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あれっ?日本人のヘルスリテラシー、低くない?…という話

日本人のヘルスリテラシーは低いです。

まず、保険制度の影響で『モラルハザード』を起こしていますので、「病気になっても病院にいけばいいや笑」というマインドになっています。あとは、自分のことを本当に理解している人は12~15%ですので、基本的に僕も含めて大体の人は自分のことを本当の意味で理解していません…。

このことは、過去の僕の記事をお読みになっていただけると幸いです<m(__)m>

 

 

ヘルスリテラシーとは、

 

健康情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力であり、それによって、日常生活におけるヘルスケア、疾病予防、ヘルスプロモーションについて判断したり意思決定をしたりして、生涯を通じて生活の質を維持・向上させることができるもの

 

という意味があります。
これが、今の日本人に欠けているということを言いたいのです。

実際に僕が、日本人のヘルスリテラシーの低さを実感した最近のエピソードと、根拠としているものを交えながら、今回の記事を書いていきます。
多少、辛辣かもしれませんが、どうかご了承ください。

 

 

コチラが実際の日本人の反応

 

もちろん、皆がヘルスリテラシーが低いというわけではありませんし、僕自身に多少のバイアスがかかっているのは自覚しています。ですが、あらゆる健康情報が氾濫している実態がある以上、ヘルスリテラシーが低いが故に起きている現象かもしれません。

 

とある機会、20代後半の男性に鍼灸施術を勧めたところ、以下のような回答がありました。
要点をまとめると、こんな感じです。

 

  • もし腰や肩を痛めたときにお願いしたい
  • 運動をしているから絶好調である

 

ということです。

 

まず予防が大切であるのは、アメリカでは90年代から常識になっていますし、鍼灸は腰や肩以外にも効果があるのは、世界的にも常識になっています。

痛みが出てきたときというのは、いわゆる『氷山の一角』というもの…。
腰や肩を痛めてしまった段階で、大元が根深くなっているという現実があります。

運動は確かに健康には良いのですが、過度の負荷は身体に悪影響があります。
過度の負荷によってストレスホルモンがでますので、

 

  • 炎症が起きる
  • 老化が促進される
  • 食欲が増す
  • 筋肉が減る

 

などなど…。

あとは、絶好調とはどういう状態か。
何を基準に絶好調と定めているか、それがハッキリしているのなら構いません。ですが、基準を設けずに絶好調か絶不調のみで判断するのは、あまりにも危険です。

たとえば、いつも絶好調なのに、翌日、突然風邪をひくということはありえません。
免疫力が低下しているのに気付いていないから、風邪をひいてしまうのです。

 

 

あとは、断る口実というのなら、少し稚拙な感じはあります(こんなこと書いている僕も十分幼稚です笑)。
人間関係も健康に大きく関与していますので、コミュニケーションスキルという点でも、ヘルスリテラシーが低いとも言えることかと。

アメリカのように、保険が任意制・完全自費なら、こんなことはないですね。
1回のケガや病気で一気に家計が破綻するので、健康にはより一層になるはずですから。

 

 

 

日本とEU8カ国との比較

 

ヨーロッパヘルスリテラシー調査質問紙(European Health Literacy Survey Questionnaire 、HLS-EU-Q47)を用いた調査で、日本での一般住民のヘルスリテラシーの状況を見てみます。

HLS-EU-Q47を日本語訳し、調査会社にモニター登録している(約250万人)全国の人の中から、20~69歳の男女を対象に、国勢調査の地域別性年齢階級別構成割合を基に人数を割付けて、2014年3月にウェブ調査を実施し、有効回答を1054名から得ています。

 

内容ですが、健康情報の「入手」「理解」「評価」「活用」という4つの能力を、以下の3点で測定しています。

 

  1. ヘルスケア(病気や症状があるとき、医療の利用場面など)
  2. 疾病予防(予防接種や検診受診、疾病予防行動など)
  3. ヘルスプロモーション(生活環境を評価したり健康のための活動に参加するなど)

 

