読書をする機会が劇的に増えたので、ここで読書法について見直していこうかと…。
僕の実用書等を読む際の基本的なスタンスですが、すぐに理解できるわけはありませんので、まずは楽しむ形で読書を進めております。そこで、自分の知りたいことを中心に目次や記憶を頼りに拾っていきますね。
この本から得たいことはなんなのか、それを確認してからの作業です。
今回は、外出自粛という雰囲気なので、家でできることの定番である『読書』についてお話していきます。
哲学書の読み方をベースにしたものですが、難しい本を理解するためにも活用できる読書法です。
より知識の幅を広げる為にも、レベルの高い書物を読み進めていくと、理解ができないという悩みにぶつかってしまうことがあります。その悩みを抜け出し、少しでも前に進むための手段となっています。
論文ベースでお話をしていきますので、いろんな人に応用が効くかと思います。
今よりも理解度を高める『メタ認知的読書法』
これは2004年に公開された論文で、メタ認知を駆使した読書法となっています。
メタ認知とは「メタ(高次の)」という言葉があるとおり、自己の認知していることに対して、それをさらに認知することを意味します。「客観的な自分」「もうひとりの自分」と例えられていて、今現在の自分の思考や行動そのものを対象化して認識し、自分自身の認知行動を把握することができる能力のことを指します。
「自分が今、何を考えているのかな?」を他人の視点から観察して理解している感じですね。
この『メタ認知的読書法』の具体的な方法というのが、以下のとおりです。
簡潔にまとめましたので、理解しやすいかと思います。
■手順1.下調べ
本のタイトルやチャプター、セクションの見出し、参考文献、著者の履歴などをチェックして、自分が読もうとしている本を明確にしていきます。各チャプターの最初と最後のパラグラフを把握だけでも良いでしょう。
本のタイトルを見て、「どんな本の内容なんだろう?」
各章の見出しを見て、「どんなことをわかるのだろう…」
ということを予想すると、読み始めがスムーズにいけるかと思います。
■手順2.速読
次に、全体像をつかむために、軽く本に目を通していきます。
ここでは本全体の基礎を掴むための工程ですので、結論やテーマに見えるものにチェックをつけていきます。
すべてが終わったら、そこからからさらに最も重要そうなものにチェックをつけていきます。知らない単語については、余白に意味を書き込んでおきましょう。
重要だと思った項目や文章に付箋などをつけて、重要だと感じた理由を書きとめておきます。自分が理解できなかった言葉や文節にも付箋などで目印をつけていき、結論にいたるまでの工程には番号をふっていきます。それぞれの文章では、前提と結論を意識しておくと、理解がしやすいです。
速読中は、メタ認知として
「もっとも重要なポイントが見つけられたか?」
「結論が理解できたか?」
「結論にいたるまでの工程をチェックしたか?」
ということをしていきましょう。
■手順3.再読
この段階で、他人に説明できるレベルにまで落とし込んでいきます。
その際、以下のことを自身に問いただしていきましょう。
- 著者の主張を本当に理解できているか・速読の段階で理解できなかったことを理解したか
- すべての概念や用語の意味は確認できたか。
- 一貫した論理が自分のなかに構築できたか、著者の結論を自分の言葉で解説できるか
さらに、自分が重要だと感じたことを修正・追加したり、著者の主張を自分の言葉で言い換えてノートに書きとめていきます。
本で書かれている論理の展開をダイヤグラムやチャートにまとめてみるのもアリで、前提を意味する単語(ex:「なぜなら」「のように」「なので」など)に注意しましょう。そして、要点をまとめる単語(ex:「それゆえに」「つまり」「したがって」など)にも注意して結論を探します。
ここまでのステップで行ったことを総合し、自分なりの「まとめ」を書きます。
■手順4.評価
最後に、手順3で自分なりの「まとめ」を使い、本の内容を点検していく段階に入ります。
ここでは本の内容を理解することが目的ではなく、著者と議論していくようなイメージでおこなっていきます。
ポイントとしては自分の作ったノートやまとめ、チャートといったものに間違いがないかをチェックします。この際、さらに新しい発見があった場合は追加していきます。
ここでもメタ認知を働かせ、以下のことを自身に問いかけていきます。
- この本の結論は本当に正しいのか?
- 正しくない場合、正しくするにはどうすればいいか?
- 本の議論に説得力があるのか?その根拠は何なのか?
- 著者の主張に対する反証の有無は?
- 著者の主張に誤りがあった場合、それを正確に指摘できるか?
- 著者が誤った箇所について、的確に説明できるか?
- 著者の誤りを指摘した場合、著者はどのような反応をするのだろうか?
- 反対に、自分が誤っていた点はどこか?
- 自分と著者の考えに齟齬(そご)がないか?あった場合、自分と著者のどちらが誤っているか?
- 本を読んだことによって、自分の考えにどのような変化したか?
…なんとなくおわかりでしょうが、けっこうなレベルな読書法です。
この読書法を用いる場合、自分の専門性を高める為の本を読む際に使うのが良いでしょうね!
知識を補う・つけたすという工程なら、どうしても覚えたいことを3つほどに絞り、身につけたい理由を問いかけましょう。どうしても難しいなら、ネットで簡潔にまとめてくれたもの・要点をまとめてくれた書物で済ませるのも手段の1つです。
ここぞ!…というもので活用していきましょう。
【参考文献】
[Reading Philosophy with Background Knowledge and Metacognition]