しているのか」というのがポイントです。
当然ですが、利用してくる人は一定数存在してしまいますので、誰にでも1から10まで本音で話すわけにはいきません。ここでの重大な要素は「“話そうとする意志”があるのか」ということ。一方ないし双方が胸の内を明かそうとしない間柄なら、信頼関係を築けなのは当然の結果です。
ウィーモード
信頼の第2軸は、「お互いに一体感があるか」で、研究ではこれを「We-mode」と表現しています。
- ウィーモードが低い状態:一方的に会話をする、相手の話に言葉を被せることが多く、または沈黙が多い
- ウィーモードが高い状態:相手の使った言葉に合わせる、会話の内容を補完しあう、内容を深掘りしていく
つまり、「この人と1つのチームになれているか」というのがポイントです。
研究によると、「ウィーモードが高い依頼主ほど、心理療法の効果が高まる」という結果が出ているとのこと。人間は自分の中の言葉を“相手との共通言語”に変換できるそうで、僕個人の経験でも、お互いの信頼関係が出来上がっているときほど施術の効果が高いので納得の内容です。
ラーニング
信頼の第3軸は、「お互いの言葉から学びがあるか」です。
- ラーニングが低い状態:他者の意見を無価値と判断する、他者からの批判や注意等から学ぼうとしない
- ラーニングが高い状態:自身の行動様式を認識し、学びの意志を持つ
つまり、「この人から何かを学ぼうと思えるか」というのがポイントです。
おそらくは、誰しもが経験したことがあるかもしれませんが、あの人からの注意や警告、アドバイスに対しては「イラッ!」とくるのに、この人からまったく同じ注意や警告を受けたら素直に聞き入れられるというものです。信頼している人からの注意や警告を素直に聞き入れられるのは、当然といえば当然ですよね。
「この人は信頼できる!」と判断できる3つの軸について解説していきましたが、研究チームによると、最終的には
「この人とは安心して会話できるか?」という身体感覚が重要だ。
と語っております。
言わば「非言語から現れる信頼のサイン」によって、お互いの信頼関係を測ることができるそうです。
たとえば、
- 会話の際、身体がリラックスしているか緊張があるか?
- 会話の対して肯定されている感覚もしくは否定されている感覚があるか?
- 「もっと話したい」や「さっさと会話を切り上げたい」と思えるか?
etc.
といったサインから、信頼関係を判断することが可能だということです。非言語サインから自身への信頼関係を判断できますし、なんなら上記のような反応から「あつ、自分ってこの人のことを信頼しているんだなぁ…」とセルフモニタリングすることもできます。
更に言えば、3つの軸を活用すれば、他者との信頼関係を築くこともできますので、ぜひご活用を☆
【参考文献】
[The development of the Epistemic Trust Rating System (ETRS)]