4つの能力を3つの領域で測定していますので、合計で12の評価ということですね☆

 

日本と、EU8カ国(オーストリア、ブルガリア、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、オランダ、ポーランド、スペイン)とを比較しましたが、全体として「難しい」と回答した差が大きかったものは、「ヘルスケア」全般と「疾病予防」「ヘルスプロモーション」における「評価」「活用」でした。

僕がバイアスだと感じていた体験が、こうやって如実に現れました…。
嘘であってほしかったが、現実です(ーー゛)

 

もちろんといったら情けないのですが、日本が「難しい」と回答する割合が高かったのですが、大きな差があった項目で「病気になった時、専門家(医師、薬剤師、心理士など)に相談できるところを見つけるのは」で日本では6割が難しいと回答したのに対して、EUでは1割と差が開きました。

 

 

 

日本のプライマリ・ケア問題

 

2011年に国民皆保険50周年で企画された世界的な医学雑誌『ランセット』の日本特集号で、日本のヘルスリテラシーの低さを指摘されています。

 

この記事によりますと、日本のヘルスリテラシーが低い背景にあるのは、日本のプライマリ・ケア(身近にあって何でも相談できるケア)が不十分だ、ということです。

プライマリ・ケアとは、米国国立科学アカデミーでは、以下のように定義しています。
患者の抱える問題の大部分に対処でき、かつ継続的なパートナーシップを築き、家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される、総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービスである。

 

日本プライマリ・ケア連合学会は、この定義を引用しながら、『国民のあらゆる健康上の問題、疾病に対し、総合的・継続的、そして全人的に対応する地域の保健医療福祉機能と考えられる』と述べています。

 

しかし、「医師から言われたことを理解するのは」で難しい割合が多いことは、プライマリ・ケアの特徴を表す理念のなかにある『充分な説明の中で受療者との意思疎通を行うこと』の教育が不十分であるためだと言えてしまいます(汗)

 

  • 気になる病気の治療に関する情報を見つけるのは
  • 気になる病気の症状に関する情報を見つけるのは
  • メディア(テレビ、インターネット、その他のメディア)から得た健康リスク(危険性)の情報を信頼できるかどうかを判断するのは

 

難しいという割合でも差が大きくなっていました。
これは、インターネットを含めた情報の入手先の問題です。自由に書き込めますので、信頼できる内容かがわからないので、そのまま活用できるか不安で怖いものです。

日本の健康科学・医学系の論文が検索しにくいのも、健康意識を遠ざける原因です。
苦労して手に入れる情報には価値がありますけど、お金や労力、時間がかかってしまうものは、人は動きづらくなります。

 

また、子供のころからの健康教育による差もあります。

海外では早い時期から計画的に、健康や身体、意思決定などヘルスリテラシーを身に付ける教育に取り組んでいます。日本も、読み書きなどと一緒に、健康に対する意識作りをしていく方が良いかもしれません。

 

 

 

 

「情報が氾濫している」

「気軽に相談できない」

「どう活用していいかわからない」

 

これが日本の実態だということです。
僕ら医療関係者の問題もありますので、そのあたりは十分に反省する点ですね(+_+)

 

ちゃんとした情報を手に入れるのなら、『海外の論文』を検索してみるのがいいでしょう。

英語で検索すると、論文や調査、実験データや研究などがヒットしやすいです。
いわゆる『元ネタ』が見つかりますので、それを参考にするといいでしょう。有力なのが『メタアナリシス(メタ分析とも言います)』です。エビデンスのなかでは最も信ぴょう性の高い科学的根拠ですので、そのデータは活用するのに十分な内容です。

僕も、身近に相談できる鍼灸師&ライターを目指しています。
どんなささいなことでも大丈夫ですので、どうぞお気軽にご相談ください(●^o^●)

 

 

【参考文献】
[Comprehensive health literacy in Japan is lower than in Europe: a validated Japanese-language assessment of health literacy]
[THE LANCET:国民皆保険50周年 日本特集号 ]

 

 

 

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