人間の心理は不思議なもので、自分でそう思っていると、本当にそのとおりになってしまいます(怪しげな自己啓発系みたいな言い回しw)。
なんでも、「自分は運動不足かも…」と思えば運動をあまりしていない感覚になりますし、「キチンと運動できたぞ!」と思えば達成した感覚になるのです。今回は、そんな運動におけるマインドセットにまつわることについて、解説をしていきます。
健康のために運動に励んでいる人は、どうぞ参考に♪
身体活動におけるマインドセット
これは2023年に出たスタンフォード大学の研究でして、いままで自身の歩数を数えたことのない男女162名を対象に実験をおこなったそうです。
参加者全員に4週間ウェアラブルフィットネストラッカーを着用してもらい、まずは全員に1日平均7,000歩を歩くように指示しました。その際、参加者を以下の4つのグループにランダムにわけたそうです。
- 正確な歩数が出るフィットネストラッカーを装着 (参照グループ; 41/162、25.3%)
- 実際の歩数の40%少なく表示されるフィットネストラッカーを装着(40/162、24.7%)
- 実際の歩数の40%多く表示されるフィットネストラッカーを装着 (40/162、24.7%)
- 正確な歩数が出るフィットネストラッカー + よりポジティブな AAM (活動適正性マインドセット:身体活動の適切性と健康への影響に関するマインドセットのこと)を採用する価値を参加者に教える Web ベースのメタマインドセット介入 (41/162、25.3%)
当然ですが、その状況を参加者は知らされておりません。
各グループで、自分が実際の歩数と比較して「思ったより運動しているんだな…」や「思ったよりあまり運動していない!」と感じることで、運動による健康効果にどれだけ影響を与えるかをチェックしていったわけです。
ちなみにAAMとは、日常の家事や買い物の移動といった生活習慣で、普通なら運動とは見なさないような活動を意識して、「過去1週間にどれだけ活動したか?」を考え、さらには、「その活動がどのように健康に寄与しているか?」を熟考、「思いのほか活動をしている自分」をキチンとほめるというものです。
その結果、
- 1日約7,000歩歩いている申告されたグループは、ほとんどがメンタルヘルスや自尊心が向上し、健康的な食事を採用した(高脂肪食が減り、野菜の摂取量が増えた)。
- 反対に、歩数を少なく申告されたグループは、自分たちの活動がさらに不十分であると認識し、メンタルヘルスや自尊心の低下、血圧と心拍数が上昇、より不健康な食事をするようになった。
- ただし、全体的な運動量が増えたわけではなかった。
- ちなみに、歩数を水増ししても、AAM やその他のほとんどの結果に変化がなかった(正確な歩数と比較して)
つまり、「自分は意外と運動しているんだなぁ~~♪」と自覚した参加者は、自分の日々の身体活動に自信を持つようになり、そのおかげで生活習慣に良い影響が出たというわけです。
本当ならちゃんと動いているハズなのに、「あんまり動いてないなぁ~~…」と思ってしまうと、せっかくの運動の健康効果が無くなってしまいます。研究チームは、運動のマインドセットの改善について、次のように語っております。
自身が過去数日間をどのように過ごしたかを考え、書き出すことから始めると良い。
明確な運動というだけでなく、趣味の散歩、子どもとの遊び、部屋の掃除、ガーデニング、犬を追いかけたり、階段を使ったりした頻度もチェックしていく。その上で、実際にどれだけの運動をしたか考えてみてはいかがだろうか?あなたの健康を増進し、病気を回避し、満足感を維持するのに十分だと感じると思うだろう。
日々の生活を振り返り、自分が普段、どれだけ動いているかを意識することが大切。
僕も、振り返ると「実際、かなり動いているんだよなぁ(汗)」って、驚いている次第です☆