精神分析学の父と呼ばれるジークムント・フロイト氏が、「成功者ほどメンタルが病みやすい」といった主旨の主張をしました。
この仮説によると、「真に優れた職業上の成功は、心理的、対人関係、および身体的幸福に大きな打撃を与えることが多い」とのこと。社会的成功を収めた人は、他人より努力した結果による心身の疲労、成功による他者との比較など、精神を疲弊させてしまう機会が多いという話です。
今回は、成功した人ほどメンタルが病みやすいのか?…について解説していきます。
成功による心理的不適応の真偽
これは2022年に出た調査でして、フロイトが提唱した仮説が正しいかどうかを検証したものです。
この研究チームは、巷でよくささやかれる、成功による心理的ストレスについて問題意識をもっています。
うつ病や薬物乱用、さらには自死にまで至る障害が起きやすくなるとされています。こういった考え方は昔から多く存在していて、芸術や文学の分野でもよく見受けられるものの、これは本当に一般的な現象なのだろうか?…っていうことを明らかにしていこう!…ということですね。
研究チームは、1,826名の知的才能のある男女(女性642名)のデータを基に分析し、その真偽を確認しました。
このデータは、参加者が13歳のときに調査がはじまっていて、そこから35年かけて追跡調査をおこなっております。調査では、参加者の年収と心身の健康状態、人間関係などをチェックしていまして、人生の成功とメンタルの関係性を評価したそうです。
分析していった結果、以下のことがわかったそうです。
- 成功しなかったグループと比較して、大成功したグループはより健康であるか、あるいは同等の健康状態だった。
- 健康上の問題がない人の数は、成功しなかった人よりも、成功した人の方が多かった。
- 男性の場合、成功したグループほど子供が多く、結婚している人も多く、離婚している人が少なかった。
- 女性の場合、成功したグループほど子供の数が少なかった。
といったことで、差の程度にはバラつきがあるのの、すべての健康指標の平均値は、成功したグループに軍配が上がりました。
研究チームによると、
この結果は、非常に成功したキャリアを持つ人々が、成功によって人生が破滅するという発想を支持するものではない。「成功は代償を伴う」といった思考が根深いのは、それが起こったときに印象が残っている影響で、我々が過大評価してしまうのが原因だ。
注意点としては、この研究においては、各々の因果関係までは不明です。
ですが、1つ言えることは、「大成功を収めた人は破滅しやすい」ことはないようですね☆