世間でよく耳にする問題で、「筋肉を大きくするのと強くするのって、何が違うの?」というのがあります。
簡潔にまとめますと、
- 筋肉を大きくする:低~中負荷の筋トレで総トレーニング量を増やす
- 筋肉を強くする:高負荷の筋トレをする
という具合です。
このあたりは過去のブログに書いていますので、どうぞ参考にしていってください。
また、筋肉が大きくなっても、しっかりとそれに似合うだけのパワーは付いているのでご安心を!
今回は、率直な疑問として出てくる『「筋肉を大きくするトレ」と「筋肉を強くするトレ」を交互にしたほうが良いのでは?』について解説していきます。
筋力増強のトレをすることで、より高負荷をかけられますし、筋肥大を狙うトレも効率よくできますからね。
そのおかげで、いつもよりも筋トレの効果が増えるんじゃないかな?…ってところでしょう。
果たしてどうなのでしょう。
「筋肥大」と「筋力増強」を交互におこなう効果について
これは2021年に出た論文でして、16名の男性(平均年齢25歳、平均筋トレ歴4.6年)を対象に実験をおこないました。
まずは被験者全員の最大筋力を計測した後、ランダムで2つのグループにわけていきます。そして、週に4回のトレに取り組んでもらいます。
- 筋力トレ→ 筋肉量トレ:筋力トレーニングを6週間おこなった後、筋持久力(肥大)トレーニングを6週間おこなう
- 筋肉量トレ → 筋力トレ:上記グループと同じ期間・内容のトレーニングをするが、順序は反対にする
■筋力トレメニュー
月曜と木曜
- ベンチプレス:2-4RM(1RMで1回で挙げられる最大の重量)で3セット
- インクライン・ベンチプレス:2-4RMで3セット
- バーベル・スクワット:2-4RMで6セット
火曜と金曜
- バーベルロウ(順手):2-4RMで3セット
- バーベルロウ(逆手):2-4RMで3セット
- デッドリフト:2-4RMで6セット
■筋肉量トレ
月曜と木曜
- ベンチプレス:10-12RMで4セット
- ダンベルフライ:10-12RMで4セット
- ライング・ダンベル・エクステンション::10-12RMで4セット
- バーベル・スクワット::10-12RMで8セット
火曜と金曜
- バーベルロウ(順手):10-12RMで4セット
- バーベルロウ(逆手):10-12RMで4セット
- バイセップカール:10-12RMで4セット
- デッドリフト:10-12RMで8セット
結果なのですが、
- どちらの順序でトレをおこなっても、筋力は同じように増加した
- どちらの順序でトレをおこなっても、筋肉量は同じように増加した(筋力トレが後の場合の方が筋力と筋肉量が増加したが、統計的には誤差の範囲と思われる)
- 総トレーニング量は、どちらのグループも同レベルになった
筋トレは結局のところ、総合的なトレーニング量で決まっていきます。
なので、総トレーニング量が同じなら、筋力増強や筋肥大のトレーニングの順番はあまり関係ないのかと思います。
ちなみに、最適な各人のトレーニング量はコチラを参考にしていってください!
この研究の面白いポイントは「大抵の被験者は、筋肉量トレ期間では筋肉が5.5%増加(外側広筋の厚さ)したのに対し、筋力トレ期間では筋肉がわずか0.6%しか増加しなかった」ですね!
初心者もそうですが、まずは「低~中負荷で回数を増やす」方向で筋肉を大きくするところから始めるのが良いのかもしれません。
とはいえ、これはパイロット研究なので試行錯誤が必要な内容です。
小規模かつ短期間なんで、長期間ではどうなるかがわかりません。よって、この結果だけでトレの順番を気にする必要がないと断定してはいけません。
まあ、スポーツや武道をしているなら気にしてもいいけど、健康を目的にしているなら気にする必要はないかと…。
自分の好みで筋トレをしていくのが良いのではないのでしょうか☆